【事例紹介】不妊治療と仕事の両立に関する福利厚生事例

近年、企業における不妊治療に関する福利厚生の導入率が上昇している。企業が積極的に支援を講じる傾向が広まっている要因は、安定した人材確保、企業イメージの向上などがあげられる。今回は、企業が取り組む不妊治療と仕事の両立支援と具体的な福利厚生事例を紹介していきます。

1.福利厚生における不妊治療と仕事の両立支援とは

企業が不妊治療費を補助したり、相談窓口を設置したり、幅広く家族形成のサポートを受けられるというもの。

2.不妊治療の福利厚生が増えている経緯

 不妊治療の認知度が社会的に広まっており、女性の社会進出や結婚、出産の年齢が高くなる中で、不妊の問題が社会的に広がってきた。このことから、企業が従業員の不妊治療と仕事の両立を支援する動きが高まっている。

企業側も従業員の家族形成が重視されることにより、企業価値向上や離職防止に繋がる事になっている。

3.福利厚生の不妊治療の種類

休暇制度(有給)(無給)。

不妊治療費の支援や治療費の貸与。

卵子凍結治療支援

4.不妊治療にかかる経済的負担の相場

一般治療…2万円以下(保険適用)、1万~3万(保険適用外)

高度生殖治療…10-20万円(保険適用)10万~70万(保険適用外)

5.企業が不妊治療と仕事の両立支援を行う必要性

不妊治療により、身体的、精神的、経済的負担が大きくなります。不妊に悩んでいる従業員はそのことで仕事に与えられる影響が大きくなります。福利厚生として不妊治療の仕事の両立支援を導入することは、不妊治療の負担を軽減することや従業員のメンタル、ワークライフバランスを維持向上させ、生産性や従業員の満足度を高めることが期待できます。そのため、企業が従業員を福利厚生の一環として支援することは従業員の健康と福祉のサポートとしてとても重要なのです。

6.不妊治療と仕事の両立支援導入によるメリット

不妊に悩む従業員に対して、サポートを提供することにより、離職率を低下させることができます。また、福利厚生を強化し企業イメージを高めることにより、優れた人材確保に繋がり、競合他社に対して企業競争力向上、企業価値を高めることができます・

7.不妊治療と仕事の両立支援導入による従業員のメリット

不妊治療は、高額な費用がかかるため、企業の支援によって経済的な負担が軽減されることが期待できます。また、長期休暇や特別有給といった長いスパンの休暇を得ることができるため、身体的負担の軽減ができるため、不妊治療に必要な時間を多く使うことができるのでワークライフバランスの改善が期待できます。更に、不妊治療は精神的負担が大きいのでその負担を企業の支援によって心理的なサポートを受けることができます。

不妊治療を導入した企業事例

株式会社エムティーアイ(MTI)

女性のための健康情報サービス「ルナルナ」をはじめ、様々なサービスを運用するエムティーアイ。

妊活支援制度導入のきっかけは、ある社員の存在。不妊治療の悩みを抱えていた彼女は、妊活や治療に専念するため休職や退職を考えていたそう。同社では彼女の話を聞いてすぐに制度の新設を検討し、2013年に不妊治療休職制度が導入したのだとか!

妊娠・出産と仕事のどちらかの選択を強いるのではなく、プライベートまで含めて支援することが大切だと考える同社。妊活から産後の子育てまで、個々の従業員のライフステージに合わせた仕事と家庭の両立を支援し、安心して働ける職場づくり・制度の整備を行っています。

妊活支援制度導入のきっかけは、ある社員の存在。不妊治療の悩みを抱えていた彼女は、妊活や治療に専念するため休職や退職を考えていたそう。同社では彼女の話を聞いてすぐに制度の新設を検討し、2013年に不妊治療休職制度が導入したのだとか。

妊娠・出産と仕事のどちらかの選択を強いるのではなく、プライベートまで含めて支援することが大切だと考える同社。妊活から産後の子育てまで、個々の従業員のライフステージに合わせた仕事と家庭の両立を支援し、安心して働ける職場づくり・制度の整備を行っています。

不妊治療休職制度

不妊治療を目的とした休職取得が最大2年間可能な制度、「チャイルドプラン」。無給になる休職期間中の経済的なサポートとして、社会保険料(本人負担分)を全額会社が負担。対象は入社1年以上で、不妊治療を行う社員(原則女性が対象だが、男性からの相談にも対応)。

