【薬剤師解説】ピル徹底ガイド:種類(超低用量・低用量)、副作用、避妊以外の効果まで

ピルというと「避妊薬」というイメージが強いかもしれませんが、実は月経痛やPMSの改善、子宮内膜症の治療など、女性の体調管理にも幅広く使われているお薬です。今回は、そんなピルについて、種類や副作用、よくある質問まで、知っておきたい基本をまとめてみました。

ピルにはどんな種類があるの?

ピルには、含まれている女性ホルモンの量や種類によっていくつかのタイプがあります。

【ホルモン量による分類】

ピルに含まれるのはエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンで、このうちエストロゲンの量によって、次のように分けられています。

・超低用量ピル(エストロゲン10μg未満)
 体への負担が少ないタイプで、治療目的でも使われています。月経回数を減らせるものもあり、最近よく処方されるお薬の一つです。
 ▶代表例:ヤーズフレックス、ジェミーナなど

・低用量ピル(10〜35μg)
 避妊やPMSの改善によく使われていて、初めてピルを使う方にも選ばれやすいタイプです。
 ▶代表例:マーベロン、トリキュラーなど

・中・高用量ピル(50μg以上)
 生理日の調整や一時的なホルモン補充に使われることが多いです。継続的な使用はあまり行われません。
 ▶代表例:プラノバールなど

【プロゲステロンの種類による「世代」分類】

ピルはプロゲステロンの種類でも分けられていて、これを「世代」と呼びます。世代が新しいほど、副作用に配慮された成分になっています。

・第1世代:男性ホルモンに似た作用がやや強く、現在はあまり使われていません。
 ▶例:シンフェーズ(ノルエチステロン)

・第2世代:副作用が少なくバランスがとれたタイプ
 ▶例:トリキュラー(レボノルゲストレル)

・第3世代:ニキビや多毛が気になる人向け
 ▶例:マーベロン(デソゲストレル)

・第4世代:むくみやイライラを改善したい人に向いている
 ▶例:ヤーズ、ヤーズフレックス(ドロスピレノン)

それぞれに特徴があるので、何を重視したいか(避妊・月経トラブル・肌荒れなど)によって選び方が変わってきます。

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ピルって誰でも使えるの?

ピルは多くの女性が使えるお薬ですが、いくつか注意点もあります。

以下のような方は、使用を避けたほうがいい・または慎重に検討すべき場合があります。

血栓症や心疾患の既往がある

35歳以上でたばこを吸っている

高血圧・糖尿病・肥満などの持病がある

前兆のある片頭痛がある

持病がある方や心配な点がある方は、まずは婦人科で相談してみると安心です。

よくあるQ&A

Q. ピルには副作用がありますか?

飲み始めの頃に、不正出血や胸の張り・頭痛や吐き気などが出ることがありますが、お薬の成分に体が慣れるにしたがって1~3か月ほどで落ち着くことが多いです。

注意しておきたいのは血栓症という副作用です。まれではありますが、足のむくみや痛み・息切れ・急な胸の痛みなどがあれば、すぐに受診してください。

またピルと乳がんの間に関係はないとされていますが、子宮頸がんのリスクは少し上がるという報告があるため、定期的な検診は大切です。

Q. 飲み忘れたときはどうすればいい?

1日分の飲み忘れであれば気づいたときにすぐ1錠飲み、その日の分も通常通り飲みます。つまり、その日は2錠飲むことになります。

2日以上忘れてしまった場合はお薬の効果が落ちる可能性があるので、コンドームなどの追加避妊をしながら、医師や薬剤師に相談するようにしてくださいね。

Q. 妊娠に影響はある?

ピルをやめると、ほとんどの人が3か月以内に排卵と月経が再開するといわれています。妊娠しにくくなるわけではないので、将来の妊活にも安心して使えます。

ただし、再開するまでの期間には個人差があるため、妊活を始めるタイミングで医師に相談するのもおすすめです。

Q. 授乳中でも使えますか?

産後6か月以降で医師が許可した場合にはピルを使用できることがあります。ただし、ピルの種類や体質によっては母乳の量に影響が出たり、血栓のリスクが高くなることもあるため使用には慎重になる必要があります。

授乳中は「ミニピル」など母乳への影響が少ないタイプが選ばれることもあるので、医師と相談して合ったものを選ぶのが安心です。

おわりに

ピルは避妊だけでなく、女性の体や気持ちに寄り添ってくれる頼もしい存在です。自分に合った使い方を知ることで、月経やホルモンの不調に悩まされる時間を減らし、毎日をもっと快適に過ごせるかもしれません。気になることがあれば、婦人科や薬剤師に相談してみてくださいね。

参考文献:

日本産婦人科学会 低用量ピルの使用に関するガイドライン

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