ミッドライフクライシス(中年の危機)をチャンスと捉えよう!

目次

ミッドライフクライシスとは?

ミッドライフクライシス(中年の危機)は、40代~50代を中心に多くの人が経験する心理的なゆらぎや葛藤状態を指します。中年期特有の心理的危機と定義されています。40代から起こりやすいとはいえ、年齢にはばらつきがあります。環境の違いも手伝って、個人差があることを理解しておきましょう。

一般的に人生の折り返し地点に差し掛かり、「私の人生このままでいいのか」「これまでの選択は正しかったのか」と疑問を感じ不安を感じるに至るといったことが心理的に起きることです。これにより、自己評価の低下や将来への過度な不安が生じたり、過去自分がした選択を後悔したりといったことが起こります。つまりネガティブな状態に陥るということです。

人生100年時代に入り、子育てを終えて、または仕事を長くやってきて、ふと「これからどうしよう?」「これで良かったのか?」など、がむしゃらに走ってきた今までに一息つく頃に起こるふと客観視するタイミングなのでしょう。クライシス(危機)と名前が付いていますが、これをチャンスと捉えてこの先をイメージしていくといいのではないかと私は考えます。私自身、今56歳です。

ちょうど中年の危機の真っただ中です。更年期障害も終わりを迎えて、いよいよ人生後半に差し掛かっています。皆さんと一緒にこのミッドライフクライシスを考えていきたいと思います。

ミッドライフクライシスが起こる理由と背景

ちょうど世代的にキャリアの停滞や天井感を感じる頃でしょう。

ずっとがむしゃらに仕事してきたけど、先が見えてきた頃なのではないでしょうか。先細りしていくキャリアにモチベーションを保つことが難しくなっている人もいるのではないかと思います。家庭においても、子どもがいる家庭では子育てが終了し、子どもたちが巣立つタイミングです。今まで子どもを育てることに注いできたエネルギーを今後はどこに向けたらいいのかと力が抜けてしまう頃でしょう。また親の介護が始まる時期とも重なります。ずっと気になっていたことが現実になってくるわけです。親のことばかり言っていられません。自分自身も老いを感じ始めてくる頃です。身体的な変化を感じ、将来への漠然とした不安は誰しもが抱えることだと思います。また経済的にも年金のこと、物価高も手伝って気になるところでしょう。自分の将来の為にどのくらい貯蓄しておかなければいいのかも考えていく必要があり、そのあたりも気になってくる頃でしょう。

 最近ではSNSが当たり前になり、周りの同世代の人たちの様子がダイレクトに伝わってくるようになりました。それに伴い、他の人と自分を比較してしまいよりネガティブな気持ちに陥ってしまうことも増えているように思います。

また、世の中の変化も著しく、AIが広がっていっていますね。今後どんな世の中になっていくのか想像しにくい状況です。世界情勢も心配なことばかり起きています。また、災害も温暖化の影響で増えていますね。将来が不安になるのはこの世代の人たちだけではないでしょう。

このような背景によって、心理的なゆらぎが強まる時期と言えます。それにより、精神メント行動面の両方に影響が出ます。次はそのあたりを見ていきましょう。

症状は精神面と行動面に現れる

精神面に出る症状としては、漠然とした不安感、焦燥感、自信の低下、イライラ、やる気の低下、虚無感などが考えられます。

 行動面に出る症状としては、衝動的な転職活動、高額な買い物、新しい挑戦などが見受けられるでしょう。

 ネガティブなことが悪いのではなくて、ネガティブな状態になっていることをどう利用してより良い人生にしていくかが問われているということです。例えば行動面として新しい挑戦をすることは、新しい人たちとの出会いに繋がり、知らなかった知識を得ることになり、新しい居場所に繋がるかもしれません。またそれは、意欲や熱意に繋がり、モチベーションを今までと違うところに持つことができるという結果に繋がることになる、ということであれば、ミッドライフクライシスも悪くないでしょう。

ミッドライフクライシスを「壊れる時期」ではなく、「再編成の時期」と捉えましょう

ミッドライフクライシスの時期は、心理学でいえばユングが人生の後半を「内面の成熟の時期」と捉えて、外側の役割から内側の欲求へと軸が移る転換点と説明しています。

クライシス(危機)と名前が付いているので悪い印象がありますが、要は捉え方を整えて挑んでいくといいというものです。つまり、ミッドライフクライシスは、人生の後半をより自分らしく生きる為の再構成プロセスであると捉えることができます。

 この時期に価値観の棚卸しをして自分を見つめ直してみましょう。将来の不安を考えるのではなく、これからの人生をどうマッピングしていこうかと考えるといいのではないでしょうか。今までの自分は何を大切にしてきたのかを考えてみる、仕事で一番大事にしてきたことは何か(キャリアアンカー)、これから大事にしていきたいことは何か、など考えていくといいでしょう。

キャリアについては、近年多様化が進み、「一本未知の成功モデル」が崩れています。いろんな働き方や価値観が選べるようになっています。副業もできるようになってきていますし、時間で働く選択肢も増えてきています。自分が今後どういう働き方をしていきたいかも見つめ直してみるといいでしょう。

 若さを失ったことも大きなロスト感に繋がっていると思います。勢いがあった時代が終わり、可能性が無限ではなくなったことでしょう。成熟期において考えるべきことはなんなのか、を見極めていく時期です。ロスト感は言語化し、カウンセラーや友人や家族に聴いてもらいましょう。もしくはノートに書きだすのも良いと思います。自己理解が進み、吐き出すことでカタルシス(浄化)を起こすことができるでしょう。

 家庭についても見直していくといいとも思います。役割の変化が一番大きいのは家庭かもしれません。家族関係を再構築していくことは長寿になった私たちには必須でしなくてはいけないことだと思います。これからの家族の形を考えていきましょう。

揺らぎはあなたが変わろうとしてるサイン

ミッドライフクライシスをここまで見てきましたが、危機とは変化の兆しです。第二の思春期のようなものです。そう思うと若さを感じていいかもしれませんね。「何を失ったか」よりも「何を大切にしたいか」を考えていくといいでしょう。中年の危機とはあなたが人生の後半戦を豊かにするための準備期間です。焦らず、周りと比べずに自分のペースを大事にして整えて乗り切っていきましょう。

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この記事を書いた人

NPO法人日本心理教育ラボ理事長、公認心理師 岩崎恵美のアバター NPO法人日本心理教育ラボ理事長、公認心理師 岩崎恵美 NPO法人日本心理教育ラボ理事長、公認心理師

NPO法人日本心理教育ラボ理事長、公認心理師、キャリアコンサルタント、ブリーフセラピスト、NLPマスタープラクティショナー
プロフィール:流通業界の大手企業に総合職で入社。妊娠により退社後は、3人の子育てをしながら英語教室を開き、PTAでは会長を2度引き受けるなど積極的に参加し地域活動に貢献。その間並行してNLPや心理学を学び、2010年からカウンセリングサロンWISDOM HOUSEを経営。2012年にはNPO法人日本心理教育ラボを設立し企業の対人支援者育成や組織開発、人材育成に尽力している。