今回は従業員の適性を生かした配置や業務の委任について説明していきます。
職場において、「得意を活かす業務委任」が確実にバランス良くできていれば、仕事のレベルが上がり、当然効率の良い業務がなされるはずです。しかし、各自の得意という目に見えないものを冷静、客観的に判断するのは容易ではありません。ここではどのような検査法で得意を見つけ出し、得意を活かす業務委任を実施していくか、その注意点やポイントについて解説します。
得意を見つけ出す検査とは
ひとりひとりの得意を見つけ出すには、誰が何を得意とし、また何が苦手なのかということを具体的に把握する必要があります。しかし、自分の得意な点を自分自身で気づかず、理解していない場合があります。そこで自分の得意な点をしっかり認識するための良い方法として適性検査・スキル測定があります。これによって各自の適性を探し、「問題解決能力」「行動力」「リーダーシップ」「チームワーク」などの潜在能力を可視化するのです。
まず適性検査とは、人物の能力や性格・特性を定量的に測定する試験のことで、検査内容は、「性格検査」と「能力検査」に分けられます。
「性格検査」とは、その人のパーソナリティの部分を把握するための検査で、性格の良し悪しではなく、資質や価値観、ストレス耐性などの性格的な特徴や行動特性を測定するための検査です。
「能力検査」とは、その人の知的能力を問う検査で、言語力や計算力のほか、論理的思考や一般常識などが、どれくらい身についているかを測定する検査です。
現在行われている適性検査にはさまざまな種類があり、その中でもシェアが高い検査方法を4つ取り上げました。
1つ目は「SP13」という検査です。業界シェア第1位の検査で、2021年度の利用社数14,400社でした。検査は言葉の意味や話の要旨を正しく問う「言語分野」と、数的処理や論理思考を問う「非言語分野」の構成となっています。
次が「玉手箱」です。知的能力とパーソナリティの両面を測定する検査とパーソナリティのみを測定する検査があります。
他には「TG-WEB」があり、新卒採用向けの適性検査で業界シェア3位の検査法です。
さらに「CAB・GAB」があります。CABとGABはそれぞれ別の検査です。
CABはコンピューター職(SE・プログラマー)としての適性を見るための検査で、暗算や法則性の問題が出題されます。一方GABは新卒総合職の採用を目的としており、言語・計数理解の知的能力や職務適性を見るための検査法です。
2つのスキルについて
「専門スキル」
1つ目の「専門スキル」は特定の業種や職種で必要となる専門知識・技術のことです。
「ポータブルスキル」
次に「ポータブルスキル」とは、職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる業務遂行上のスキルのことです。
ポータブルスキルには【仕事のしかた】と【人との関わり方】の2つがあります。
【仕事のしかた】には5つの要素があり
(1)現状の把握
(2)課題の設定
(3)計画の立案
(4)課題の遂行
(5)状況への対応、の5つです。
【人との関わり方】には3つの要素があります。
(1)社外対応
(2)社内対応
(3)部下マネジメント、の3つです。
ポータブルスキルについては、転職時に、業種・職種が変わっても変わらなくても、入社後の活躍に大きな違いはないということが分かっています。これに関しては、転職後のアンケートの結果に答えが出ています。
以上のことから、適性検査、スキル検査を実施することには大きな意義があると考えられるが、実際に検査を実施する上でおろそかにしてはいけない、とても大事なことがあります。
これらの検査を社内において実施するときは、同じ社内に検査をする側と検査を受ける側の両者、立場の違う人たちが存在しているということです。
検査を実施する側が、「得意を活かす業務委任をする」という目的のために適性検査、スキル検査をするということを、しっかり認識し、かつ適性検査、スキル検査の具体的な内容を充分理解した上で、検査を受ける側にしっかり説明をし、同意を得るこが必要不可欠です。
検査を受ける側は検査を受けることで、自分の得意なことを客観的に知ることとなり、仕事に活かせることになるのです。そうすることで各自の得意な点を洗い出し「得意を活かす業務委任」を実行し、仕事のレベルを上げて業務を効率化をするという目的を達成できるのです。
業務委任の実施後のポイント
新しく業務委任を実施し、一定期間経過後に仕事のレベルや業務の効率化について、追跡し分析することも大切なことです。
業務の中で数値化できるものは全て数値化し、業務委任を実施する以前と実際に実施した後を比べてみます。そうすると、数値が良くなった点があり、またマイナス点もあるかもしれません。マイナス点は改善点と捉えて、検討を加えます。この結果をふまえて、今後の仕事や業務効率化に取り組むことが、さらなる仕事のレベルアップにつながっていくのです。
参考資料: