【ファミワン×自治体】保健師・支援担当者向け プレコンセプションケア勉強会を開催しました

ファミワンは、2024年8月28日に自治体の保健師・担当者等の支援者向けに無料オンライン勉強会を開催しました。

昨今、思春期、妊娠、出産等のライフステージに応じた切れ目のない相談支援等を行う「伴走型支援」が求められています。プレコンセプションケア(※)に力を入れている自治体も増え、生涯を通じた女性の健康支援事業としての「性と健康の相談センター」事業も推進されている一方、「妊娠期以前」で悩む当事者と自治体との接点は少なかったこともあり支援が難しいという声も多く聞かれます。

そのような支援現場からのリクエストもあり、自治体の保健師や担当者などの「支援者側」が学ぶ場としてオンラインによる無料勉強会を開催することとなりました。


「つながり続ける伴走型支援の入り口-若い世代に向けたプレコンセプションケア-」をテーマに、武蔵野大学看護学部教授の坂上明子氏による講演と自治体さま同士のグループディスカッションなどをお届けしました。

(※)プレコンセプションケアとは
若い男女が将来のライフプランを考えて日々の生活や健康と向き合うことであり、早い段階から正しい知識を得て健康的な生活を送ることが将来の健やかな妊娠や出産につながり、未来の子どもの健康の可能性を広げます。子ども、学生、「結婚・妊娠はいずれ」という若い世代など、誰もが「プレコンセプションケア」を実施してより健康になることは、「well-being(心身ともに満ち足りた自分)」の実現にもつながります。

講師のご紹介

【講師】武蔵野大学 看護学部 坂上明子先生

千葉大学看護学部/看護学研究科 博士後期課程修了
東北大学教育学研究科 博士前期課程修了
病院で助産師として5年間勤務した後、大学で母性看護学・助産学を教えています。生殖看護(不妊症看護)を専門とし、妊娠したいと考えていらっしゃるカップルからの電話・メール相談なども行っています。

参加自治体

26自治体(ファミワン導入の7自治体は太字)

奈良県、長崎県(西彼保健所)、横須賀市、京都市文京区、三原市三沢市

都城市、みよし市、田川市、新居浜市、千葉市、小谷村、福島県、岡崎市、米子市、栗原市、長洲町、鳥取県、福島県、天童市、いわき市、海陽町、豊川市、刈谷市、熊本市

武蔵野大学 看護学部 坂上明子先生による講義「つながり続ける伴走型支援の入り口-若い世代に向けたプレコンセプションケア-」

まずはじめに坂上先生より「細く、長く、専門家とつながり続けることが大切」というお話がありました。さまざまな要因で孤立してしまうと社会的支援に繋がりにくいという現実があります。課題に対する支援だけでなく、常に支援者とつながっているという2つの状態「支援の両輪」があることが望ましいと言えます。

妊娠してからいきなり繋がるのではなく保健・医療・福祉の専門家が「伴走していることが日常化すること」が重要です。「伴走型支援の入り口をいつから、どのように広げるか」そのきっかけがプレコンセプションケアとなれば理想的です。

繰り返しとなりますが、プレコンセプションケアとは妊娠前に必要なケア、妊娠を前提としない人も含めて若いうちからライフプランを考えておこなう健康管理のことです。

男女ともに何歳になってもパートナーと関係を作ることはできます。ただ妊娠には男女ともに適齢期があるため、将来、子どもを産み育てたいのかを含めたプランを考えておくことはやはり重要です。

プレコンセプションケアの具体例の一つとして、体重管理について解説いただきました。

現代では女性の痩せ傾向が多く見られています。妊娠前、適正体重ではない場合に不妊や低出生体重児となるリスクが高くなるというデータがあり、自身の健康管理が次世代の健康に関わっていくのです。そして低出生体重児は将来メタボリックシンドロームになるリスクが高いということもわかっています。

まずは適正な体重で出産ができるよう、妊娠前からの母体の健康管理が重要ということになります。また男性の肥満も精子の質や量の低下、子どもの慢性疾患のリスクが上がるというデータがあります。

そして男女ともに体重管理だけでなく、妊娠前に運動習慣があると妊娠合併症のリスクが下がるということもわかっています。

男女が適正体重を維持することや運動習慣を持つことは、現在の自身の健康を維持向上するために重要ですが、将来の妊娠の安全な経過、そして子どもの先天的な病気を予防することにも繋がっていくのです。

坂上先生とファミワンが共同で携わった千葉県ライフデザイン事業のプレコンセプションケア啓発動画についてもご紹介いただきました。

ご参加の自治体職員の皆さまからの事前質問にも、坂上先生から回答・解説いただきました。

ファミワンによる事例紹介

ファミワンでは妊娠前〜育児・産後のヘルスケアまで、プレコンセプションケアを含む各ライフステージにおける支援を行っています。本イベントでは、ファミワンが実際に提供した支援モデルをご紹介いたしました。

不妊治療については看護師、栄養相談においては管理栄養士、メンタル面や夫婦のコミュニケーションについては臨床心理士、仕事との両立などについてはキャリアコンサルタント、妊娠中〜産後のご相談は助産師、など多職種連携により継続した支援を提供しています。

グループワーク

グループワークには19自治体(4県15市区町村)の皆さまにご参加いただき、グループごとに分かれて「自治体におけるプレコンセプションケア推進の課題と取り組み」をテーマにディスカッションを実施しました。ディスカッション後には全グループで情報共有をしました。

小中高の子どもたちへの性教育授業、高校3年生向けプレコンのリーフレット配布、幼稚園保育園の職員向けの発達の段階に応じた性教育指導、市内商業施設におけるチラシ設置など他にも多数、各自治体さまの現在のお取り組みについてご共有いただきました。

参加者アンケート

本イベント全体の満足度の理由をお聞かせください。

●プレコンセプションケアという言葉が注目されてきてはいますが、しっかり理解はできていなかったので、講義で自身の知識の向上ができた。 また、他自治体の取り組みを共有することで、課題の確認や自分の自治体でどのように取り入れていくか考えることができた。

●講師の先生のお話がわかりやすかった。他自治体の悩みが共有できてよかった。坂上先生のご講演がプレコンの必要性について非常に参考や茂樹となったため。

●プレコンセプションケアについて学ぶことができてよかった。今後推進を検討していくにあたり、プレコンが必要な根拠を考えることができた。事前に資料が手元にあればよかった。

●プレコンの研修を初めて聞いたので、今後研修を行うにあたって、とても参考になった。

本イベント全体のご感想やご意見について、自由にお聞かせください。

●お忙しい中ありがとうございました。プレコンについてあらためて知識を得ることができ、今後の業務に生かしていきたいと思います。

●自治体にとって、とても有益な勉強会だったと思います。ありがとうございました。

●この度は、参加にご配慮をいただき、ありがとうございました。

●先生の講義で知識を習得でき、グループワークで他自治体の取り組みを知れる構成で、満足度が高かったです。

●プレコンの基礎、考え方について、具体的に聞くことができ学びが深まりました。また、他自治体様の取り組みについても直接、共有できる貴重な機会になりました。

さいごに

ファミワンでは今後も男女の生涯を通したヘルスケアのサポートを提供してまいります。そして自治体さま同士がお取り組みや事例の共有を行える場を提供できればと考えております。

各自治体さまがより充実した住民のヘルスケアサポートができるよう、ファミワンも伴走してまいります。お問い合わせをお待ちしています!