最近、海外で、被害が多発し、日本でもニュースとなっているトコジラミについて、皆さんはご存知でしょうか?一体どんな虫なのか、何が問題なのか、詳細にご存知の方は少ないかもしれません。これから年末年始、海外旅行を検討されている方も多いと思います。旅行先で刺されてしまうだけでなく、トコジラミ自体を自宅に持ちかえり、自宅で繁殖させてしまうケースもあります。以下では、対策方法と駆除方法についてまとめます。
トコジラミとは
トコジラミはカメムシの一種で、別名「南京虫」(英語ではbed bugs)と呼ばれています。体長は約5~8mm、羽は無く、楕円形をした赤褐色の虫です。暖かく暗い場所を好むため、昼間はベッドやソファの隙間に隠れていますが、夜になると活動を開始し、人間や動物の血を栄養にして生きています。特に人の血を好むと言われており、トコジラミが繁殖しているベッドで寝た場合、ほぼ間違いなく刺されてしまいます。またトコジラミは繁殖力が非常に高く、空腹状態でも数か月以上生き永らえるため、長い間空室の部屋であってもトコジラミの被害にあう可能性があります。
出典:厚生労働省 トコジラミとその効果的な防除法より
対策
ホテルの部屋に入室したら、トコジラミの有無を確認する
部屋に入るとすぐに荷物を開けてしまいがちですが、まずはトコジラミが住み着きやすい壁や布製品から離れた場所である浴室などに、荷物を置きましょう。その上で、部屋の中を確認します。確認すべきポイントは、ベッド、ソファ、カーペット、天井の角、カーテンなどです。特に注意が必要なのは、淵や溝の部分です。和室の場合は、敷居と畳の間、ふすまの下に注意しましょう。また実際にトコジラミがいなくても、黒っぽい小さな糞を見つけた場合は、部屋の変更を依頼した方が賢明でしょう。
荷物はベッドやソファ、カーペットに直接置かない
ベッドやソファ、カーペットは、特にトコジラミが生息している可能性が高い場所です。荷物をその場所に直接置いてしまうと、荷物にトコジラミが付着し、そのまま自宅へ持ち帰ってしまう可能性があります。浴室や机、棚など、トコジラミの発生しにくい場所に置くか、大きめのビニール袋を持参してその中に保管するようにしましょう。靴など、床のカーペット上に置きたい場合も、ビニール袋やジップロックなどで全体を保護してからにしましょう。
部屋を暗くしない
トコジラミは、夜行性です。このため、就寝時はベッドサイドライトや浴室の電気をつけておくことで、トコジラミの活動を抑制することができます。また荷物の保管場所は、常に電気をつけておきましょう。
肌の露出を避ける
トコジラミは、肌の露出しているところを刺して吸血します。就寝時は、足、手、首、腕など、出来る限り肌の露出を避けましょう。
すぐに洗濯、乾燥機で感想する
帰宅後は全ての衣類を速やかに洗濯し、高温の乾燥機で乾燥するようにしましょう。もしトコジラミが付着していた場合でも、多くの場合は乾燥機の高温により死滅します。
(高温には弱く、50℃に30分、60℃に10分程度、100℃近くなら数秒さらされれば死亡します)
ー厚生労働省 トコジラミとその効果的な防除法より
駆除
もしも自宅でトコジラミを見つけた場合は、すぐに駆除をしましょう。そのまま放置すると増殖し続け、被害が拡大します。トコジラミは一般的な殺虫剤に抵抗性を示すため、全てを自力で駆除することは難しいと言われています。専門家へ駆除を依頼するか、地域の保健福祉センターに早めに相談することが大切です。
刺されてしまった場合
トコジラミに刺されたことで、他の病気(感染症)にかかったという報告はありません。しかしトコジラミに刺されると、発赤とともに強いかゆみが出ます。人によっては、夜眠れない程のかゆみであったり、発熱することもあります。このかゆみの原因は、トコジラミの唾液成分によるアレルギー反応です(蚊に刺されたときと同じ反応です)。トコジラミは吸血時に唾液を注入します。人の体の中で、この唾液に含まれる成分(アレルゲン)に対抗する抗体ができると、アレルギーが生じます。つまり、刺されてすぐに反応が出た人は、過去に刺された経験があったため、すでに抗体を持っていた人です。逆に、初めて刺された場合は、体の中に抗体がないため、すぐに症状が出ないことが多く、数日経ってから発症します。痒みがひどい場合は抗ヒスタミンの外用薬(アレルギーを抑える薬)を塗布しましょう。かゆみによりかき壊してしまうと、そこから感染症などを引き起こしてしまう可能性があります。かゆみが改善しない場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
まとめ
トコジラミはどこにでも発生しやすく、とても繁殖しやすい害虫であり、早期に発見することがとても重要です。旅先で、また出張先で安全に過ごすためにも、最低限の予防と対策についての知識を持っておくと安心です。
参考文献