企業認定制度とは?
企業認定制度とは、厚生労働大臣や経済産業大臣などが一定の基準を満たした企業に認定を与えるものです。
認定されると、各省庁のホームページなどでの公表や、認定マークの商品や広告への表示ができるため、働きやすい企業であることを社会的にアピールできます。
また、公共調達での加点対象や融資の優遇措置など、さまざまな特典を受けられることもメリットです。
ここでは、7つの認定制度について、概要と評価基準、取得のメリットを紹介します。
1.くるみん認定
くるみん認定は、厚生労働大臣から「子育てサポート企業」として認められた企業に与えられます。
次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画(100人を超える企業は策定・届出義務があります)を策定・届出を行った企業のうち、一定の基準を満たした企業が対象です。
■評価基準(一例)
以下の3種類に分けられており、それぞれの評価基準によって認定されます。
男性の育児休業等取得率7%以上、育児休業等・育児目的休暇取得率15%以上
・くるみん
男性の育児休業等取得率10%以上、育児休業等・育児目的休暇取得率20%以上
・プラチナくるみん(くるみん、トライくるみんを受けたことのある企業が対象)
男性の育休業等取得率30%以上、育児休業等・育児目的休暇取得率50%以上
そのほか、女性の育休等取得率や育児に関する各種制度の実施状況、労働時間の実績なども評価の対象です。
さらに、上記3つのくるみん認定を受けた企業のうち、不妊治療と仕事の両立を支援した企業については、それぞれの認定に対し「プラス」を追加した認定(「くるみんプラス」など)を受けることができます。
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■メリット
くるみん認定を受けるメリットは次の通りです。
・自社商品や広告などへの認定マークの使用が可能
・助成金の支給(くるみん以上の認定を受けた中小企業(300人以下)が対象)
・公共調達における加点評価
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2.えるぼし認定
えるぼし認定は、女性の活躍推進に取り組んだ企業に対して厚生労働大臣から与えられる認定制度です。
女性活躍推進法に基づき行動計画を策定・届出を行うことが条件となっています。
■評価基準(一例)
えるぼし認定はえるぼし・プラチナえるぼしの2種類に分かれており、えるぼし認定は取り組み状況に応じてさらに3段階に分かれています。
・えるぼし
採用、継続就業、働き方、管理職の比率、多様なキャリアコースの取り組みに対して3段階に評価されます。
・プラチナえるぼし
えるぼしの評価に加え、行動計画を達成したことや公表状況により、プラス評価が与えられ「プラチナ」が付きます。
ファミワン関連記事:初心者にもわかる!えるぼし認定とは
■メリット
えるぼし認定を受けるメリットは次の通りです。
・自社商品や広告などへの認定マークの使用が可能
・公共調達における加点評価
・日本政策金融公庫による融資(優遇利率で貸付)
3.ユースエール認定
ユースエール認定は、若者の雇用に対する取り組みをした企業に対し、厚生労働大臣が認定します。
若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業(常時雇用労働者300人以下)が対象です。
■評価基準(一例)
以下のような取り組みに対し、評価が行われます。
・若者対象の正社員求人を行なっていること
・若者の採用、人材育成への取り組み
・離職率、労働時間、育休取得率に対する実績
ファミワン関連記事:ユースエール制度とは
■メリット
ユースエール認定を受けるメリットは次の通りです。
・自社商品や広告などへの認定マークの使用が可能
・公共調達における加点評価
・日本政策金融公庫による融資(優遇利率で貸付)
・求人活動に対するバックアップや優遇措置(認定企業限定の面接会、ハローワークなどでの重点的なPR)
4.もにす認定
もにす認定は、障害者雇用に関する取り組みを行う企業に対し、厚生労働大臣が認定します。
障害者の雇用の促進および安定に関する取り組みの実施状況が優良な中小事業主が対象です。
法定雇用率(雇用義務がない規模の場合は1名以上)を達成していることが必須条件です。
■評価基準(一例)
障害者雇用に関する取り組み、成果、情報の開示に対してそれぞれ評価基準があり、一定の点数以上を獲得することなどが求められます。
■メリット
もにす認定を受けるメリットは次の通りです。
