健康診断前に必読! 働く人の内視鏡検査:胃カメラ?バリウム?どっちを選んだらいい?

健康診断で胃の検査を受けるとき、胃内視鏡(通称:胃カメラ)と、胃透視検査(通称:バリウム)のどちらがいいのか、違いはなんだろうと迷ったことがある人は多いのではないでしょうか?

イメージでいうと胃カメラはしんどそう、バリウムは美味しくなさそうですよね。

すこし前まで、胃カメラとバリウムそれぞれにメリットがあると言われていましたが、内視鏡の発展に伴いそのような状況も少し変化してきているようです。

胃内視鏡と胃透視

一般的に健康診断ではまずバリウム検査が行われ、何かしらひっかかった場合の2次検査で胃カメラが行われることが多いです。これは所要時間、使用物品、人的資源などの違いによります。胃内視鏡は医師が行いますが、バリウム検査は放射線技師が行うことができます。一人にかかる時間も胃カメラのほうが長くバリウムの方が短いです。バリウム検査は検診車で行うことができますが内視鏡の場合、内視鏡機器・検査ベッド・使用した機器を使用する洗浄機など必要物品や人数も多くなるため、多くの人が受ける健康診断ではバリウム検査が行われることが多いのです。筆者自身は、選択できる場合はいつも鎮静剤を使用しての胃カメラを希望しています。というのも、バリウムで何かしら再検査になったら結局胃カメラを受けることになるため(もちろん2次検査にならない人のほうが多いですが)と、嘔吐反射が強いからです。

ご存じの方も多いと思いますが、胃カメラの時一番しんどいのはのどを胃カメラが通過していくときです。私たちの体は異物を感じると拒否するように作られています。そのため内視鏡がのどを通るとき「おえっ」と自然と吐き気を催します。これを嘔吐反射といい、若い人ほどこの反射が強いと言われています。鎮静剤を使用するとこのしんどさは殆どなくなります。

ではバリウム検査でしんどいところはどんなところでしょう。バリウム検査はではまずバリウムを飲む必要があります。そして撮影の時に曖気(げっぷ)がでてしまうと効果的な写真が撮れないので「げっぷを我慢して」と言われますが、これがなかなか大変です。バリウムを飲み、げっぷを我慢しながら声掛けに合わせて狭い検査台の上で色々体勢を変えるため、げっぷを我慢するのが苦手な方、手足が不自由な方、難聴が強い方は不向きかもしれません。バリウムのメリットは胃カメラより比較的安価で、検査後すぐに帰宅することができます。また、胃全体をみることができるためスキルス胃がんの発見に向いているといわれていました。しかし、内視鏡の性能がよくなっている昨今、その差はほとんどないようです。一方胃カメラのメリットは胃を直接見られるため、病変の観察能力が高いこと、拡大観察ができること、処置ができることなどがあげられます。

経口内視鏡と経鼻内視鏡

胃カメラを受けると決めた場合、口からと鼻からどちらからするのがいいのでしょうか。

経鼻内視鏡は経口内視鏡の半分ほどの太さであり、細い分画質が落ちるといわれていましたが、こちらも最近はほとんど遜色がないといわれるようになりました。経鼻内視鏡の場合カメラ自体が細いため治療に使用する太さの処置具は入らないこともありますが、健康診断のようなスクリーニングには適しています。

経鼻内視鏡のメリットは、嘔吐反射が少なく挿入時の苦痛が小さいこと、検査中画像などをみながら医師と会話ができること、息苦しさが少ないこと、基本鎮静剤を使用しないため当日の運転ができることなどです。デメリットは、鼻の手術後等で鼻腔が狭い場合は挿入時に痛みが出たり、経口内視鏡に切り替わることがあることや、鼻出血することがある、拡大観察ができないなどです。

