不妊治療でよくある間違った知識

不妊治療の現場で日々働いていると、患者様から
「〇〇って聞いたんですけど、本当ですか?」
「ネットで調べたら●●かもしれないと見たんですが、どうなんでしょうか?」
など、誤った知識が普及されてしまっている様子をよくみます。

今回は、これらを共有させていただき、少しでも正しい知識をお伝えいたします。

不妊治療でよくある疑問

子宮内膜症があると必ず不妊になる?

子宮内膜症は、原因不明で子宮内膜に似た組織が子宮以外の部分(卵巣や腹膜など)に発生し、月経のたびに出血する疾患です。若い女性に多く見られ、不妊症の女性の10人に1人がこの疾患を持っているといわれています。

通常、子宮にある子宮内膜は月経時に剥がれ落ちて体の外へ出血をしますが、卵巣などにこれらの成分が発生して排出できずに溜まってしまうと、腹痛や排卵障害を起こしてしまう可能性があり、不妊症の原因につながるといわれています。

ただ、内膜症の位置、大きさ、成分、妊娠希望かどうか、などにより治療方針は大きく異なってきます。すぐに手術適応になることもありますし、薬物療法や経過観察が選択されることもあります。

そのため、子宮内膜症=100%不妊症 とは言いきれません

子宮内膜症は、医療機関のフォローが必要になるケースもありますので、お悩みの方は婦人科への受診をおすすめします。

AMHが低いから妊娠できない?

AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、前胞状卵胞から分泌されるもので、簡単にいうと卵子の元となるものを指します。つまり、卵子の在庫数を評価する指標になります。

AMHはご年齢とともに低下していき、0に限りなく近くなると閉経になります。
この低下するスピードに個人差があり、ご年齢は30歳でもAMHの値は40歳代の平均値だった、というケースもしばしばみられます。

ただ、AMHが低い=妊娠できないというわけではありません。低い場合は、今後の妊活は積極的な取り組みが望ましいと考えられます。

あくまで、今後の方針を決める判断材料の1つになるものです。

堕胎の経験があると不妊になるの?

つい最近、話題になったワードですね。結論から言うと、こちらはほぼ100%関連しません

一昔前は、人工妊娠中絶は内膜掻把法がほとんど選択されていました。
専門の器具で子宮内膜を剥がしていく処置を行いますので、その際に子宮内膜に大きな傷ができてしまう可能性があり、癒着が回復しない状態が続くとそれが将来不妊症につながるかもしれないといわれていました。

現在の医療では、このような技術や他の方法も発展してきており、必ずしも堕胎が不妊症につながるということはありません。ましてや、「不妊症の原因の9割9分が堕胎によるもの」というのは間違った知識になります。

まとめ

ネットには、曖昧な情報や事実とは異なる情報が流れてしまっていることもあります。
妊活に関する知識はとても専門的なものです。
正しいツールからみなさまに正しい知識を持っていただければと思います。

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