マイクロアグレッションによる見えない弊害

目次

マイクロアグレッションとは?

あまり聞きなれない方も多いと思いますが、最近注目されてきているワードの一つに「マイクロアグレッション」というものがあります。

マイクロアグレッションとは、「微細な攻撃」という意味です。無意識下にある差別や偏見が表面に現れる行動のことを指します。さらっと言われることで問題視しづらい一方で、受け手にとっては積み上げられていく心理的負担が徐々に問題化していくことがあります。話し手にとっては悪意があるわけではなく、何気ない態度の中でちょっとした言葉に姿を現すマイクロアグレッションなので、攻撃しているつもりは全くないのに、相手に小さな傷を負わせてしまいます。

例えばどのようなものか。例で見ていきましょう。

・女性に対して「意外としっかりしてるね」

・若者に「ゆとりだからね」

・外国人に「日本語上手ですね」と繰り返し言う

・傷害のある人を過度に手助けする

一件親切に見えますが、受け手にとっては「あなたにはちょっと問題がある」と伝わってしまう場合もあるでしょう。そのような言葉がけのことをマイクロアグレッションと言います。

気づかれにくさが問題

言ってくる人に悪意が無いため、もちろん言う側の人は問題に気づきません。言われた側も言ってくる人に悪意が無いことや親切の延長線上の言葉であることは理解できることが多いため問題にしにくいでしょう。

小さな言葉を拾ってわざわざ問題にするのもわざとらしいと感じるでしょうし、関係が悪くなることを望んでいないと言いにくさに繋がります。言った側は問題とは認識していず、言われた側も言い返しにくい、また周知で見ている人も言われた側が傷ついただろうなと思ったとしても、大した問題ではないと感じることが多いようです。

流れていくコミュニケーションの中で通り過ぎていってしまうような類のちょっとした相手を傷つけてしまう言葉、それが問題にしづらいけど確かにそこにある小さな傷ということでしょう。

“見えない弊害”が生まれるわけ

マイクロアグレッションが厄介なのは、一つ一つはちょっとしたことだったとしても、積み重なっていく中でストレスに感じ、蓄積されることにあります。

言われる側にしてみれば、自分のことを相手にわかってもらえないと感じたり、「女性」「外国人」「障碍者」などのレッテルをつけられたままでやり取りを重ねなければならない苦痛が生じたり、周りの人にもわかってもらえず小さなことを気にしすぎているように捉えられてしまったり、次第に自尊心が低下していってしまい孤独感に繋がっていくことが考えられます。

長期的に見るとメンタルダウンしてしまうことも、もちろんあるでしょう。意外と見過ごされがちではあるけれど、パフォーマンス低下を起こす小さな偏見による言葉をどうしていけばいいのでしょうか。考えていきましょう。

マイクロアグレッションは減らしていきましょう

まずはマイクロアグレッションのような偏見から来る小さな言葉が人を傷つけることがあることを知るところから始めていきましょう。マイクロアグレッションを完全になくすことは難しいかもしれませんが、減らす努力はし続ける必要があると思います。

・自分の常識≠相手の常識

自分の常識は他人にとっても常識とは限りません。「普通こうでしょ」とか「当り前だ」と思うことは誰かにとっては傷つくきっかけになる言葉を生み出す価値観かもしれないことを知っておくことが大切です。自分自身の無意識の前提を知ることが、マイクロアグレッションを減らす結果は始まります。

・相手を気遣って会話することはコミュニケーションの基本マナー

会話は一人でするものではありません。必ず相手がいます。その相手のことを考えてコミュニケーションを取っていくことは必要なマナーではないでしょうか。

自分にとってはなんてことないことでも、相手にとっては言われたくないことかもしれないと考えてみることが大切です。もちろんわからないこともあるでしょうし、気にしすぎてしまうと声すらかけられないということにもなってしまうかもしれません。

ただちょっとだけ配慮しようとするくらいがちょうどいいのではないかと私は思います。

・不愉快にさせてしまったら素直に受け止めましょう

もしうっかりマイクロアグレッションを行ってしまい、相手が嫌な顔をしたり、指摘してきたりした場合は、「そんなつもりじゃなかった」と反論する前に、相手を傷つけてしまったことを素直に受け止めて謝りましょう。

事実としては相手を傷つけてしまったわけです。信頼関係を回復させるために、素直に受け止める姿勢が大切です。

安心安全な話せる環境づくりが大切

誰もが安心して話せる環境づくりがとても大切です。

しかしいろんな考え方の人が集まる中、安心な環境を作っていくことは簡単ではないかもしれません。でも目指さなければ、一人一人が気をつけなければ、決して達成することはないのではないでしょうか。

それぞれが自己理解を深め、お互いを思いやり、会話楽しめる環境にしていくことは、マイクロアグレッション防止につながっていくことでしょう。

まとめ

マイクロアグレッションについて考えてきました。

ハラスメントというほどではなく、意図して相手を傷つけているわけでもない、しかし相手はちょっぴり傷ついてしまった、そんな「微細な攻撃」は言われる方はもちろんですが、言う方もやりたかったわけではないわけです。

自分の常識を知り自己理解を深めると、他者理解につながっていくでしょう。自分がわからないと他者と自分のどこがどう違っているかわからないからです。

社会に残る偏見の“影”を一人一人が気遣うことで減らしていき、誰もが安心して会話を楽しめる環境を作っていきましょう。

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この記事を書いた人

NPO法人日本心理教育ラボ理事長、公認心理師 岩崎恵美のアバター NPO法人日本心理教育ラボ理事長、公認心理師 岩崎恵美 NPO法人日本心理教育ラボ理事長、公認心理師

NPO法人日本心理教育ラボ理事長、公認心理師、キャリアコンサルタント、ブリーフセラピスト、NLPマスタープラクティショナー
プロフィール:流通業界の大手企業に総合職で入社。妊娠により退社後は、3人の子育てをしながら英語教室を開き、PTAでは会長を2度引き受けるなど積極的に参加し地域活動に貢献。その間並行してNLPや心理学を学び、2010年からカウンセリングサロンWISDOM HOUSEを経営。2012年にはNPO法人日本心理教育ラボを設立し企業の対人支援者育成や組織開発、人材育成に尽力している。