一方、経口内視鏡は太い分、咽頭反射がおきやすく苦痛が大きいです。また検査中は鼻呼吸になるため鼻が詰まっているときは息苦しさを感じることがあります。

ただし、最近は鎮静剤を使用する施設が増加しており、口からの胃カメラでも鎮静剤を使用するとほとんど苦痛がない状態で検査を受けることができます。少しの痛みも苦手な方や、話し声が聞こえるのが不安になるという理由で鎮静剤を希望される方もいます。

鎮静剤を使用しての検査

胃カメラが敬遠される大きな理由のひとつは飲み込むときの苦しさかと思います。「力をぬいてください。」と言われても、嘔吐反射に加えて緊張もありなかなか力をぬくことは難しいですよね。

けれど鎮静剤を使うと苦しさをほとんど感じずに受けることができます。内視鏡の鎮静は外科的手術で使用する全身麻酔と異なり自分で呼吸ができるくらいの浅い鎮静になります。点滴からお薬が入り、うとうとしている間に検査を受けることができます。鎮静剤を使用することで患者さんにとって胃カメラを受けることへのハードルがさがることは病気の早期発見につながるため、鎮静剤を使用する大きなメリットだと思います。

もちろんお薬なのでデメリットもあります。ほとんどは一時的なものですがお薬が効きすぎてしまい血圧が下がる、呼吸が弱くなる、意識が予想より低下して検査後の安静時間が長くなるなどです。

また、以下の場合は静剤が使えません。

・車やバイクで来院している、あるいは当日運転する予定がある・・・検査後にきちんと目がさめ歩けることを確認してからの帰宅になりますが、再鎮静といって再度眠くなることがあります。その際にバイクや車を運転していると命に関わる事故につながるため、運転する予定がある場合は鎮静剤を使用できません。判断力も低下しているため当日は絶対に運転しないでください。

・歩行に不安がある・・・帰宅中に再びふらつきがでることもあるため、歩行に不安がある方は付き添いがいないと鎮静剤を使わないことがあります。

・血圧が低い・・・鎮静剤には血圧を下げる作用があります。そのため検査前から血圧が低い場合は鎮静剤を使用できないか、ごく少量の使用になることがあります。

・安静の時間をとれない・・・鎮静剤使用後は必ず安静の時間が必要になります。検査後の予定が詰まっており安静の時間をとれない方には鎮静剤は使用できません。急いでいる人には不向きです。

よくある質問

・胃カメラの後、仕事に行ってもいいの? 

鎮静剤を使用していない場合、胃カメラ検査のあと仕事にいくのは基本的に問題ありません。

ただ鎮静剤を使用した場合は、普段より判断力が低下していたり、薬剤によって再度眠くなったりふらつくことがあるので、仕事内容にもよりますが在宅ワークのほうが好ましいかもしれません。

・胃カメラの後、食事はすぐ食べられるの?

胃カメラ検査後はおなかがすいていますよね。口からの胃カメラの場合、検査前にのどの麻酔をするため飲食は麻酔が切れてからの摂取になります。(麻酔がきいている間に飲食をするとむせてしまいます。) 検査後に食事をとっていい時間を必教えてくれますのでその時間からにしましょう。組織検査をした場合は、出血のリスクを考えて飲食開始までの時間が長くなります。

鼻からの胃カメラの場合は、のどの麻酔をしないため検査後すぐ飲食することができます。ただ、施設によっては念のためのどの麻酔をすることもありますので検査後に確認してください。

・バリウム、胃カメラ、鎮静どの組み合わせがおすすめですか?

難しいですがこれがおすすめと一概には言えません。少しの痛みも苦手な方は鎮静剤を使用、当日運転する予定のある方は鼻からの胃カメラかバリウムというようにご自分の生活に合わせて選択してください。

内視鏡室に勤務していたとき、「何年も鎮静剤なしでやっているし、画像を見たいから。」と、鎮静剤を希望しない患者さんがいました。のどの力を抜くのも上手で、安静時間もないので颯爽といつも帰宅されていました。鎮静剤使用や鼻からの胃カメラは実施していない施設もあるため、自分が優先したいことを考え、検査を受ける施設がそれに対応しているかを確認し決めていくのがいいと思います。

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