2024年くるみんプラス認定企業にインタビュー 株式会社コロプラ

2024年くるみんプラス認定された株式会社コロプラ。 

どのような取り組みをされたのか、認定取得までのお話を人事部のおふたりにインタビューさせていただきました。

左:HR本部 人事部 労務管理グループ 安全衛生チーム 看護師/公認心理師 前出瞳様
右:HR本部 人事部 労務管理グループ 安全衛生チーム 鈴木莉世様

くるみん認定取得のきっかけ

―この度、コロプラ様がくるみんプラス認定を取得されたということで、おめでとうございます。まず、認定を取得しようと思ったきっかけを教えてください。

前出さん ありがとうございます。実は、最初からくるみん認定を取得するために両立支援の取組を始めたわけではありませんでした。

この10年ほどで従業員数が増え、全体の平均年齢も上がったことから生じたさまざまな課題を解決するための施策として両立支援の取組を開始し、継続していく中で、男性の育児休業取得者が増えくるみん認定を意識した形です。前回の行動計画期間においては申請を行いましたが認定がおりず、要件を見直した上で改善を重ね、今回、悲願の認定となりました。実際の施策や認定申請については鈴木に担当してもらいました。

改名した次世代サポート休暇が結果、くるみんプラス認定を後押し

―バトンをパスされた鈴木さんは、そこの要件を満たすような改善をされたのですか?

鈴木さん 認定要件のひとつをクリアするために、小学校就学前の子どもを育てる従業員に対する多様な働き方の選択肢の提供が必要でした。

施策の検討を重ねていく中で、いわゆる「小1の壁」については実際に従業員からも相談を受けることがあったことから、小学校に入学し学童に通っているであろう小学3年生修了までの子どもを育てる従業員が時短勤務を取れるようにと経営会議に持っていきました。弊社の取締役は当時全員男性でかつ年齢も比較的若い役員が多いのですが、子育てを経験している役員が理解を示してくれ、最近では子供の中学受験と仕事の両立も大変ではという意見もあがり、結果小学校卒業まで時短勤務を取得できるという制度になりました。

それで認定要件的にはクリアしたのですが、同時に、不妊治療についての相談が男女関係なく社内で増えていたことから不妊治療に使える休暇を、既存の休暇制度に追加して拡充できないかと考えました。

もともと弊社では独自に、子どもの看護のために取得できる「こども看護休暇」という休暇制度(有休)を導入しており、この取得要件に、”従業員本人や配偶者の不妊治療に係る通院”を追加しようと動きました。また、不妊治療の当事者が使う休暇として「こども看護休暇」というのは違和感があったため、名称もリニューアルすることにしました。

最初は「ファミリーケア休暇」という名称を考えたのですが、対象にならない家族もいるため違和感があるという意見があり、コロプラやチャイルド、カップルの頭文字のCから「Cケア休暇」というアイディアもありました。ですが、もう少し分かりやすさが必要ではないか、と部内でも名称検討に難航していたところ、前出からの提案で「次世代」というワードが出て「次世代サポート休暇」であれば対象も分かりやすくかつポジティブな感覚だったこともあり、経営層にも納得してもらうことができました。

前出さん 経営層の中には、介護関係でもなく子どもに関することなので「こども看護休暇」のままでいいのではないかという声もありました。しかし、不妊治療に通う人が「こども看護休暇」を申請してそれを上司が承認するというのは、あまりに酷ではないかと強く伝えました。現在は経営陣の中にも女性が入ったのですが、それまでの取締役会はずっと男性だけだったため実際に不妊治療をする方の気持ちが伝わりづらい環境だったのではないかと思います。

くるみん認定優先ではなく今必要な制度を作っていった結果、くるみん認定に繋がった

―今回、くるみんプラス認定を取るにあたって、一番大変だったことはどの辺でしたか?