働きながら不妊治療を進めたい従業員に対し、不妊治療の通院のために月2回まで取得できる休暇制度(無給)。

不妊治療を行う社員は男女問わず対象となっています。

小田急電鉄株式会社

「ダイバーシティ&インクルージョン」の実現が企業の成長につながると捉え、社員一人ひとりが属性にかかわらず活き活きと働ける環境の整備を進めている小田急電鉄。

鉄道の現場では社員の9割が男性。そのため女性社員は上司も同僚も男性であることが多く、身体に関する悩みを相談しづらいという問題があったそう。

そこで、社員が外部の専門家に気軽に相談できるような制度を導入。女性社員の不安が軽減され長期的なキャリアプランを描けるよう、仕事と家庭の両立をサポートしています。

妊活コンシェルジュサービス

全国でも数少ない不妊症看護認定看護師等の専門家から、会社の勤務形態や制度を踏まえたアドバイスを受けられる妊活コンシェルジュサービス「famione(ファミワン)」を導入

不妊治療や流産の悩みは会社にはなかなか相談しづらいものですが、同サービスでは外部の専門家と話すことができます。LINEを使うので手軽に利用できるのが魅力です。

オンライン不妊相談」の実証*

「産婦人科オンライン」を女性活躍推進に向けたサポートの一つとして導入。

妊娠・出産はもちろん、生理不順や月経痛など女性の健康に関する相談ができるサービス。「famione(ファミワン)」も「産婦人科オンライン」も社員は費用負担なしで利用できます。

保存年次有給休暇の利用制度

有効期間を過ぎた年次有給休暇を最大50日まで積み立てることができ、使用理由の一つとして不妊治療の通院に使用することができます。

ポイント制度による不妊治療費補助

社員に一定額のポイント(補助金)を支給。このポイントを不妊治療費用の一部にも充てることができます。

株式会社メルカリ

メルカリを「思いきり働ける環境」にするために、2016年2月に導入した人事制度「merci box(メルシー・ボックス)」。以来、「妊活の支援」をはじめとする福利厚生制度がアップデートを重ねながら拡充されています。

2021年6月には「卵子凍結支援制度」を新たに試験導入。この「卵子凍結制度」は、海外の大手IT企業を中心に、社員の選択肢を増やすため福利厚生として積極的に取り入れられているもの。

同社でもキャリアを優先することによって妊娠や出産を諦める女性がいるという現状を問題視し、社員の将来に対する不安を軽減するために会社としてサポートすることを決定。今回の試験導入に至りました。

卵子凍結費用の補助

卵巣刺激、採卵、麻酔、凍結保存、凍結卵子融解、凍結保存延長、延長含む保管費用など、卵子凍結に関する費用を補助。

全社員(社員の配偶者・パートナーを含む)が対象。妊活サポートの一環として、子ども1名あたり200万円を上限として利用可能。

妊活のサポート

社員が費用が高額な不妊治療を受ける場合は、所得や年齢の制限なく会社が費用を一部負担するというもの(上限金額あり)。

ヤフー株式会社

従業員が心身ともに最高のコンディションで業務に取り組めるよう、身体と心の健康を支援するために様々な独自の取り組みを行っているヤフー株式会社。

不妊治療を希望する社員が業務との両立が困難になった場合に一時的に休職しても、長期的には仕事を続けられる環境を整備するために、支援制度の導入に至ったといいます。

不妊治療休職制度

性別や既婚・未婚などにかかわらず、社員本人が不妊治療のために利用できるプレグナンシーサポート休職制度。各自の意向や不妊治療計画などに応じて、1年間で3回まで分割して取得可能。

最長で1年まで休職することが可能。休職期間中は無給。

例:不妊治療のため3カ月間休職。その後復帰したが、やはりもう一度不妊治療に専念したい場合、初回休職開始日から1年以内であれば2回目の休職が可能。

妊活に関する相談専用の窓口

人事労務担当や看護スタッフからなる専用の窓口を設置。

休職制度だけでなく不妊治療全般について相談できる環境も整備することで、不妊治療を望む社員を支援しています。

積立有給休暇の取得事由として認定

有効期間を過ぎた年次有給休暇を、傷病や介護などの場合に備えて最大30日まで失効させずに積み立てることができる制度。 不妊治療中の社員と妊娠している社員は、通院や体調不良などを理由に積立有給休暇を利用することができます。

まとめ

不妊治療と仕事の両立に関する支援の導入は、企業の福利厚生の一環として注目されています。不妊に悩む従業員は、身体的、精神的、経済的負担が大きく、仕事にも影響が生じます。企業が不妊治療と仕事の両立を支援することは、従業員の健康と精神的幸福感を促進し、仕事とプライベートのワークライフバランスを調節する手助けになるでしょう。