感染力最強クラスの麻しん(はしか)とは?予防のポイント解説

最近国内で麻しん(はしか)の患者発生が確認されています。

麻しん(はしか)はヒトからヒトへ感染する麻しんウイルスによって引き起こされる重篤なウイルス性疾患です。非常に感染力が強くコロナウィルスをはるかに超えます。合併症の頻度も低くありませんが、ワクチンというとても有効な予防方法があります。

麻しんを過剰におそれず正しく対応できるように今回は麻しんについてお話します。

主な症状

1.感染すると約10日後に風邪のような初期症状が現れます(発熱、倦怠感、鼻水、咳、喉の痛み、結膜炎など)

2.乳幼児は口腔内に1㎜程度の白い斑点がみられます(コプリック斑)

  ・麻しんの特徴的な症状で身体に発疹があらわれる前に見られることがあります。コプリック斑自体は触っても痛みを感じることはありません。

3.発疹

  ・顔から始まり全身に広がる赤い発疹が発熱から数日後に出現します(特に耳の後ろ・首の後ろから広がる傾向があります)。発疹が出はじめてから3〜4日後には解熱することがほとんどです。

通常7~10日間程度で症状は徐々に回復しますが、全身の発疹は次第に黒ずんだ色素沈着として残り、完全に治るまでは時間を要します。

感染経路

感染経路は、空気感染飛沫感染接触感染で主な感染経路は空気感染です。

その感染力は非常に強く(1人の患者が12~18人に感染させる可能性があり、コロナの約6倍)と言われています。 免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症し、一度感染し発症すると一生免疫が持続すると言われます。潜伏期間は7~21日間で、発症した場合は発疹の出る4日前から発疹出現の4日後まで感染力があると言われています。

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合併症

通常7~10日間程度で麻しんの症状は回復していきますが、合併症として気管支炎、中耳炎、肺炎、脳炎などを引き起こすことがあります。

主な合併症は肺炎で合併症の約半分を占めます。脳炎は患者1000人に1人の割合で発症し、生命に危険が及んだり後遺症を残したりすることもあります。死亡割合は先進国であっても1000人に1人と言われています。必ず合併症がおきるわけではありませんが、決して低い数字ではないため感染した場合は体調の変化に注意しましょう。

治療

特効薬はなく、基本的に症状を軽くするための対症療法になります。

抗ウイルス薬などの治療薬がないので麻しんに罹患しないことがとても大切です。

予防

麻しんは感染力が強く、空気感染もするため手洗い、マスクのみで予防はできません。2回のワクチン接種が最も有効な予防方法です。

ワクチンは子どもの頃の定期接種に含まれており、日本では麻疹風疹混合ワクチン(MR)が標準的に使われています。ワクチンを接種することによって、95%程度の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。2回接種することで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。
日本では2006年度から1歳児と小学校入学前1年間の小児(年長児)の2回接種制度が始まりました。2回接種で多くの方が感染を予防できるので接種することをおすすめいたします。生ワクチンになりますので、病状や服薬内容によっては接種ができない可能性があります。持病をお持ちの場合は接種前に主治医にご確認ください。

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大人の場合

ワクチンは大人になっても医療機関で接種可能です。特に大人は麻しん感染時に子どもより重症化しやすいです。母子手帳などを確認し、2006年以前に生まれ麻しんワクチン接種が1回の場合、麻しんが流行している国やワクチン接種率が低い地域に海外渡航の予定がある場合、また医療従事者の方などは近くの医療機関で抗体検査を受け、必要時は2回目の接種をご検討ください。

妊婦さんや妊娠を計画されている場合

妊娠中に麻しんに罹患すると、重症化しやすくまた流産や早産を起こす可能性があります。妊娠を希望されている場合は麻しん感染の既往や抗体の有無を確認し、ワクチンの接種を早めに積極的に検討しましょう。生ワクチンのため接種後2か月程度の避妊が必要になります。既に妊娠している場合、麻しんのワクチンを受けることは出来ません。麻しん流行時には外出を避け、人が多いところにはに近づかないようにするなど注意しましょう。
また同居者の既往歴を確認し、麻しんに罹患する可能性の高い方(麻しんの感染歴がない、ワクチンの2回接種が不明、医療従事者など)がおられる場合はワクチン接種等の対応についてかかりつけ医にご相談ください。家族からの感染の危険を取り除いておくことも大切です。

医療機関受信時

繰り返しになりますが麻しんは非常に感染力が強いです。受診患者に麻しんの疑いがある場合、感染防御だけではなく、感染を拡大させないために他の患者と動線をわけるなど受け入れる医療機関側の準備が必要になります。受診前に医療機関に麻しんの疑いがあることを必ず連絡したうえで指示に従って受診しましょう。受診時は公共交通機関の利用を控えマスクを着用しましょう。

麻しんは免疫があれば防げる一方、免疫がない場合は危険な感染症です。

ぜひこの機会に一度、自分のワクチン接種状況を確認してみてください。

〈参考〉

・厚生労働省:麻しんについて

・国立成育医療センター:はしか(麻しんウイルス感染症)にご注意ください!

・日本産婦人科医会ホームページ:日本産婦人科医会

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