妊娠中の飛行機・新幹線・車移動、安全な方法と持ち物リスト|長期休暇のお出かけ対策

妊娠初期は日々の体調変化に戸惑いつつも、順調に経過が進むと夏休みやお盆、年末年始などの長期休暇には「少し遠出したい」「気分転換にどこかに行きたい」「実家に帰省したい」と考える妊婦さんも多いと思います。また、妊娠後期にさしかかると夫婦2人で過ごす残された時間を大切にしたいと感じる方も多いことでしょう。一方で、「遠出してもいいの?」「何かあったらどうしよう…」という不安もつきまといますよね。今回は、妊婦の長期休暇の移動に関する注意点を紹介していきます。

どの時期に出かけるのがベスト?

妊娠初期(妊娠〜15週頃)

つわりやホルモンバランスの変化で体調が不安定な時期です。出血のしやすい時期でもあるので、無理なお出かけは避けた方がよいでしょう。

妊娠中期(妊娠16週〜27週頃)

つわりが落ち着き、胎盤も完成する頃で、一般に安定期と言われる時期になります。お腹もまだ大きすぎず、体調も安定しやすいので、この時期になると遠出しやすいとされています。

妊娠後期(妊娠28週以降)

お腹が張りやすくなったり、早産のリスクが高まることもあるため、遠出は控えめにして、近場でのんびり過ごすのがおすすめです。

妊娠中の遠出ってしてもいいの?


妊娠中は疲れやすいので、長距離移動は想像よりも身体の負担となることもあります。また、移動時の乗り物の振動や長時間の同一姿勢は、子宮収縮を誘発することもあるとされているので慎重な計画が必要です。

実家への帰省や遠出の注意点

①1人ではなく、同伴者と行くよう計画する。

②無理のないスケジュールをたてる。

③重い荷物は持って歩かない。物は最小限にして同伴者に持ってもらったり、事前に送るようにする。

④混雑している乗り物や、振動の激しい乗り物は避ける。

⑤遠出の前には必ず受診し、異常がないことを確認する。

⑥遠出の際は母子健康手帳と保険証を携帯する。

⑦外出先に医療機関があるか念の為確認しておく。

無理のないスケジュールってどんなもの?

・休息を十分にとれるようにする

・スケジュールに余裕をもたせ、体調変化に合わせて臨機応変に対応する

・観光地でも欲張りすぎない

・休憩や移動に制限がある団体旅行は、避ける

妊婦のお出かけに必要な持ち物

・母子手帳

・健康保険証/診察券

・常用薬

・飲み物

・軽食

・タオル・ウェットティッシュ

・スリッパや着圧ソックス(移動時のむくみ対策)

・マタニティマークがついたグッズ

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移動手段はどう選ぶ?

乗り物はできるだけ振動の少ないものを選び、また長時間、同一姿勢をとることを避けるようにしましょう。妊婦が乗り物で移動する際は注意するべきポイントが多くあります。乗り物の種類別に紹介していきます。

①車

車の運転は妊娠経過が順調でめまいなどの症状がなければ、短時間であればしても良いとされています。しかし、妊娠中は精神面でも不安定になるので注意して運転しましょう。

お腹が大きくなってくるとシートベルトをすることで苦しくなり億劫に感じてしまうかもしれませんが、シートベルトは必ず着用するようにしましょう。

【妊婦のシートベルト着用のポイント】

①腰ベルトと肩ベルトを共に着用する

②肩ベルトは胸の間を通し、お腹の側面に通す

③肩ベルトは首にかからないようにする

④腰ベルトはお腹の膨らみを避けるように腰骨のできるだけ低い位置を通す

(出典:公益社団法人 日本産婦人科学会)

②飛行機

飛行機への搭乗については、各航空会社で取り扱いが異なるようです。搭乗券を手配する前に確認しておきましょう。

多くの会社は、妊娠9か月までの搭乗に制限はないことが多く、それ以降は診断書や誓約書などさまざまな条件が設けられていることもあるようです。

飛行機の機内は、通常0.7〜0.8気圧に保たれており、酸素分圧も地上の70〜80%に保たれているので健康な妊婦であれば、胎児への酸素供給に悪影響を及ぼすことはないと考えられています。

しかし、長時間にわたり、飛行機を利用する場合、エコノミークラス症候群ともいわれる深部静脈血栓症に注意が必要です。深部静脈血栓症予防のために水分を十分にとって、下肢や大腿を動かすなどの運動や着圧ストッキングを使用するようにしましょう。

③新幹線

自由席ではなく指定席を取るようにして、ゆったりとした気持ちで移動できるようにしましょう。

飛行機搭乗時と同様に、深部静脈血栓症予防のための行動は必要となります。水分補給や足の運動、マッサージをしてください。

④タクシー

長時間歩くことに疲れた場合はタクシー利用も検討しましょう。シートベルトを着用して乗ってくださいね。

体調が悪くなったらどうする?

遠出をしている時はすぐにかかりつけでの適切な対応・治療を受けにくいという点も問題となるので、無理な遠出とならないよう計画することが必要です。

①お腹の張りが出てきたら

まずは横になってゆっくり休みましょう。お腹の張りは何分おきに感じるのか、張りと一緒に痛みもあるのかを確認し記録しておくといいですよ。

横になることでお腹の張りが落ち着くようであれば、一旦は安心ですが、その後は安静に過ごし、できるだけ早く自宅に戻れるよう予定を調整しましょう。

お腹の張りがおさまらない、また痛みも出てくる場合には要注意です。近隣の産婦人科に受診しましょう。

②出血がみられたら

茶褐色、少量の場合は安静に過ごして様子をみましょう。横になってリラックスし、お腹の張りがないかも確認してくださいね。お腹の張りがある場合は近隣の産婦人科を受診しましょう。お腹の張りがない場合は安静に過ごし、なるべく早く自宅に戻れるように予定を調整しましょう。

量の多い出血や赤い出血の場合は、すぐに近隣の産婦人科を受診しましょう。

まとめ

今回は妊婦の長期休暇の移動に関する注意点について紹介していきました。乗り物ごとの注意点もまとめたので参考にしてみてくださいね。

みなさんの妊娠生活がよりよいものとなりますように。

参考文献

・助産学講座6助産診断・技術学(1)妊娠期第5版.医学書院.2015

・母性看護学各論母性看護学②.医学書院.2014

・公益社団法人 日本産婦人科学会

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