前出さん 特にここが一番大変だった、というところは正直なところないです。従業員のサポートや家庭と仕事の両立支援をしっかりしていくために、今いる従業員の多様性であったり、それぞれの世代の生き方だったりを考えたときに、こういう制度があったらもっと働きやすくなるのではないか。もしかしたらもっと良い関係になるのではないか、ということを試行錯誤やっていった結果が、くるみんプラス認定の取得に繋がっています。

鈴木さん そうですね。今では「これも取れるんじゃないですか?」と広報から認定関連の提案を受けることもあり、実際に去年は「TOKYOパパ育業促進企業」にも認定されました。

0だった男性の育児休業取得率が今や8割に

前出さん コロプラは男性の育児休業取得率がとても高く、約8割あります。最新ですと約9割あります。

鈴木さん そうですね。平均だと8割ぐらいです。

―何か施策、アプローチ等をされているんですか?

前出さん お子さんが生まれた従業員には、育休を取得しますか?という確認をするのですが、大体の男性従業員は奥さんが安定期入ったタイミングで「予定日はもう少し先なのですが育休を取ろうと思っています」と早めに相談してくるケースが多いです。

―育休は何日ぐらい取られますか?

鈴木さん 今は平均で100日前後なので、3ヶ月ちょっとぐらいが多いです。

―すごいですね。結構他社さんだと、8割取っていても、実態はだいたい1週間から長くて1ヶ月という感じが多いと思います。

前出さん 名ばかり育休ではなく、みんなしっかり育休を取っています。

鈴木さん 1週間とか1ヶ月では、奥さまも「もう復帰するの?」と思うのではないかと思いますし、そこはしっかり取得してほしいですね。

―ちなみに参考までに、どの辺りのタイミングで育休を取られているのですか?

鈴木さん 産後すぐですね。予定日から取られて、生まれてから3ヶ月くらいという人が多いですね。

男性でも育休を取りやすい風土醸成

―職場の皆さんは、普通に行ってらっしゃいっていう感じですか?人が足りなくて、きつくなってしまうとか、そんな感じは無いのでしょうか?

前出さん ネガティブな意見はあまり聞いたことはないです。

鈴木さん 上司に相談する時点で、上長側が「どれぐらい育休取る?」といったコミュニケーションを取ってくれているパターンが多く、大変なセクションもあると思いますが、そこは助け合いだと思います。

―そこは風土醸成ですね。素晴らしいです。男性育休に関して、先陣を切って取得した人が過去にいて、それを知ったから自分も取るとか、そういう経緯などはあったのでしょうか?

前出さん 最初は人事の男性管理職が育休を取り、その後「男性でも取れるんだ」という感じでエンジニアの管理職が続いて育休を取りました。

―管理職の方の年齢が若いからこそ、ですね。 年齢的に若い方が管理職をやっていることで、その方が育休を取るフェーズになっている。上が育休を取りましたっていうモデルケースになると、下は育休を取りやすいですね。

前出さん 子どもが生まれたら育休は必ず取ってください、というような広報活動や制度は行っていませんが、現時点で8割も取っています。

―社員の方の平均年齢はどれくらいですか?

鈴木さん 年々少しずつ上がっていて、去年34歳で、今年は35歳に乗っています。

前出さん 社員の平均在籍期間も年々伸びています。また、すべての従業員には、ハイパフォーマンスを長期間維持してほしいと思っています。長期間働き続けるためには、健康経営の取組、両立支援なども該当するのですが、ライフイベントのサポートも必要ですよね。それを地道にやり続けてきた結果、平均在籍期間が伸びてきているという効果、メリットが出てきています。

―くるみん認定を取得したことで社内や社会から、何か反響・変化はありますか?

