【学生さん必読!】デートDVって知ってる?

デートDVという言葉、聞いたことはありますか?聞いたことがある人も、どんな行動や言動からがデートDVに入るのか自信を持って答えられる人は少ないかもしれませんね。今回は、デートDVがどんなものなのか、デートDVの被害に遭っている人や周りの人に相談された時の対応方法についてお話ししていきますね。

デートDVとは

交際相手などのパートナーから暴力(Domestic Violence)を受けることを言います。主に10代〜20代の交際中のカップルの間で起こる暴力のことをデートDVと言います。中学生・高校生・大学生などの学生の間に広がってきています。この暴力は、殴る・蹴るなどの身体的な暴力だけではありません。暴力には大きく分けて4種類あると言われています。

身体的暴力

相手の身体を傷つけるような行為。例えば、殴る・蹴る・髪を引っ張る・物を投げるなど。

精神的暴力

パートナーに恐怖心を与える行為。例えば、大声で怒鳴ったり、人の前で馬鹿にしたり命令したりする。殴る素振りや物を投げる素振りをしておびえさせる。話しかけても無視をする。大切な物を壊したり捨てたりする。別れるなら自殺する、殺してやる、と脅す。など

社会的・経済的暴力

パートナー以外との交流の制限をする行為や、金銭的な制限をしてくる行為。例えば、外出や部活、バイトなどを辞めるように強要してくる。メールやSNSを細かくチェックしてくる。○分以内に返信をすることを強要する。デート費用などを相談なく負担させる、返さない。借金をさせる。など

性的暴力

同意していない性的な行為の強要。例えば、避妊をすることを拒否する。嫌がっているのに性的な写真や動画を撮る。ポルノ動画や写真を無理やり見せる。中絶/出産を強要する。など

これらのすべての行動が暴力です。デートDVは、傷害罪や暴行罪、脅迫罪などの犯罪行為にあたります。

デートDVって身近なもの?

上記でお話しした内容について、どのような思いを抱いたでしょうか?

「こんな怖い思いをしていたら大変よね」「こんなことをされていたらすぐ別れるでしょ」他人事のように思ったり、自分が同じ経験をしたらすぐに別れられるはず、と思ったりした方もいるかもしれません。

実は、横浜市で高校生から大学生に行われたデートDVの調査では女性の4人に1人の割合でデートDVの被害を受けていることや、 交際しているカップルの3組に1組の割合でデートDVが起こっていることがわかっています。この結果からもデートDVが珍しいことではない、ということが考えられますね。

これを読んでいる、あなたは大丈夫でしょうか?

デートDVの中で学生間のカップルに起こりやすい行動をチェックリストにして見ました。交際相手がいる人は、自分たちが当てはまらないか、確認してみてください。交際相手のいない人も、こういったことがデートDVの一つなんだ、と知るきっかけにして見てくださいね。

チェックリストを見て、当てはまる項目や見聞きしたことのある項目などはあったでしょうか?

これらのリストは1つだけなら大丈夫、これまでに1回だけだったなら大丈夫、というものではありません。デートDVの加害者と被害者の関係は、横並びではなく上下関係があると言われています。どちらかがパートナーを支配しようとする関係が生まれそうになった時にそれを拒否すること、何が嫌と感じたかどの点がおかしいかを話し合うことが大切です。

デートDVの原因

実はデートDVが発生する原因は、加害者の性格などだけではありません。

チェックリストに「これってDVなの?」と思う項目があった方もいるかもしれませんね。そういった方は、恋愛に関する偏見や誤解が無意識に根付いている場合があります。これは、漫画やアニメ、ドラマ、バラエティ番組などでよく見かける表現や関係性が、作品の中だけの話ではなく、現実でも価値のあるものだと誤解している人が多いことが原因と考えられます。例えば、ご飯を奢ってくれる男性の方がモテる、男性は強引な方がかっこいい、女性は男性に従うことや馬鹿なふりをする方が可愛い、メールや電話は恋人同士なら常にするもの、少し喧嘩や束縛をした方が仲の良いカップル、高校生や大学生は恋人になったら性行為をするのが当たり前、などがあるかと思います。

