2026年2月9日、ファミワンは「事例からプレコンセプションケアを学ぶ!―働きがいとライフプランの両立を支える、企業の健康支援とはー」をオンラインにて開催いたしました。
ファミワンではさまざまな業界の女性活躍や健康経営に関するイベントを開催していますが、今回は昨今急速に注目が集まっている「プレコンセプションケア(以下、プレコン)」をテーマに、建設業界においていち早く全社的な取り組みを推進されている大成建設株式会社様をお招きし、企業における実態と今後の展望について皆さまと一緒に考える機会となりました

パネリストには、大成建設株式会社 管理本部 人事部 人財いきいき推進室の志手 哉子氏をお招きし、ファミワン代表看護師 西岡有可とともに講義とトークセッションをお届けしました。
本記事ではプレコンセプションケアの基礎知識と企業の役割をテーマに登壇したファミワン代表看護師 西岡有可の講義パート、および大成建設様の取り組み事例をご紹介いたします。
プレコンセプションケアとは?

まず、「プレコン」とは何なのか。
西岡は「生涯にわたり、身体的・精神的・社会的(バイオ・サイコ・ソーシャル)に健康な状態であるための取組として、性別を問わず、適切な時期に、性や健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めたライフデザイン(将来設計)や将来の健康を考えて健康管理を行うこと」と説明します。

日本ではこども家庭庁が「プレコンセプションケア推進5か年計画」を打ち出すなど、国を挙げた取り組みが始まっています。
講義では、プレコンの対象は「妊娠を希望する女性」だけではなく、「男女問わず、全ての世代の方々」であることが強調されました。
【プレコンセプションケア推進5か年計画(概要・対象者層)】

プレコンは個人で取り組むものというだけでなく、企業・教育機関・自治体が一丸となってサポートしていくべきものとされています。
事実、国が掲げる目標も非常に高く、現在1割以下に留まっている認知度を、5年後には80%まで引き上げることが目指されています。
大成建設の健康課題に関する歩み
続いて、大成建設株式会社の志手氏より、同社における具体的な歩みについてご紹介いただきました。
男性社員が8割を占める同社では、2022年頃から本格的に健康課題に関する取り組みを開始されました。
主に行ってきた取り組みは以下の通りです。

- 社外相談窓口の設置
- 不妊治療中の社員への支援
- 「女性の健康課題」に関する人事担当者向説明会の開催
- 「女性の健康課題」に関する全社員向けeラーニングの実施
こうした土壌づくりの上で、2023年よりプレコンセミナーをスタートし、今年で3回目を迎えました。
トークセッション:大成建設におけるプレコンの実践

セミナー後半のトークセッションでは、西岡と志手氏により、大成建設様で実際にどのように取り組みを進めてきたかが詳しく語られました。
取り組みを始めたきっかけ:不妊治療支援の「その手前」へ

きっかけは少子高齢化という社会課題に対し、企業として何ができるかという視点からでした。
最初は不妊治療支援から検討を始めましたが、「顕在化した悩みへの支援だけでなく、その手前の段階で正しい知識を持つことが、社員の選択肢を広げ、会社にとっての意義に繋がるのではないか」と考えました。
妊娠や出産、将来のライフプランについて考えるタイミングで正しい知識を持ち、少しでも自分の選択肢の幅を広げてもらうことは、社員の人生にとって、また会社にとっても非常に価値のあることだと感じたといいます。
工夫したポイント:一過性にしない「仕組みづくり」

工夫したポイントとして志手氏が挙げられたのは、徹底した仕組みづくりです。
同社では、セミナー受講→希望者への妊孕性確認キット(女性はAMH、男性は精液検査)の配布→結果や不安について専門家に相談できる窓口という3本の軸をセットで提供しています。
セミナーを受けて終わりにするのではなく、自分の状態を知り、その後のケアまで自然につながる設計にすることが、取り組みを進める上での大きなポイントとなりました。

苦労したポイント:「集客」における伝え方の工夫

最も苦労したのは集客(周知)でした。
妊活というテーマはどうしても一歩間違えると、非常にプライベートな領域に踏み込みかねない懸念があります。
そこで、伝え方の切り口を妊活支援ではなく、キャリア形成やライフプランの選択肢を広げるための知識提供という位置づけに変えて案内しました。
これにより、当事者となる社員だけでなく、部下の相談に乗る立場である管理職層も基礎知識を学ぶ機会として活用できるような情報発信を工夫しました。
社内・社外の反響:安心が生んだ「男性プレコン」への注目
社内の反応と「安心感」の醸成

同社では徹底した守秘義務を敷いており、誰が相談し、どんな結果だったかを会社側が一切把握しない仕組みにしています。
あえて会社が踏み込まない距離を保つことが社員の安心材料となっており、利用者の声が直接届くことはありませんが、毎年一定数の参加者が継続していることから、社員の関心の高さと安定したニーズを実感しているといいます。
社外の反応と「男性プレコン」への広がり

社員の8割が男性という同社において、「男性のプレコン」という切り口は社外からも大きな注目を集め、新聞社等からの取材も受けています。
プレコンは女性の問題と捉えがちですが、男性も含めて向き合うべきテーマであると再認識するきっかけになったと志手氏は語ります。
今後の課題:プライバシーと効果観測の両立

3年継続しワードが定着した今、次のフェーズとして「プライバシーを保護しながら、施策の効果や手応えをいかに観測していくか」が課題です。
安心感を損なわずにフィードバックを得る仕組みを、今後も検討していくといいます。
おわりに

セミナーの最後に、志手氏は次のように締めくくりました。
「プレコンセプションケアは、すぐに目に見える成果が出るものではありません。しかし、社員が自分の健康や人生、そしてキャリアについて考えるきっかけを持てること、そしてそうしたテーマについて会社として考える場を用意できているという点は、非常に大きな意味があると感じています。実際に取り組みを続ける中で、プレコンというテーマに触れる機会が社内に少しずつ定着していることは、私たちにとって一つの手応えです。」
大成建設様のように、男性社員が8割を占める環境であっても、伝え方や仕組みを工夫することでプレコンは確実に浸透します。
不妊治療支援のその手前にあるプレコンに取り組むことは、性別を問わず、全ての従業員が自分らしいライフプランを描くための強力なバックアップとなります。
まさに企業のプレコンにおけるパイオニアとして歩まれている同社の事例は、多くの企業にとっても大きな希望となるはずです。
本セミナーが、自社の従業員の未来を守る第一歩として、プレコンセプションケアを検討するきっかけになれば幸いです。
「プレコンセプションケア」を推進したい方へ
妊娠前から始める健康管理「プレコンセプションケア」取り組みのご相談が可能です。プレコンセプションケアの実践をサポートする多様なサービスを提供し、個人向けにはオンライン相談や卵巣年齢チェック、性教育授業を、自治体・企業・教育機関向けには理解促進と行動変容を後押しする効果的な情報発信支援をご提案します。

1. 個人向け多様なサービス提供
オンライン相談、卵巣年齢チェック、動画配信、性教育授業など、お一人おひとりのニーズに合わせた幅広いサービスを展開しています。
2. 組織向け理解促進・行動変容支援
自治体・企業・教育機関に向けて、プレコンセプションケアの普及啓発と実践的な行動変容をサポートします。
3. 効果的な情報発信・啓発活動
オンラインセミナー開催支援、SNS運用サポート、リーフレット等の啓発ツール活用で効果的な情報発信をご提案します。

