
はじめに
近年、働き方改革や多様性の推進が広まっており、厚生労働省は所定の評価基準を満たした事業者に対し、公的認定マークを付与する制度を設けています。
「くるみん」や「なでしこ銘柄」「トモニン」など、多くの認定マークが存在します。
今回は、2016年にスタートした女性活躍推進に積極的に取り組む企業に授けられる「えるぼし認定」について紹介していきます。
えるぼし認定って?
えるぼし認定は、女性活躍推進法に基づき、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況等が優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度です。
えるぼし認定のロゴマークに含まれている「L」には、Lady(女性)、Labour(働く、取り組む)、Lead(手本)などさまざまな意味があり、「円」は企業や社会を、「L」はエレガントで力強く活躍する女性をイメージしています。
えるぼし認定の基準は?
えるぼし認定は、以下の5つの基準項目について評価がおこなわれます。
①採用
②継続就業
③労働時間等の働き方
④管理職比率
⑤多様なキャリアコース
これらの基準の達成度合いに応じて、1つ星(1段階目)から3つ星(3段階目)までの認定がされます。
・5つ(全て)の基準を満たす:3段階目
・3~4つの基準を満たす:2段階目
・1~2つの基準を満たす:1段階目
また、基準を満たした上で実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表することが必要です。
令和2年6月からは、「プラチナえるぼし」認定も始まりました。すでに★3(最高位)の「えるぼし」を取得した企業の中から、行動計画の目標を達成し、女性活躍に関する取り組み・実績が特に優良と厚生労働大臣が認めた企業だけに付与されます。
認定基準は以下の通りです。
・上記5つの評価項目を、プラチナえるぼしの基準で全て満たしている
・策定した一般事業主行動計画に基づく取組を実施し、当該行動計画に定めた目標を達成している
・男女雇用機会均等推進者、職業家庭両立推進者を選任している
・女性活躍推進法に基づく情報公表項目(社内制度の概要を除く)のうち、8項目以上を 「女性の活躍推進企業データベース」 で公表している

えるぼし認定を受けている企業は?
令和7年4月末時点でえるぼし認定を受けている企業は3,490社、プラチナえるぼし認定は83社と年々認定企業が増えています。
(参照)認定状況についての詳細はこちら
なお、「女性活躍推進法」では一般事業主行動計画の策定義務の対象企業を徐々に拡大しており、令和4年4月より常用雇用する労働者が101人以上の事業主は、一般事業主行動計画の策定が義務化されています。(100人以下の事業主は努力義務)
えるぼし認定を受けている企業の取り組みを紹介
令和7年に認定を受けた企業の取り組みを紹介していきます。
株式会社ニトリ【★★★】
①マイエリア制度
転勤や報酬の減額なしで、社員が望む地域での勤務を可能にする制度
②ジョブ・リターン(再雇用)制度
結婚・出産・介護などやむを得ない理由で退職された方が、再び活躍することができる制度
上記以外にも、働きやすい職場づくりのための取り組みを広げています。
NTTデータ バリュー・エンジニア【★★★】
テレワークの積極導入のほか、分断勤務や1時間単位での時間休の利用制度など、柔軟な働き方が実現できるよう様々な取り組みを実施。
2029 年 3 月末までに<管理職に占める女性の割合25%以上>を目標とし、係長級の女性に対しての個別育成計画の策定など、今後も継続して組織づくりに取り組んでいくようです。
三井不動産レジデンシャル【★★】
①女性に対する機会の提供
・女性採用比率の定量指標達成/維持(三井不動産グループ各社で目標設定)
・三井不動産グループ合同研修を通じた、女性活躍の社内外ロールモデルとの交流機会創出
②仕事と家庭やプライベートとの両⽴に資する雇用環境の整備
・家庭内ワークシェア研修、育児中社員座談会の実施
・定着/長期的活躍支援に向けたキャリア研修、スキルアップ研修の実施
など女性の活躍が推進されるための機会や雇用環境の整備に取り組んでいます。
さくら情報システム【プラチナえるぼし】
社内キャリアコンサルタントによるキャリアサポート面談の実施や部長職・役員等による管理職手前層の女性社員ヘメンタリング実施など、女性労働者に対する職業生活に関する機会を提供。
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画をもとに、働きやすい環境作りに取り組んでいます。
株式会社アーキテクト・デベロッパー【プラチナえるぼし】
柔軟な働き方の推進
・日ごとに始業および終業時刻を柔軟に調整できるシフト勤務制度の導入
・子が小学校4年生に進級するまで育児時短勤務制度を利用可能
育児休業取得率は男性: 約62.5%、 女性:92.9%と高い水準を維持。柔軟な働き方を実現するために制度を充実させています。
まとめ
今回は、女性活躍推進に積極的に取り組む企業に与えられる「えるぼし認定」について紹介し、令和7年に認定された企業の事例もまとめました。
「えるぼし認定」は、企業が女性の採用・継続就業・管理職比率向上・多様なキャリア形成支援などに積極的に取り組んでいる証です。さらに最高位の「プラチナえるぼし認定」も設けられ、取り組みと実績が特に優れた企業が評価されています。これからも「えるぼし認定」の輪が広がり、性別に関わらず誰もが活躍できる社会に近づいていくことが期待されますね。
