骨粗しょう症とは
骨粗しょう症は、骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気です。
特に高齢の女性では、閉経後にホルモンのバランスが変化して、骨粗しょう症になりやすくなりますので、注意が必要です。
加齢によって腸管からのカルシウムを吸収する力が衰えることと、骨の新陳代謝(古い骨をこわすはたらきと新しい骨をつくるはたらき)のバランスがくずれることにより起こります。
骨粗しょう症の骨
骨粗しょう症になると、背中や腰の骨がつぶれる「圧迫骨折」や、転倒による手首や足のつけ根の骨折が起こりやすくなります。
一度骨折が起きると、次の骨折が起きるリスクが高まります。
骨折が連鎖し、そのまま寝たきりになることがありますので、注意が必要です。
厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、介護が必要になった原因は、認知症、脳血管疾患に次いで、骨折・転倒が第3位となっています。
骨粗しょう症の原因
骨粗しょう症の骨は、新陳代謝のバランスが崩れています。
健康な骨では、絶えず古い骨から新しい骨に生まれ変わる「新陳代謝」をして、バランスが取れた状態にあります。
しかし、骨粗しょう症の骨は、骨をこわす細胞(破骨細胞)が、骨をつくる細胞(骨芽細胞)より働かされ、骨がこわされ過ぎている状態です。
破骨細胞の働きを活発にさせる物質「ランクル」がたくさん放出され、「ランクル」によって破骨細胞が活発に骨をこわしています。そのため、骨をつくる骨芽細胞の働きが間に合わず、骨がスカスカになってしまうのです。
閉経との関係
骨粗鬆症は圧倒的に女性、特に閉経後の女性に多くみられます。
成人期の20歳代から40歳代くらいまでは骨芽細胞と破骨細胞はバランスの取れた状態で、骨量は一定に保たれています。
女性は閉経期を迎えると、卵巣から出る女性ホルモン(エストロゲン)が急激に少なくなります。
エストロゲンは、骨の形成を促し、骨の破壊を抑える作用をもっています。
エストロゲンに欠乏により、破骨細胞が骨芽細胞より活発に働くようになり、どんどん骨を溶かしてカルシウムを血液に供給し続けるため、骨量が減少します。
骨粗しょう症診断
骨粗しょう症は、レントゲン検査で骨密度を測ることで診断が可能です。
骨密度を測定するためには、デキサ法(2重エネルギーX線吸収法)、超音波法、MD法、CT法といった詳しい検査があります
これまでに骨折したことがあるかどうかも参考にします。
日常生活でできる骨粗しょう症の予防法
食事
骨を強くするために、食事は栄養素全体の摂取・バランスを考えてとることが大切です。
その中でも、特に大切な栄養素について覚えておくようにしましょう。
骨の主要な構成成分はカルシウムですが、カルシウムの吸収を助けるビタミンDや、骨をつくるはたらきを促すビタミンK、骨を丈夫にするタンパク質が不足しないよう、バランスの良い食事を心がけましょう。
《カルシウム》
骨の成分にとって重要な栄養素です。
1日のカルシウム摂取の目安量は600~750mgです。
耐容上限量は、男女ともに1日2,500mgです。
過剰摂取により健康障害(高カルシウム血症など)が起こる可能性があります。
薬剤やサプリメントなどを使用する場合は、必ず医師に相談してください。
例)
・プロセスチーズ 約6個
1個(18g)あたり113.4mg
・小松菜 2〜3束
1株(40g)あたり68mg
・牛乳 約3杯
コップ1杯(200g)あたり220mg
《ビタミンD》
カルシウムの吸収を助ける働きをします。
1日のビタミンD摂取の目安量は8.5㎍です。
耐容上限量は男女ともに1日100㎍です。
過剰摂取により健康障害(高カルシウム血症など)が起こる可能性があります。
薬剤やサプリメントなどを使用する場合は、必ず医師に相談してください。
例)
・しらす干し スプーン約3杯分
大さじ1(5g)あたり3㎍
・鮭 約4分の1切れ
1切れ(80~150g)あたり25.6-48㎍
・鶏卵 約4個分
1個(Mサイズ殻付)あたり2.3 ㎍
《ビタミンK》
骨の形成を助ける働きをします。
1日のビタミンK摂取の目安量は150㎍です。
血栓を防ぐための薬を服用している場合、ビタミンKを多く含む食品を摂取すると薬の作用が弱まる可能性があります。
薬剤やサプリメントなどを使用する場合は、必ず医師に相談してください。
例)
・味付けのり 約8袋
1人分(3g)あたり19.5 ㎍
・ほうれん草約3株
1株(20g)あたり54u㎍
・納豆 約1パック
1パック(30~50g)あたり180~300 ㎍
適度な運動・日光浴
運動は、散歩や片脚立ち、スクワットなどの軽い運動でも十分です。
骨に体重をかけることで、骨が強くなります。
また、適度に日光を浴びることで、体内で健康な骨の維持に必要なビタミンDがつくられます。
《下肢筋力をつけるスクワット》
5~6回で1セット、1日3セットが目安です。
1.足を肩幅に広げて立ちましょう。
2.息を止めないようにしながら、お尻を後ろに引くように、2~3秒間かけてゆっくりと膝を曲げ、ゆっくり元に戻りましょう。
3.膝の曲がりは90度を大きく超えないようにし、膝がつま先より前に出ないようにしましょう。
《バランス能力をつける片脚立ち》
左右とも1分間で1セット、1日3セットが目安です。
1.転倒しないように必ずつかまるものがある場所で行いましょう。
2.姿勢をまっすぐにして、床につかない程度に片脚を上げましょう。
楽にできる人は回数やセット数を増やして行い、痛みを感じた場合は、運動を中止してください。
無理せず自分のペースで続けてみてくださいね。
骨粗しょう症の治療薬
骨粗しょう症による骨折の予防には、食事の工夫・転倒の予防・運動のほか、薬物治療を継続することが大切です。定期的に受診し、治療を継続することで、骨粗しょう症による骨折が起こりにくくなります。
一度骨折をした方は、再び骨折しやすいといわれているため、特に気をつけて取り組み、予防していきましょう。
骨粗しょう症の治療に使われる代表的なお薬をご紹介します。
《骨をこわすはたらきを抑える薬》
ビスホスホネート製剤、抗ランクル抗体製剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)製剤
《骨をつくるはたらきを助ける薬》
副甲状腺ホルモン(PTH)製剤
《骨をこわすはたらきを抑え、骨をつくるはたらきを助ける薬》
抗スクレロスチン抗体製剤
《骨の材料の補充または骨の代謝を助ける薬》
活性型ビタミンD3製剤、カルシウム製剤、ビタミンK製剤
《骨粗しょう症にともなう痛みを軽くする薬》
カルシトニン製剤
まとめ
いかがでしたでしょうか。
骨粗鬆症は高齢者だけ出でなく、妊娠・出産による体の変化やステロイドの連用、過度なダイエットによる栄養不足などで、若い人でも発症することがあります。
骨密度が平均よりも低い場合でも、食事や運動などの生活習慣を改善することで予防できるため、「まだ必要ない」と思い込まずに、40代になったら骨粗鬆症の検査を受けることをおすすめします。自分の骨粗鬆症のリスクを知り、早いうちから予防に取り組むことが大切です。
参考文献
日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト
https://locomo-joa.jp/check/locotre
「日本人の食事摂取基準」(2020年版)厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkouliyou/kenkou/eiyou/syokuji_Kiyun.htm
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネットHP
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-ca.html
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会編集「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版」
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