カスタマーハラスメントとは
ここ最近よく耳にする「カスハラ」ですが、カスタマーハラスメントの略で、顧客や消費者から度を超えた悪質なクレームや要求のことを指します。カスタマーハラスメントには様々な類型がありますが、まとめると顧客や消費者の立場を利用して過度・不当な要求を行う行為です。
≪カスタマーハラスメントの定義≫
顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相応なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの
(厚生労働省 カスタマーハラスメント対策リーフレットより)
詳しく見ていきましょう。
「顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合」の例としては、企業の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合や、要求の内容が、企業の提供する商品・サービスの内容とは関係がない場合が挙げられます。
「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相応な言動」の例としては、パワーハラスメントに相当する言動が挙げられます。パワーハラスメントの代表的な6つの類型をみていきましょう。
・身体的な攻撃
・精神的な攻撃
・過大な要求
・過小な要求
・人間関係からの引き離し
・個の侵害
カスタマーハラスメントの例を挙げると、身体的な攻撃、精神的な攻撃、威圧的な言動、土下座の要求、継続的な執拗な言動、拘束的な行動、差別的な言動、性的な言動、従業員個人への攻撃・要求などが挙げられます。これらはパワーハラスメントの6類型にあたるものでもあり、ハラスメントとして認められるものです。
加えて、過度な商品交換の要求、金銭補償の要求、謝罪の要求も不相応と認められるケースがあります。
実際に起きた内容としては厚生労働省の調査によると、①長時間の拘束や同じ内容を繰り返されるクレーム、②名誉棄損・侮辱・ひどい暴言、③著しく不当な要求、④脅迫、⑤暴言・傷害、の順で報告されています。
まとめると以下の言動はカスタマーハラスメントにあたります。
優位的地位の乱用
不当・過剰な要求
職務妨害行為
担当者の尊厳を傷つける行為
本来は顧客や消費者からのクレームは、今後の対応力を上げ、商品開発につながるもののために活用できるはずですが、ハラスメントに行きついてしまうような不相応な場合は、企業としても対策が必要です。次にカスタマーハラスメントは従業員や企業にどんな影響があるか考えていきましょう。
カスタマーハラスメントが従業員に起こす影響とは
カスタマーハラスメントが多くある職場だと、従業員の精神が疲弊してしまい、働く意欲が下がってくることが予想されます。
・心身の健康を害する
・休職や離職
・職場環境の悪化
・企業イメージの低下
・人材の流出
・損害賠償請求
放置しておくことは、従業員にとっても企業にとっても良くないですね。
次にカスタマーハラスメントの判断基準についてみていきましょう。
カスタマーハラスメントの判断基準
あらかじめカスタマーハラスメントの判断基準を明確にしておくことが重要です。
1)顧客等の要求内容に妥当性はあるか
2)要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲であるか
上記の観点で判断していくことが求められています。
カスタマーハラスメント対策
厚生労働大臣が定めるパワーハラスメントの防止に関する指針においては、以下のようにカスタマーハラスメント等防止のための取り組みを行うことが望ましいとされています。
①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
②被害者への配慮のための取組
(被害者のメンタル不調への相談対応、著しい迷惑行為を行った者に対する対応が必要な場合に一人で対応させない等の取組)
③他の事業主が雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為による危害を防止するための取組
(マニュアルの作成や研修の実施等、業務・業態等の状況に応じた取組)
では対策の流れを時系列でみていきましょう。
≪事前準備≫
・事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
↓
・従業員のための相談対応体制の整備
↓
・対応方法・手順の策定
↓
・社内対応ルールの従業員等への教育・研修
≪起こった際の対応≫
・事実関係の正確な確認と事案への対応
↓
・従業員への配慮の措置
↓
・再発防止のための取組
↓
・併せて講ずべき措置(相談者のプライバシーの保護、セカンドハラスメントの防止等)
初期対応で手厚く対応し、悪化を防ぐ
初期段階で適切に対応することで状況を悪化させないようにしていきましょう。
初期対応ステップをみていきましょう。
≪ステップ1≫
対象を明確にして謝罪する(例:不快にさせたことに対して限定的に謝罪する)
≪ステップ2≫
状況を正確に把握する(例:反論はせずにまずは一通り事情を確認する)
≪ステップ3≫
現場監督者または相談窓口に情報共有する(例:時系列で整理して伝える)
具体的な対応として以下の方法もあります。
・場所を変えて複数で対応する
・冷静に丁寧な話し方をする
・議論は避け、問題解決しようという前向きな姿勢で対応する
・メモを取りながら復唱する
・電話などは録音する
・問い合わせ等の案件のたらい回しをしない
・その場しのぎの回答をしない
まとめ
カスタマーハラスメントから従業員を守ることは企業の責任です。事前準備から始めて対策について社内で考えて実施していきましょう。カスハラ対策が企業や従業員にとって職場環境の改善につながり、離職防止にもつながるでしょう。大切な職場を守ることは企業にとって意義が大きいと考えられます。ハラスメントを許さない社会を共に作っていきましょう。
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