自分らしい未来を描くために― ライフプランとキャリアプランの整理法 からプレコンセプションケアを考える―

目次

はじめに:選択の積み重ねが未来をつくる

私たちは日々、大小さまざまな選択をしながら生きています。
たとえば、靴を右足から履くか左足から履くか。お茶にするか、コーヒーにするか。
ほんの小さなことまで含めれば、毎日は無数の“選択”で成り立っています。

そのほとんどは無意識のうちに選択されていますが、人生の大きな転機に関しては、無意識のまま決めることは難しいものです。

進学、就職、転職、結婚、出産、転居―こうした選択は、多くの人が意識的に選ぶのではないでしょうか。

「この選択で本当にいいのかな?」
 「将来、どうなっていたいのだろう?」


 そんな不安な気持ちになったこともあるかと思います。 大学卒業後の進路、初めての就職、独り暮らしを始めるかどうか、趣味や学びの時間をどう確保するか。など。


生活リズムや人間関係の変化も含めて、考えることは意外と多いものです。こうした様々な選択の積み重ねが、自分の人生を作り上げているのです。

人生の転機とうまく付き合っていくのに役立つのが、ライフプランキャリアプランという考え方です。
 今回は、キャリアコンサルタントの視点から、“自分らしく生きるための選択”を整理するヒントをご紹介します。

STEP1:ライフプランとキャリアプランの違いを知る

まずは、ライフプランとキャリアプラン2つの違いを整理してみましょう。

  • ライフプラン:仕事だけでなく、暮らし・家庭・お金・健康など、人生全体をどう生きたいかを描くもの

  • キャリアプラン:仕事や学びの分野で、どんな経験を積み、どんな形で働きたいかを考えるもの

たとえば、20代の方なら次のような例が考えられます。

  • ライフプランの例
      「20代のうちは趣味や友人との時間も大切にしたい」
      「30歳までに一人暮らしを始め、自分の生活スタイルを確立したい」
      「海外旅行やボランティアなど、今しかできない経験をしたい」
     → 仕事だけでなく、人生全体の過ごし方や経験を考える内容です。

  • キャリアプランの例
      「20代のうちに基本的なビジネススキルを身につけたい」
      「将来は好きなことを仕事にできるよう経験を積みたい」
      「副業やオンラインでの活動も視野に入れて資格を取得しキャリアを広げたい」
     → 働くテーマや方向性、スキル習得など、仕事や学びに関する設計です。

暮らす時間も、働く時間もいずれもあなたの人生をつくる大切な要素です。その両方を切り離さずに、自分はどのような人生を送りたいかを考えることをライフキャリアといいます。

STEP2:自分のライフキャリアの軸を整理する

ライフプランとキャリアプランを考える出発点は、自分の価値観を知ることです。
価値観とは「自分が何を大切にしたいか」「譲れないもの」のことです。

今頭の中にあるあなたの気持ちを書き出してみましょう。

まず、次のテーマごとに自分の「大切にしたいこと」を例を参考に書き出します。書き出せたら、次は書き出した内容を一言でまとめてみましょう。

テーマ書き出す例一言でまとめると
仕事・学び専門性を高めたい/自分のペースで働きたい/複数のスキルを習得したい自己成長/自由/スキル習得
暮らし・日常趣味や余暇を充実させたい/住環境を整えたい/健康を意識した生活を送りたい心の満足/生活の質/健康
家族・人間関係家族との時間を大切にしたい/友人や仲間との交流を楽しみたい家族・パートナー重視/安心・安定
お金・生活基盤貯金や資産を計画的に管理したい/生活の安定を重視したい安心/安定

書き方のポイント

  • 完璧に書こうとしなくて大丈夫です。

  • 「こうありたい」「こうできたらいいな」という気持ちで自由に書き出すだけでOKです。

  • 書き出すことで、自分でも気づいていなかった優先したいことに気づくことがあります。

STEP3:価値観をライフ全体の視点で整理する

STEP2で書き出した内容は、あなたの価値観を示すヒントでもあります。
ライフプランやキャリアプランは、価値観を実現するための“設計図”のようなものです。

価値観をライフ全体の視点で整理すると、仕事と生活を切り離さずに考えられるようになります。
 たとえば、

  • 「仕事を頑張りたい」だけでなく「家族との時間も大切にしたい」

  • 「安定した収入を得たい」だけでなく「心のゆとりも保ちたい」
     

こうして全体像を把握することで、変化の多い時代でも自分らしい選択を続けやすくなります。
価値観を整理する作業は、自分自身を知る時間でもあり、今後の選択に迷ったときの指針になります。

