「生活習慣病に気をつけましょう」
テレビ、健診結果、病院のポスターなどで、この言葉を聞かない日はないほど、生活習慣病という言葉は私たちの身の回りにあふれています。
しかし正直なところ、「生活習慣病って何?」と聞かれて、すぐに自分の言葉で説明できる人は、決して多くありません。
私は循環器看護師として病棟や外来で多くの患者さんと関わり、そして自分自身の体の変化を通して、この生活習慣病という言葉の重みを年々強く感じるようになりました。
2月は全国生活習慣病予防月間です。
今回はこの機会に、生活習慣病について、みなさんと一緒に整理してみたいと思います。
生活習慣病は、突然なる病気ではありません
生活習慣病とは、食事、運動、睡眠、喫煙、飲酒、ストレスといった日々の生活習慣が、長期間にわたって体に影響し、発症・進行する病気の総称です。
日本内科学会や日本医師会では、かつて成人病と呼ばれていた病気を、年齢ではなく生活背景に着目して生活習慣病と位置づけています。最大の特徴は、時間をかけて進行すること、そして初期にはほとんど症状がないことです。
私たちの体は毎日、生活に適応しながら懸命に働いています。そのため、多少の無理や偏りがあっても、すぐに悲鳴を上げることはありません。
しかし、その頑張りが何年も続くと、少しずつ歪みが表面化してきます。これが、生活習慣病の始まりです。
生活習慣病は、単独では終わらない
医療の現場では、生活習慣病そのものが怖いというよりも、それが引き起こす病気こそが本当の問題だと考えられています。
代表的な生活習慣病には、高血圧、糖尿病(2型)、脂質異常症、肥満などがあります。これらはいずれも、日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会などにより、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の主要な危険因子として明確に位置づけられています。
たとえば高血圧。
血圧が高い状態が続くと、血管の壁には常に強い圧がかかります。その結果、血管は次第にしなやかさを失い、硬く、もろくなっていきます。これが動脈硬化です。
動脈硬化が進行すると、血管は詰まりやすく、また破れやすくなり、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、狭心症といった命に関わる病気として表に現れてきます。
糖尿病も同様です。
血糖値が高い状態が長く続くと、血管の内側が傷つきやすくなり、動脈硬化が加速します。その影響は心臓や脳だけにとどまらず、目(糖尿病網膜症)、腎臓(糖尿病腎症)、神経(糖尿病神経障害)といった全身の臓器に及びます。
日本糖尿病学会では、糖尿病を単なる血糖の病気ではなく、「血管の病気」であると繰り返し強調しています。
生活習慣病が怖いと言われる理由は、症状が出にくいまま進行し、ある日突然、重大な病気として姿を現す点にあります。
だからこそ、生活習慣病は、放っておいても何とかなる病気ではなく、早く気づき、向き合うことで未来を守れる病気なのです。
なぜ自覚症状がないのか
看護師として多くの患者さんと接してきましたが、よく聞く言葉があります。
「こんなに悪いなんて思わなかった」
「自覚症状が全然なかった」
生活習慣病が厄介なのは、かなり進行するまで自覚症状が乏しい点にあります。
血圧が高くても痛みはありません。コレステロール値が高くても、体調はほとんど変わりません。血糖値が上がっても、日常生活に支障が出ないことも多いのです。
日本内科学会や日本医師会は、症状がない=病気がない、ではないという点に注意を促しています。何らかの症状が出たときには、すでに血管や臓器にダメージが蓄積している。それが生活習慣病の特徴です。
40代は生活習慣病の分かれ道
40代は、生活習慣病にとって非常に重要な年代です。
若い頃は、多少無理をしても、寝不足でも、食生活が乱れても、体は何とかついてきてくれました。
しかし40代になると、代謝が落ち、ホルモンバランスが変化し、疲れが抜けにくくなり、体重も落ちにくくなってきます。
特に女性は、更年期に向かう過程で自律神経が乱れやすくなり、血圧や体重、血糖値にも影響が出やすくなります。 私自身も、前と同じ生活をしているのに、結果が違うと感じることが増えました。
今まで大丈夫だったからという感覚が通用しなくなるのも、この年代の特徴です。
生活習慣病は、自己責任ではありません
ここで、ひとつ大切なことをお伝えしたいと思います。
生活習慣病という名前から、自己管理ができていない人、だらしない人がなる病気というイメージを持たれがちですが、決してそうではありません。
生活習慣病は、意志の弱さだけで起こるものではありません。
遺伝、仕事の忙しさ、夜勤や交代制勤務、家事・育児・介護、社会的ストレスなど、さまざまな要因が重なった結果として起こるものです。
生活習慣病は、早く知るほど守れる病気
ここまで読むと、生活習慣病が少し怖く感じた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、生活習慣病には希望もあります。それは、早く気づけば、防げる、あるいは進行を遅らせられる病気だということです。
日本高血圧学会や日本動脈硬化学会では、生活改善や適切な治療によって、心筋梗塞や脳卒中のリスクが低下することが示されています。
健診で数値を知ること、そして自分自身の変化に気づくこと。それ自体が、すでに予防の第一歩です。
予防の基本は、驚くほどシンプル
生活習慣病予防というと、何か特別なことをしなければならないと感じる方も多いかもしれません。しかし、その基本は驚くほどシンプルです。
食事では、塩分を少し控え、野菜を意識して取り入れること。
運動は、激しいものでなく、日常の中で体を動かす機会を少し増やすこと。
睡眠は、時間の長さよりも質を意識し、寝る直前のスマートフォン使用を控えること。
そして、定期的な健診を受け、数値の変化を確認すること。
これらは、日本高血圧学会や日本糖尿病学会などでも繰り返し推奨されている、現実的で続けやすい予防策です。
生活を丸ごと変える必要はありません。
食事を完璧に管理しなくてもいい。運動を習慣化できない日があってもいい。眠れない夜があってもいい。
大切なのは、できない日が続きすぎないことです。
2月を、きっかけの月に
生活習慣病は、みなさんを怖がらせるための言葉ではありません。
これから先の人生を、より長く、より自分らしく生きるための気づきのきっかけです。
完璧を目指す必要はありません。できることを、できる範囲で、少しずつ。
2月のこの時期を、自分の体に目を向ける月にしてみませんか。
参考・引用文献
日本医師会:生活習慣病と予防に関する啓発資料(公式サイト)
日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン
https://www.jpnsh.jp/guideline.html
日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン2024 PDF
https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/22.pdf
日本動脈硬化学会:生活習慣病関連解説
https://www.j-athero.org/jp/general/index/
日本生活習慣病予防協会(月間情報)
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