鈴木さん まだそんなに目立ってすごく評価されている感じはないと思いますが、今後採用面などで影響してくるのではないかとは思います。

前出さん 新卒採用も再開をしており、たぶん今の若い人たちは健康経営やくるみん認定、それこそ働きやすい施策や両立支援などはすごく気になるところだと思います。やはりゲーム会社というのはすごくハードに働いているイメージはあるでしょうが、くるみん認定を取っていることや男性の育児休業取得率などをお知らせすることで、いいエンジニアやデザイナーとかがコロプラに来てくれると嬉しいですね。

―ちなみに今、男女比はどのような感じでしょうか。

前出さん 男性7:女性3で、女性はデザイナー・マーケティング・バックオフォス系です。

―やはりエンジニアさんは男性が多いですか?

前出さん 女性のエンジニアもいますが、本当に数名です。

今後の課題

― これからの課題等はありますか?

前出さん 課題というわけではないのですが、デザイナー男性の育児休業取得率は気になっています。

鈴木さん そうですね。男性の育児休業取得率はすごく高いのですが、職種で見ると、実はほぼエンジニアなんです。

―何でデザイナーさんはあまり取得していないのですか?

前出さん エンジニアと比較して、デザイナーは業務特性上育休を取りにくいと感じるのかもしれません。エンジニアはチームで動くことが多く、途中までコードを書いて引き継ぎますというのが比較的しやすく、デザイナーは1人で完結させるタスクが多いのではないかと見ています。

―なるほど。この絵はその人にしか書けないっていうふうになるから、休めないということですね。

前出さん 一人で完結させる業務が多い中、自分が抜けてしまったらみんな忙しくなってしまうのではと子どもが生まれたデザイナーは遠慮してしまうのかもしれません。それでも上長に話せば、絶対調整してくれると思いますが‥

鈴木さん 当事者は「周りに育休を取っているデザイナーがいないから‥」と思ってしまっている部分があるのかもしれません。

前出さん 女性デザイナーの方は取れているので、男性デザイナーが取れないということはないと思うのですが、それでもやはり当事者は自分が取ってしまうと回らなくなるという様に思っているのかもしれないですね。

―なるほど。前例が少ないと勇気がいりますし、突破口があれば、続くことができるのではと思いますが、仕事内容によってやはり育休が取りにくく感じるというのはありそうですね。

前出さん 女性陣はそこの心理的なハードルを乗り越えて、産育休を取っているわけですからね。

―おっしゃる通りです。女性にはそれがないと言う訳では無いですよね。

前出さん 業務をお任せすることになり申し訳ない、と思いながら、産育休を取っているのではないでしょうか。正直、自分自身も後ろ髪を引かれながら産育休を取りました。

―女性だって仕事に後ろ髪を引かれながら、また女性の場合は自分の体で起こる事だから、産育休取るのは仕方がないというか、そうせざるを得ないですよね。

前出さん そうですね。仕事があるから育休は取れないと男性が言うわけですが、女性も仕事があるというのは同じだと強く思います。産育休で休んでも、復帰したら次に産育休を取る人のフォローをしようと思ってくれると人事としては嬉しいですね。どこの部署の女性でも男性でも平等に育休がとれる土壌作りが必要だと感じています。

―そういった悩みが多い中で、今回のくるみん認定であったり、社外の人に“ここは社員にとって働きやすい施策”に取り組んでいる会社だということが知れるだけでも、働く女性としてはすごく会社に貢献できるという視点を持つと、すごくポジティブに考えられますね。それは男性も然り、という事ですね。

制度を充実させたら人が集まる

前出さん ここ1、2年で、お子さんがいる方が転職されてくるケースというのは、昔に比べて増えてきています。

鈴木さん 確かに増えていますよね。

前出さん つまり、「コロプラで産育休を取った」ではなくて、もうすでに小さいお子さんがいる方が転職先としてコロプラを候補にあげて、実際に入社されています。

―確かに、優秀な女性の人材が、ライフイベントを優先する事が難しくて離職する場面で、この会社だったら働けると思える制度や認定はメリットがあると思います。 一般的にゲーム業界は、きつそう、不健康そうと言ったブラック感があると思いますがこれだけサポーティブな制度があり、線としてみた場合に妊娠出産制度だけではなく、その後の育児に繋がっていくサポートの制度がこれだけ充実していて、かつ風土があるという事はとても強みになりますね。

前出さん 制度があっても使えなかったら意味がないですよね。周りがその制度に否定的な環境では、制度は使えない、休暇は取れない。けれども、ココプラが実際にそうならなかったのは、経営層が若く、例えば部長たちも年齢が30代後半や40代前半のため上層部に理解があることが大きかったと思います。

―この次世代サポート休暇は、社員の方が使われたことはありますか?