STEP4:価値観をキャリアにどう活かすか

 価値観がはっきりしたら、次はそれをキャリアに活かすステップです。

 まずは、価値観をもとに、キャリアに活かす方法(選択肢)、行動プランを考えてみましょう。

たとえば「自己成長を大切にしたい」という価値観がある場合、資格取得のための資料を集める、短時間のオンライン講座に参加する、というように小さなステップに分けて書き出すことができます。
同じ価値観でも、少しハードルの高い行動も考えてみると効果的です。たとえば資格試験の受験を目標にする(受験日も設定)、仕事で新しいプロジェクトに挑戦する、社外の勉強会に参加する、などです。

大切なのは、すべてを完璧にこなすことではありません。小さな行動でも、積み重ねることで着実に未来の選択肢を広げることができます。
また、こうして行動プランを書き出すことで、頭の中だけで考えるよりも整理され、実行しやすくなります。
 「すぐできること」と「少し挑戦が必要なこと」の両方をリストアップすることで、短期・中期の視点を同時に持つことができます。

価値観キャリアに活かす方法(例)自分の行動プラン(例)
家族優先在宅勤務やフレックス勤務ができる職場を選ぶ在宅勤務を申請してみる/在宅可能な職場を探す
自己成長新しい資格取得や研修への参加を計画する今年中に資格の勉強を始める(情報収集から)
安心・安定長期雇用・福利厚生が整った企業を選ぶ正社員登用制度のある職場を探す
趣味・余暇重視残業が少なく休日が確保できる仕事を選ぶ週末に趣味の時間を確保できる働き方を検討

STEP5:今日からできる小さな一歩

価値観を整理してキャリアに活かす作業は、完璧な未来を決めることではありません。
 大切なのは「今の自分を理解する時間を持つこと」です。

  • 週に一度、自分の考えについて振り返る

  • 興味のある分野の情報を調べる

  • 小さな目標を設定する

今回の整理は短期的なキャリアや今できる選択肢にフォーカスしていますが、中長期・長期のキャリアプランを描くことも大切です。そのためには、まず今の自分の価値観とライフキャリアの軸を整理しておくことが前提です。
価値観の整理が、将来の選択肢を広げる土台になります。

キャリアは“点”ではなく“線”。
立ち止まり、今の自分を見つめ、小さな選択を積み重ねていくことが、自分らしい未来を描く第一歩です。

おわりに

ライフプランとキャリアプランは切り離せない関係にあります。
そして、その中心にあるのが「自分の価値観」です。
 何を大切にしたいのかを整理することで、自然と自分らしい生き方や働き方が見えてきます。プランを立てたからと言って必ずしもその通りにしなければならないことは全くありません。変化の中で“自分の軸”を持ち続けながら、なぜ気持ちが切り替わったのか、その気持ちの奥に隠れていることがどんなことなのかを知っていること、そのような自分を受け入れていることが、ライフキャリアの安定につながります。


 まずは今の自分と向き合うことから始めてみてください。そして、迷った時は一度外にその気持ちを出してみましょう。ぜひ私たちキャリアコンサルタントにご相談ください。

「プレコンセプションケア」を推進したい方へ

妊娠前から始める健康管理「プレコンセプションケア」取り組みのご相談が可能です。プレコンセプションケアの実践をサポートする多様なサービスを提供し、個人向けにはオンライン相談や卵巣年齢チェック、性教育授業を、自治体・企業・教育機関向けには理解促進と行動変容を後押しする効果的な情報発信支援をご提案します。

1. 個人向け多様なサービス提供
オンライン相談、卵巣年齢チェック、動画配信、性教育授業など、お一人おひとりのニーズに合わせた幅広いサービスを展開しています。

2. 組織向け理解促進・行動変容支援
自治体・企業・教育機関に向けて、プレコンセプションケアの普及啓発と実践的な行動変容をサポートします。

3. 効果的な情報発信・啓発活動
オンラインセミナー開催支援、SNS運用サポート、リーフレット等の啓発ツール活用で効果的な情報発信をご提案します。

この記事を書いた人

誰もが自分らしく働けるために大切なことは、一般的な方策の支援だけではなく、まずはどんなことを今感じていらっしゃるのかを丁寧に一緒に見つけることだと思っています。