働く女性の未来を守る、知っておきたい「婦人科がん」

仕事や家事、育児に追われる毎日の中で、自分の身体の変化を「きっと疲れのせい」「そのうちよくなるはず」と後回しにしていませんか?
気になる症状があっても、「忙しいから」「病院に行くほどではないかも」と受診を先延ばしにしてしまうことも多いのではないでしょうか?

自分の体調よりも周囲を優先してしまいがちですが、20〜40代は婦人科系の病気を発症する可能性のある年代でもあります。

今回は20代から40代の働き盛りの女性に知ってほしい「婦人科がん」のリスクと基礎知識について紹介します。

目次

女性のがんの基礎知識

がんの統計2025、女性の部位別予測がん罹患数(2024年)によると女性のがん罹患数は全体で約42万1,000人、最も多いのは乳がん(22%)、次いで大腸がん(16%)、肺がん(10%)と続き、子宮がん(7%)は第5位に位置しています。

(がんの統計2025よりFamioneが作成)

女性の2人に1人が、一生のうちに何らかのがんと診断されると推計されています。

「婦人科がん」とは

婦人科がんとは、女性の生殖器に発生する悪性腫瘍の総称です。

20〜40代では「子宮頸がん」の割合が比較的高く、 閉経前後では「子宮体がん」や「卵巣がん」が増加しています。

女性は年齢によって注意すべき婦人科がんは異なります。自分の年代に合わせた知識と検診が重要です

子宮頸がん

子宮の入り口(子宮頸部)にできるがんです。 一般的にがんは加齢とともに増えますが、子宮頸がんは20代後半から増加し始め、30代から40代にかけて罹患(りかん)率のピークを迎えるという特徴があります。若い世代で注意が必要ながんです。

症状

子宮頸がんはCIN(子宮頸部上皮内腫瘍)やAIS(上皮内腺がん)という、がんになる前の状態を経てからがんになりますが、この時期には症状はほとんどありません。

子宮頸がんが進行すると、性交時の出血やおりものの変化(膿っぽいものや水っぽくなるなど状態はさまざま)がみられます。

さらに進行して、子宮の外まで広がると多量の出血、下腹部や腰の痛みなどの症状があらわれます。

主な原因

HPV(ヒトパピローマウイルス)への持続感染が原因です。HPVは性交渉の経験がある人の多くが一度は感染するありふれたウイルスですが、高リスク型HPVの持続感染が続くと細胞に変化が起き、がんに進行することがあります。

初期は症状が出にくいですが、早期に発見されると比較的予後のいいがんなので、予防と定期的な検診が欠かせません。

治療法

子宮頸がんの治療は、手術と放射線治療が中心となります。早期であれば円錐切除術や子宮全摘術がおこなわれ、進行期には放射線療法と抗がん剤の併用が標準治療です。治療に関しては年齢や将来の妊娠を希望するかどうかを考慮して決定されます。

予防のポイント

HPVワクチン+子宮頸がん検診の両方が大切です。

HPVワクチン

子宮頸がんや予防できるがんです。

HPVワクチンは初めての性交渉前に接種することが望ましいと考えられており、小学校6年生から高校1年生の女子を対象に定期接種されています。

子宮頸がん検診

子宮頸がん検診は、主に「細胞診検査」が行われています。対象は20歳以上の女性で、公費による検診は2年に1回とされています。

子宮頸部(子宮の入り口)をブラシなどでこすり、異常な細胞がないか顕微鏡で調べる検査です。

市区町村によってはHPVの感染の有無を調べる「HPV検査単独法」を実施することもあります。対象は30歳以上の女性で、5年に1回の検査頻度です。細胞診と同様に、子宮頸部を、医師が専用のブラシやヘラでこすって細胞を採り、HPVに感染しているか調べます。

市区町村からのお知らせを見逃さないようにしましょう。

こんな症状があれば受診を

◻︎性交後の出血

◻︎おりものの増加

◻︎おりもののにおいの変化

◻︎生理でない不正出血

子宮体がん

子宮内膜から発生するがんのことをいいます。予防法は確立されておらず、検診も特に定められていません。ただ、早期に発見、治療ができると予後の悪くないがんのため、不正出血など、気になる症状がある場合は早めに受診することをおすすめします。

主な原因

更年期前後のホルモンバランスの変化が関係していると考えられています。肥満や糖尿病がある方、妊娠・出産歴がない方、不妊治療歴がある方はリスクが高まる可能性があります。

