“やる気が出ない”“どうでもいい”と思う心理|セルフネグレクトの心のメカニズム

目次

セルフネグレクトとは?

洗濯がたためてなくてもう何日も放置してしまっている。皿を洗えていなくていつもシンクが汚れている。お風呂に入るのがめんどうだ。冷蔵庫に賞味期限切れの商品がズラリ。食事を摂る気力が上がってこない。郵便物が開封されずに溜まっていってる・・・そんなことは起こっていませんか?

流行語というわけではないですが、セルフネグレクトという言葉が専門的に研究されている昨今、今回はこのテーマで記事を書いてみようと思います。要するに、自分自身が自分のことを後回しにしすぎてしまい、段々としんどくなってしまう現象のことです。エネルギーが低下して困ったケースに発展することがあります。この現象は単なる“ズボラ”や“怠け”ではなく、心理的・社会的が関わる深刻なサインとして扱われます。

セルフネグレクトの基本的な特徴として以下のような項目が挙げられます。

• 日常生活を維持する意欲や能力が低下し、自分の健康や安全が損なわれる状態

• 必要な飲食・衛生管理・金銭管理・医療受診などができなくなる

• 住環境が著しく悪化し、ごみ屋敷化するケースもある

• 高齢者に多いが、若年層にも増えている

“自己放任”とも訳され、社会的孤立や精神的な疲弊が背景にあることが多いとされています。

どんな行動が見られる?

• 入浴・歯磨き・着替えなどの個人衛生を保てない

• 食事を抜く、極端に偏るなど栄養管理ができない

• 医療を拒否する、薬を飲まないなど治療を避ける

• 部屋が散らかり、不衛生な環境に放置される

• 郵便物や請求書を開封しない、金銭管理ができない

• 人との関わりを避け、社会的に孤立する

これらは「怠け」ではなく、心のエネルギーが枯渇しているサインと考えられています。つまりメンタルヘルスがうまくいかずに表出してしまう一つのサインとみることができます。

背景の要因としては、うつや統合失調症などの精神疾患や、社会的孤立、喪失体験、認知症、経済困窮などが考えられます。心理的にはどうでしょうか。自暴自棄になっていると考えるとわかりやすいでしょうか。もう自分のことを頑張って整えることに疲れた、何の意味も感じない、努力しても無駄だ、など、自分を大事にするための行動そのものにモチベーションが湧かない状態だと考えていいと思います。

これらの要因は、複数の要因が重なって起こることが多いです。その場合、本人の意思や努力だけでなんとかできるものではありません。周りのサポートが必要な場合もあるでしょう。

セルフネグレクトは「心のSOS」

セルフネグレクトは、心のエネルギーが尽きてしまい、自分のちょっとしたことを整えるエネルギーが枯渇している状態です。今自分がどういう状態化を客観的に知るすべとして考えていく必要があるでしょう。心が、「もう無理」「助けてほしい」と言っている状態です。ただこの状態に本人自身が気づかないこともあります。その場合、自分の努力や頑張りで何とかしようと思ってしまい、心が疲れて動けない様子なのにもっと頑張ろうとして沼にはまってしまうことがあります。そうすると本格的にメンタルダウンしてしまうことも予想されます。早く自分自身が出しているサインに気づき、家族や病院、相談機関などの周りの支援の手を使っていきましょう。

心は誰にでもあります。ということは、セルフネグレクトは“特別な人の問題”ではなく、誰にでも起こりうる現象だという理解をしていく必要があるでしょう。

はじめは小さなことから始まります。「忙しいからまた今度」とか、「今日はいいや」とか、「まぁいっか」といういわゆる疲れたときに感じる気持ちから起こってきます。自分の体と心が疲れていることをきちんと認識していきましょう。しっかりと対処すればひどくならずにまた元気な心を取り戻していくことでしょう。

初期症状:

・片付けができなくなった

・食事に気遣わなくなってきた

・予定を立てられない

・人と会うのが億劫だと感じる

・「どうでもいいや」と思うように

これらの項目があると、心の状態があまり良くないと自覚することが大切です。まずはセルフチェックして心の状態に目を向けていきましょう。心のSOSを汲み取って対応することがセルフネグレクトを防いでくれることでしょう。

どうしてセルフネグレクトは起こるのか?

「自分のことは後回しでいいや」忙しいとついそう私も思ってしまいます。やらなければいけないことが山積みで、きちんとやらなければ、早く仕上げなければ、強くそう思っていると、どうしても自分のことを後回しにしてしまうこともあるでしょう。仕事や用事を優先することは良いことではありますが、自分を放置してしまうとセルフネグレクトが見えてくることもあると知っておく必要があるでしょう。行き過ぎるとどこかにほころびが生まれます。

他にも喪失体験などにより「やっていることに意味を感じなくなった」などで自分のことを放置しがちになることもあるでしょう。

また経済困窮や病気によるものもあります。

まとめると、今が大変すぎて未来に期待が持てなくなっている状態だと捉えると良いのではないかと思います。自分の未来を期待することは心の動機として非常に重要なことです。たとえ忙しくても、未来に期待を持ち続けている状態だと心は元気でいられることもあります。どうして未来に期待できなくなってしまったのかについて考えていく必要があります。

自分を大事にしていきましょう

ここまでセルフネグレクトを考えてきてわかってきたこととして、自分自身を大事に扱うことが大切だということと、未来に期待が持てなくなってしまった理由についても考えてみると良いということがわかってきたかと思います。

まとめると、「今の自分」と「未来を考える自分」を大事にしていくということです。

この2つの事を大事にするためには、何をすればいいのでしょうか?

・まずは「休む」こと。人は疲れを感じると休みます。よく寝て、美味しい食事を摂って、日光を浴びる、適度に運動して、リラックスを心がけることが大事です。

・誰かに今の状況を話す。心の疲れは話すことで整理されたり、癒されたりすることがあります。心理療法は言語化を使って心を整えていく方法です。カウンセラーに話を聴いてもらうことは有効でしょう。また家族や友人に聴いてもらうことを選択される場合もあるでしょう。できれば感情を言語化し口から出していくことで、状況を変えることができます。ぜひ試してみることをお勧めします。

・気持ちを言語化して整理した上で、にはなりますが、完璧を目指していた場合は見直しが必要でしょう。ひとまず70%くらいを目指すことにすると良いでしょう。

・自分の未来を期待することが大切なので、そこをゴールに話していくといいですね。一人で考えるとしても、過去や現在の整理だけでなく、未来についてもポジティブな方向を意識して考えてみるといいでしょう。

怠けではないのだという理解をし、心を大事にしていきましょう

セルフネグレクトから抜け出すには、“怠け”“ズボラ”ではないのだと理解することろから始めましょう!自分のことを放置するようになっているということは、助けが必要なサインだということです。自分自身で自分を助けられない状況なら周りに助けを求めましょう。話を聴いてもらうだけでもずいぶん助かるはずです。

セルフネグレクトに陥っているとしたら、立ち止まって、誰かに頼ることを許していきましょう。自分自身の状態を受け入れていくことが大切です。あなたは大切にされていい存在です。それを忘れないでほしいと願います。

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この記事を書いた人

NPO法人日本心理教育ラボ理事長、公認心理師 岩崎恵美のアバター NPO法人日本心理教育ラボ理事長、公認心理師 岩崎恵美 NPO法人日本心理教育ラボ理事長、公認心理師

NPO法人日本心理教育ラボ理事長、公認心理師、キャリアコンサルタント、ブリーフセラピスト、NLPマスタープラクティショナー
プロフィール:流通業界の大手企業に総合職で入社。妊娠により退社後は、3人の子育てをしながら英語教室を開き、PTAでは会長を2度引き受けるなど積極的に参加し地域活動に貢献。その間並行してNLPや心理学を学び、2010年からカウンセリングサロンWISDOM HOUSEを経営。2012年にはNPO法人日本心理教育ラボを設立し企業の対人支援者育成や組織開発、人材育成に尽力している。