これらはすべて誤った認識で、これらを実際の恋愛のロールモデルにしてしまうと中には暴力に繋がりかねないものもあります。これらがフィクションの中で作られた誤解であることを知ること、デートDVが何なのかを正しく理解することが、無意識にデートDVの加害者や被害者を生まないために必要なことです。

デートDVの被害者なのかも?と思ったら

パートナーとの関係が横並びの対等なものであるか、今一度振り返ってみましょう。

相手との関係に安心や信頼を感じる、相手の気持ちも自分の気持ちも話し合える、2人のことは同意を確認しながら決められる、などがあれば2人は横並びな関係を築けていると思います。反対に、相手の機嫌や反応を伺ってしまう、相手の言いなりになってしまう、自分の意見は嫌われることや怒られるのが怖くて言えない、相手といると不安や怖さを感じる、というような状況の場合には対等な関係ではない可能性が高いです。

相手との話し合いがまだできる段階の場合には、まずは嫌だと感じることについて「NO」をはっきりと伝えましょう。相手にデートDVについて知ってもらって、恋愛への誤った認識がお互いになかったかどうか話し合うことも良い関係づくりには大切です。

もしも、相手との話し合いがうまくいかず恐怖を感じるようなことが起こった場合には相手から距離を置いて安全なところに逃げましょう。信頼できる周りの人に相談することが大切です。親や、担任の先生、保健室の先生、スクールカウンセラーの先生などでも良いでしょう。同時に友人に相談して精神的なサポートを得ることも良い方法です。

自分が悪いわけではないことを客観的に見てくれるような、味方になってくれる存在が必要です。相談をすることで自分の状況が把握でき、解決につながることもあるでしょう。知っている人には相談しづらい、という時には匿名で相談をできる相談窓口もあります。

友達からデートDVの被害にあっていると相談を受けたら

友達から被害の相談をされたら、内容によっては驚いて、「勘違いじゃない?」「たまたま機嫌が悪かったんじゃない?」などと友達の相談内容を疑うような言葉をかけてしまうかもしれませんね。

ですが、友達は「デートDVなのかもしれない」とあなたに相談をしている時点で、自分の中で何度も考えた末に勇気を振り絞って話をしてくれているかもしれません。まずは遮らずに話を最後まで聞いてあげましょう。そして、疑うような言葉や、「愛されすぎてるんじゃない?」「あなたも悪いよね」などと友達の辛さに寄り添わない言葉は、空気を明るくするつもりだったとしても言わないでくださいね。もしできるなら、「あなたは悪くないよ」「あなたの味方だよ」「話してくれてありがとう」と伝えて友達の気持ちを楽にしてあげてください。

そして、自分たちだけで解決しようとするのはとても大変で危険なことなので、周りの信頼できる大人や、専門家に頼ってくださいね。

まとめ

デートDVについてお話しをしました。

最初に抱いていたデートDVへのイメージが、もっと身近なものに感じられるようになれば良いなと思います。デートDVは、被害者自身が被害に気づいていなかったり、恋人同士で依存関係に陥り2人だけの世界へと籠ってしまうことで周囲の人も2人の関係のおかしさに気づくことができないことがよくあります。

恋人や、友達の恋人への態度に違和感を持ったときには躊躇せず声を上げることがデートDVを防ぐために大切です。

もしデートDVの被害に悩む方や、友達が悩んでいるという方は、下記の相談窓口へ相談してください。「これってどうなんだろう?」「相談するほどでもないかも…」と悩んでいるときは、ファミワンにも心理士や助産師などの専門家がいますので気軽に相談してくださいね。

【相談窓口】

内閣府 性暴力に関するSNS相談「Cure time(キュアタイム)」

内閣府 DV相談ナビ(電話)「#8008 」 

DV相談+(電話・メール・チャット)

参考資料 横浜市市民活力推進局「デートDVについての意識・実態調査報告書」平成20年

    内閣府男女共同参画局「内閣府におけるデートDVに対する取り組みについて」令和2年