前出さん 結構使われており、最近も利用者がいます。

―次世代サポート休暇を実際に、会社全体に周知、案内した方法を教えてください。

鈴木さん 普通にイントラネットで周知したかたちですが、

  1. 時短勤務が小学校卒業まで取れるようになったこと
  2. 子ども看護休暇が次世代サポート休暇として生まれ変わったこと
  3. ベビーシッター補助券の配布

と3つを抱き合わせで周知したため、子育て世代には評判がよかったのかなと思っています。

これから認定を考えている他社の人事の方へのメッセージ

―くるみん認定を取った担当者として、これからくるみん認定取得を考えている他社の人事担当の方に何かコメント、背中を押すアドバイスを頂ければと思うのですが、いかがでしょうか?

鈴木さん 私が入社した時には、コロプラには既に家族を大切にしましょうという文化や風土が醸成されていましたが、この風土醸成が正直一番難しいところだと思います。制度を作っても使えないものや、実際にあってないようなものだと意味がないため、従業員が働きやすいように、ライフイベントを経ても長く勤めてほしいというところにフォーカスして、制度設計していくということが一番大事なのだと思います。

前出さん コロプラの場合、自社のどこに課題があるのかというところをしっかりと把握してから、じゃあこの施策を行おうと計画、実行し、それを継続していたらいつの間にか認定が取れる場所まで行きついた、という流れでした。何も整ってない中でいきなりくるみん取得を目指そうというのは、本末転倒になるのではないかと思います。誰も使わない制度を作ったり、その制度を作ることによって従業員がへとへとになったり等、その企業のフェーズによってはあると思います。そうではなくて、従業員をしっかり見て、従業員に合わせた制度を地道にやっていく。その結果、くるみん取得が見えてきたら、取り組める要件に対応していくという流れがいいのかなと思います。

鈴木さん 地味なことをコツコツ地道にするのが、風土醸成には一番いいのかなと思います。

前出さん それでいうと、育児休業制度が変わったときに、社内で研修動画を作ったりしましたね。

鈴木さん そうですね。2022年の法改正で、4月と10月に段階的に施行されるものだったと思いますが、どういう風に変わりますというのを動画研修で周知したり、情報提供は結構手厚くやっている方かと思います。秋になると来年度の保活がそろそろ自治体で始まりますよ、など育休中の人に連絡もしています。

従業員へメッセージ

―最後ということで対外的アドバイスとか、コメントを頂いたんですけれども、もし社内の方で、こういった制度や、認定を取られている中で、従業員に伝えたいメッセージ等、もしあれば教えてください。

鈴木さん 男女関係なく家族を大切にしようという風土があるため、長く働きやすいということはあると思います。実際に、結婚や子供が産まれるといったライフイベントをコロプラで迎える方も多く、その中で安心して産休や育休を取得したり、復職後においても周囲のサポートを受けながら育児と仕事を両立しています。みんなが子育てに対して理解があることがすごく有難いことだと思っています。

もちろんゲーム会社なので、仕事に納期があったり、ここぞという時はすごく忙しかったりはありますが、その中でも育児と仕事の両立という部分においては、働きやすい環境だと思うため、これからも長く活躍してほしいなと思っています。

―ありがとうございます。安心して育休にも入れるし、安心して戻って来れる、会社がそういう包み込んでいるような感じがします。本日はどうもありがとうございました。

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