【安心した育休復帰へ】母乳育児を続けながら職場復帰をするポイント

出産をしながらも育児を続けたい、と思う働く女性が増えています。「職場復帰はしたいけれど母乳育児を完全にはやめたくない、これまで通り母乳育児を続けたい」という希望がある場合、会社は社員が健康に働き続けることが可能なのかどうかを検討する必要があります。

この記事で、「母乳育児を続けながらの職場復帰のポイント」について学び、ぜひ社員の方々が安心して産後復帰することができるように心がけていただだけたらと思います。

母乳の仕組み

皆さんは、母乳がどのような仕組みで身体の中で作られているのかご存じですか?

産後10日目くらいまでの初期段階では、授乳や搾乳などの乳頭刺激によって母乳を作られます。その後母乳の量が増加し分泌量が安定してくると、乳房から出ていった母乳の分だけまた新しい母乳が作られるようになります。この時期には、母乳が乳房内へ貯まったままだと『母乳は必要ない!』と脳が判断し、作られる母乳の量は減っていきます。

【母乳育児は続けたいけど、授乳回数は減らしたいという方】

勤務時間が9-17時の場合、通勤時間などにもよりますが7時頃の朝の授乳から帰宅後の18時頃の授乳までの11時間近く間隔があくことになるかと思います。その場合、職場復帰の1-2か月前から、徐々に授乳回数を減らしていくことがおすすめです。

具体的には、離乳食後の授乳をスキップして次の授乳時間まで授乳間隔をあけるのが実践しやすい方法かと思います。スケジュール例をご覧ください。

このように、数日かけて1回の授乳を減らしていくとよいでしょう。また、授乳をスキップすることで赤ちゃんが空腹で泣くような場合には麦茶やミルクを飲ませたり、10時や15時に補食を食べさせると落ち着くことが多いですよ。

徐々に授乳量を減らしていくことで、職場復帰後に日中の授乳をしなくても、乳房が張って痛いということが日常的に起こるのは防げるようになります。しかし、乳房の状態やお母さんの体調不良の時などは乳腺炎などのトラブルに繋がるときもあるので注意して過ごしましょう。乳房トラブルの初期対処は後ほど説明しますね。

【母乳育児をそのまま続けたい場合】

まずは通う予定の保育園が搾乳の管理や、搾乳を飲ませることに対応しているか確認しましょう。中には、搾乳管理の対応をしていない園もあります。対応していない園の場合は、赤ちゃんには離乳食やミルク・補食をあげてもらい、お母さんは職場で搾乳をする時間や場所を確保しましょう。日中の胸の張りが気にならない場合は無理に搾乳をする必要はありませんが、母乳の分泌量は減少しやすくなるので分泌量を維持したい場合には搾乳をしたほうがよいでしょう。

搾乳に対応している園の場合、搾乳した母乳を専用のパックで冷凍したものを園へ預けて赤ちゃんにあげてもらいましょう。職場で搾乳した母乳を保存する場合は、搾乳をできる環境と搾乳の保管場所を整えましょう。搾乳方法としては手絞りもありますが、搾乳機が便利です。消毒バッグを使用して電子レンジで消毒すると清潔に搾乳が出来て持ち運びもバッグのままできるのでおすすめです。搾乳の保管場所ですが、搾乳は環境温度によって安全な保存期間が変わるので冷凍庫の温度にも注意しましょう。また、冷凍した搾乳を持ち運ぶときに解凍が始まってしまうと、24時間以内に消費する必要がありますので保冷バッグなどで持ち運びましょう。

【乳房トラブルの初期対応のポイント】

これまでの母乳育児と違い、直接授乳をすることが難しいので乳房トラブルへもつながりやすいです。また、母乳回数を減らす選択をされた方も減らしていく段階や、職場復帰後に思わぬタイミングで乳房トラブルが起きることもあります。そんな時のために対応のポイントをお伝えします。

①乳房に痛みや赤み・腫れ・しこりが出来た場合

授乳量を減らしている段階の方は、授乳をスキップしたときにこの症状が出ることが多いです。その場合は、痛みや赤みが引いて少し楽になるくらいまで搾乳をしましょう。その際痛みがある部分を軽く圧迫して搾乳するとよいです。すっきりするまで絞ってしまうと、母乳の作られる量が減っていきませんので少し楽になる程度の搾乳でとどめて次の授乳まで様子をみましょう。

授乳量を減らしたくない方は、痛みの部位を圧迫しながら赤ちゃんへ授乳したり、搾乳をしましょう。その際、痛みや張りが取れてすっきりするまで授乳・搾乳するようにしましょう。

どちらの場合も、搾乳や授乳後はタオルなどでくるんだアイスノンを痛みのあった部分を中心に当てて冷やしましょう。

②乳房トラブルになりかけの時に気を付けたい行動

・母乳パッドをこまめに変えるようにしましょう。

濡れたままの母乳パッドは細菌が繁殖しやすく乳腺炎などのトラブルを引き起こしやすくなります。

・長風呂や熱いシャワーを胸に長くかけることは避けましょう。

長風呂や熱いシャワーは、胸の血流を良くしてしまい母乳が作られやすくなります。

・水分をたくさんとりましょう。

母乳は血液でできています。体内水分量が少ないと血液の水分量も少なくなりますので、母乳が出づらくなったり、詰まりやすくなる原因になる可能性があります。

・胸を締め付ける服装はやめましょう。

職場復帰に合わせて下着も妊娠前のもの戻そうと思う方も多いかもしれません。しかし、授乳中の乳房は血液が豊富に流れていますのでワイヤーなどで締め付けると循環不良の原因になり乳房トラブルの元になりかねません。脇や胸を締め付けない服装にしましょう。

③母乳外来など母乳ケアの受診先をピックアップしておく

授乳量の変化や、環境の変化は乳房トラブルが起こりやすくなります。また、自己対処できないときや初期対応をしても変わらない場合は、初期段階で専門家に診てもらうことが大切です。緊急時の母乳相談先は事前に調べておきましょう。病院や助産院の母乳外来だけでなく、訪問型の助産師などもいますので利用してみるのもおすすめです。

最後に

今回は基本的な母乳の仕組みに沿って職場復帰後も母乳育児を続ける方法をご紹介させていただきました。職場復帰して環境が変わった後も一番大切なのは、お母さんと赤ちゃんが幸せな気持ちでいられることです。仕事をしながら母乳育児を継続するのは大変なこともあると思います。お母さんと赤ちゃんの気持ちを大切に、保育園の先生や母乳ケアのスタッフに相談しながら無理せず母乳育児を行っていけるとよいですね。

いかがでしょうか。母乳育児をしながらも職場復帰が安心してできる方法があります。社員の方、人事部の方含めて健やかに働き続けるポイントについて学びになりましたら幸いです。