生理が不規則になったり、閉経後に出血がみられたりする場合は、子宮体がんのサインである可能性があります。

治療法

子宮体がんの治療は、手術を中心として、がんの進行具合(ステージ)や再発のリスク、将来の妊娠の希望などに合わせて、「薬物療法(抗がん剤・ホルモン剤)」や「放射線治療」を組み合わせておこなわれます。

若いうちに子宮体がんとなり、将来の妊娠を希望する場合は、子宮を残す選択肢を検討できることがあります。

こんな症状があれば受診を

◻︎閉経後の出血

◻︎生理とは違う不正出血

◻︎生理の量が急に増えた

◻︎不規則、下腹部痛や腰痛が長引く

卵巣がん

初期症状が出ないことが多く、気づいたときには進行していることが多いです。

卵巣がんも予防法は確立されておらず、検診機会はありません。日本では毎年約1万人以上が罹患しています。

主な原因

卵巣がんの約10%は遺伝的要因によるものと考えられており、家族に乳がん・卵巣がんの方がいる場合は、リスクが高まることがあります。

治療法

卵巣がんや卵管がんが疑われる場合、まずは手術を行い、可能な限りがんを取り除くことが基本となります。その後、がんの進行度、組織のタイプや悪性度、手術でどの程度取りきれたかなどを総合的に判断し、今後の治療方針を決定します。

多くの場合、手術のあとには薬物療法(抗がん剤治療など)を追加します。一方で、がんが広がっており、初回手術で十分に取り除くことが難しいと考えられる場合には、先に薬物療法を行ってがんを小さくしてから手術を行う方法が検討されることもあります。

こんな症状があれば受診を

◻︎お腹が張る感じが続く

◻︎膨満感、すぐにお腹がいっぱいになる

◻︎トイレが近くなる

◻︎便秘になる

◻︎足がむくむ

その他の婦人科がん

腟がん・外陰がんは比較的まれですが、存在します。外陰がんはかゆみ・しこり・潰瘍などが症状として現れることがあります。これらもHPVが関与する場合があります。

婦人科の「かかりつけ医」を持とう

忙しさの中で、身体の変化を「よくあること」と見過ごしてしまうことは少なくありません。

婦人科がんの多くは、早期に発見すれば治癒率が高く、日常生活への影響をできるだけ抑えた治療が可能です。定期的な婦人科検診の受診、自身の身体の変化への気づき、そしてHPVワクチン接種の検討が重要です。

婦人科を受診するポイントを以下のコラムでまとめています。

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気になる症状があるときに気軽に相談できる「かかりつけの婦人科」を持つことは、将来の健康を守る大きな力になります。困ったときに相談できる場所があるだけで、安心感にも繋がります。

終わりに

今回は婦人科がんについてまとめました。婦人科がんは早期発見・早期治療することで予後のいいがんであることが多いです。日常的に自分の身体と向き合い、かかりつけの婦人科で気になる症状がある際は早めに相談するようにしましょう。

参考文献

・“がん統計と図でみるがんの統計 2025”. 国立がん研究センターがん対策研究所がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/pdf/cancer_statistics_2025_fig_J.pdf, (参照 2026-02-26).

・“婦人科がん”. 国立がん研究センター東病院院https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/medical_oncology/020/02030/index.html, (参照 2026-02-26).

“子宮頸がん 詳細情報”. 国立がん研究センターがん対策研究所がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/index.html, (参照 2026-02-26).

・“子宮頸がん 予防・検診”. 国立がん研究センターがん対策研究所がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/prevention_screening.html, (参照 2026-02-26).

・“子宮体がん”. 公益社団法人 日本産科婦人科学会. https://www.jsog.or.jp/citizen/5714/

・“子宮体がん 予防・検診”. 国立がん研究センターがん対策研究所がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/prevention_screening.html, (参照 2026-02-26).

・“卵巣がん 詳細情報”. 国立がん研究センターがん対策研究所がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/about.html, (参照 2026-02-26).

・“卵巣がん 予防・検診”. 国立がん研究センターがん対策研究所がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/prevention_screening.html, (参照 2026-02-26).

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この記事を書いた人

「助産師は女性のライフステージに携わり続ける仕事」という助産学講師の言葉を胸に、助産師・保育園看護師として妊娠・出産・育児に関わるサポートを行ってまいりました。保育園では乳幼児の健康管理に加え、働くお母さま方との交流を通じて、仕事と育児の両立に伴う悩みや育児不安に寄り添うことの大切さを実感しました。
専門職として妊娠・出産・育児に関する正確な情報をお伝えするとともに、二児の母としてのリアルな視点を踏まえながら、ライフステージの各段階に寄り添うサポーターでありたいと考えております。