・自社商品や広告などへの認定マークの使用が可能
・公共調達における加点評価
・日本政策金融公庫による融資(優遇利率で貸付)
・求人活動に対するバックアップや優遇措置(認定企業限定の面接会、ハローワークなどでの重点的なPR)
5.安全衛生優良企業公表制度
安全衛生優良企業公表制度は、労働者の安全や健康を確保するための取り組み積極的な企業に対して、厚生労働大臣が認定を与えるものです。
■評価基準(一例)
以下のような実績や取り組みに対し評価が行われます。
・過去3年間で労働安全衛生法に基づく重大な違反がないこと
・上記に加えメンタルヘルス対策や過重労働防止など、安全衛生に対する取り組みを積極的に行っていること
■メリット
安全衛生優良企業となった場合、受けられるメリットは次の通りです。
・自社商品や広告などへの認定マークの使用が可能
・厚生労働省のホームページにおける企業名の公表
6.健康経営優良法人認定制度
健康経営優良法人認定制度は、健康経営(※)に関する取り組みを行う企業を対象に、経済産業省が行っている認定制度です。
地域の健康課題に即した取り組みや、日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している企業に与えられます。
※健康経営とは
従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待される。 (引用:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html)
法人の規模ごとに、以下の2部門に分かれています。
・大規模法人部門
従業員の健康管理に対する取り組み状況などを評価する健康経営度調査回答企業の中から、従業員の健康管理が優良な(健康経営度の高い)企業が選出されるものです。
上位500社に対しては「ホワイト500」が付加されます。
・中小企業法人部門
経済産業省に申請した企業の中から、従業員の健康管理が優良な(健康経営度の高い)企業が選出されるものです。
上位500社に対しては「ブライト500」が付加されます。
■評価基準(一例)
経営理念や体制づくりのほか、以下のような制度・施策が評価対象になります。
・過重労働対策
・メンタルヘルス不調対策
・健康増進、生活習慣病予防対策
・ヘルスリテラシー教育
・健診、ストレスチェックを通じた健康課題の把握
■メリット
健康経営優良法人に認定された場合のメリットは次の通りです。
・自社商品や広告などへの認定マークの使用が可能
そのほか、自治体などが主催する同様の認定制度によっては公共調達への加点など、さまざまな特典を受けることができます。
7.なでしこ銘柄
なでしこ銘柄は、女性活躍推進に優れた上場企業に対し、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定します。
「中長期の企業価値向上」を重視する投資家に向けて、優良銘柄として紹介することを通じて、企業価値の向上と女性活躍推進の取り組みを加速させることが本制度の目的です。
毎年約50社が選定されるほか、なでしこ銘柄に準ずる企業が「準なでしこ」として選定されます。
■評価基準(一例)
企業への調査票に基づき、以下の女性活躍推進の取り組みに対し評価されます。また、経営状況の実績(ROE:自己資本利益率)も加点要素です。
・経営戦略への組み込み
・推進体制の構築
・ガバナンス、意識改革
・全社的な環境・ルールの整備
・管理職および従業員の行動・意識改革
ファミワン関連記事:なでしこ銘柄について
■メリット
なでしこ銘柄に選定されることで、以下のメリットがあります。
・投資家への自社銘柄のアピール(経済産業省のホームページなどでの公表、取り組み事例の紹介)
企業認定制度を活用して、働き方改革に取り組もう
以上のような認定を受けると、自社の商品や広告などに認定マークを使用したり、認定企業として公表されたりすることで、企業価値が向上するでしょう。また、公共調達や融資などでさまざまな特典を受けることも可能になります。
これからは、ダイバーシティや働き方改革がますます重視される時代です。働き方に関する取り組みを通じて、従業員にとって働きやすい環境を整えることができます。企業担当者は、ここで紹介した企業認定制度を活用し、認定マークの取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
■参考サイト
くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定) (mhlw.go.jp)