本記事では、「ハラスメントのグレーゾーンに潜むリスク ー組織判断・対応・管理ー」をテーマに開催したオープニングセッションをダイジェストでお伝えします。
現在カンファレンスのアーカイブ動画を公開中です。すべてのプログラムのアーカイブ動画を無料でご視聴いただけます。
https://project.famione.com/conference/2025
オープニングセッション概要

企業活動において、ハラスメントは代表的なコンプライアンス課題のひとつです。特に近年は人権意識の高まりにより、意図せずハラスメント行為と受け取られるケースも増えています。本セッションでは、明確な違反行為だけでなく、判断が難しい「グレーゾーン」に焦点を当て、判断・対応・管理の視点から、組織としてどう向き合うべきかを考えました。
登壇者は、株式会社ファミワン公認心理師・臨床心理士の 戸田さやかが務めました。
第1章:ハラスメントのグレーゾーン
第1章では、明確な違反とは言い切れないものの、相手に不快感や心理的負担を与える「グレーゾーン」のハラスメントについて取り上げられました。こうした言動は、関係者のメンタル不調を引き起こすだけでなく、行為者が指摘を恐れて部下指導に消極的になることで、職場の育成や信頼関係の停滞にもつながります。ハラスメントの境界が曖昧になる中で、組織としての理解と対話の土壌が不可欠であることが示されました。
第2章:グレーゾーン事案発生時の対応
第2章では、グレーゾーンの事案が発生した際の対応について、フローチャートを用いた判断の流れが紹介されました。パワハラか否かの判断は、言動が業務目的に照らして「必要かつ有益」であるかどうかが基準となります。また、セクハラに関しては、相手がそう感じた事実を軽視せず、納得できなくても理解しようとする姿勢が重要です。ヒアリングを丁寧に行い、当事者の声を受け止めることが、信頼回復と再発防止の第一歩であると強調されました。
第3章:ハラスメントのリスク管理
第3章では、ハラスメントに対する組織的な対応と予防の視点が語られました。明確なハラスメント行為は懲戒対象として適切に対応すべきであり、グレーゾーンについては客観的な根拠をもとに組織で検討する必要があります。その際、検討にあたるメンバーには、多様な価値観や背景への理解が求められます。また、事案を蓄積し、対応の妥当性を検討することで、組織としての判断力を高めていくことが重要です。
セッション内のQ&A
-ご参加の皆様からも多数のご質問がありました。以下、一部抜粋してご紹介します。
「先ほどのハラスメント事例において、飲み会を毎回断る方にもお声掛けはした方がいいでしょうか?」
「先ほどの妊活事例において、どんな対応をしたら、Bさんはハラスメントを訴えなかったのでしょうか?」

まとめ
ハラスメントのグレーゾーンは、誰もが加害者にも被害者にもなり得る領域であり、だからこそ組織としての対応力と個人の対話力が問われます。制度やルールの整備だけでなく、価値観の違いや社会常識の変化を受け止める柔軟な姿勢が、リスクを未然に防ぎ、健全な職場づくりにつながります。「不快だった」「傷ついた」という声を軽視せず、真摯に受け止めること。そして、背景にある人間関係や事情にも目を向けながら、組織として客観的かつ妥当な判断を重ねていくことが、これからのハラスメント対策の本質です。
オープニングセッションの詳細な内容、また各ご質問の回答は、アーカイブにてご覧いただけます。ぜひアーカイブ視聴をお申し込みの上、ご視聴ください。
▶︎「ファミワンカンファレンス2025」アーカイブ視聴申込(申込・視聴期限:2025年11月30日迄)
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