【体験談】あなたにとっての「両立」って?不妊治療とキャリアについて考えよう

『子どもを授かることも仕事も諦めたくない、どちらも全力で取り組みたい』

不妊治療は通院回数が多く、1ヶ月の間に何度も会社を休んだり遅刻をしたりしなければならないので、大変さを感じることが多いですよね。

ファミワンキャリアではキャリアと治療の両立について悩みを抱える方たちのお声をたくさん受けています。
また、これから不妊治療を始めようと考えている方も、キャリアとの両立に漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。

治療もキャリアも大切にしたいと思ったとき、自分の中でどんな点を整理しておくとよいのでしょうか。

今回は、これまでキャリアコンサルタントと人事の仕事を長く続けてきた『かみゆき』が、自身の経験とともに、不妊治療とキャリアの両立のために考えておきたいポイントについて綴っていきたいと思います。

妊活がバレたらキャリアが終わる…そう思っていました

改めまして、ファミワンキャリアのかみゆきです。

私も3回の不妊治療を経てきました。5歳、2歳、0歳の3人の子ども達は顕微授精で授かっています。今は育休をとりながら、ファミワンキャリアの「妊活キャリアアドバイザー」として活動しています。家族は主人と私、3人の子ども達、さらには犬1匹という大所帯。毎日が大騒ぎです。

そんな中、ファミワンキャリアご登録者の方とのキャリアカウンセリングは、私にとってとても大切な時間。「不妊治療とキャリアの両立」に正解はなく、人によって大切にしたいことも違いますが、その方に合ったベストな選択肢を一緒に見つけていく過程で私自身も多くのことを学ばせて頂いています。

「子どもが3人」と言うと「順調だね!」と驚かれることも多いのですが、実は私、正社員として働きながら並行して不妊治療を行っていました。人工授精からスタートし、顕微授精まで経験。その間も仕事を続けていたのですが、うまく両立できていたかと言うと、決してそんなことはありません。むしろ、「妊活がバレたらキャリアが終わる」そう思い込み、コソコソと職場に隠しながら不妊治療をしていたのです。

思い切って不妊治療を公表

私が不妊治療を始めたばかりの8年前。結婚して3年、なかなか授からなかった私たち夫婦は、私の職場近くの小さな不妊専門の病院に通いながら、人工授精に挑戦していました。当時の私は、子どもが欲しいという気持ちとは裏腹に仕事が大好き。嬉しいことに社内でも評価され、マネージャー候補として管理職育成の研修にも参加。毎日楽しくやりがいをもって過ごしていたのです。

『子どもは欲しいけど、キャリアはあきらめたくない』

子どもは大好きで早く欲しいと思う反面、自分のキャリアや仕事に対する後ろめたい気持ちもとても大きく、「妊活していることがバレたら責任のある仕事は任せられなくなるのではないか」「仕事は二の次かとガッカリされるのでは…」という不安も抱えていました。

幸い、病院は職場から歩いてすぐ。朝早くからあいていて少しの遅刻で会社に行けたので、うまく言い訳して隠しながら通院していました。

そして、6回目の人工授精も結果は陰性。「そろそろ体外受精を検討しましょうか」という医師の言葉に、無知な私は「それならすぐ妊娠できるのかもしれない」とホッとしたことを覚えています。でも、いざステップアップしてみると、通院回数も時間も大幅に増加!さすがに、これ以上「体調不良」だと言って不妊治療を隠し通すのは難しいだろう。主人とも相談し、年齢のことも考え妊活優先にすることに。そして、そのことを上司に打ち明ける覚悟を決めました。

しかし、このときはちょうど管理職昇進の話も出ていたところ。仕事が大好きな私にとっては苦渋の決断でした。

「少しだけお時間ください」と上司にメールして、向かったミーティングルーム。

『これで、ついに私のキャリアは終わる…』

目の前が真っ暗になるような気持ちでした。上司は私と年齢が近く、ともに戦ってきた戦友とも言える人。でも、未婚の男性でどういう反応をされるのかまったく想像がつかず、怖くて仕方ありませんでした。

だけど、いざ打ち明けてみると、上司はかなり驚いた様子をみせつつも「あなたの意思を優先するけれど、管理職は本当に保留でいいの?」と何度も確認してくれました。私がさんざん想像していた反応とはまったく違うもの。私が勝手に頭の中で「もしバレたら…」「もし私が上司だったら…」と悪いほうに考えていただけ。もっと早く相談すればよかったと思いました。

あきらめるもの、あきらめないものを整理!

ちなみに上司に打ち明ける前に、私が自分のキャリアについて整理したのは以下の3つ。

  • 管理職登用への挑戦はいったん保留
  • 大好きな仕事のボリュームは今まで通り。治療のない日は無理のない範囲で残業もする
  • 同じく大好きなお酒、飲み会も、治療のタイミングで可能な場合は無理せず参加する

私にとっての「不妊治療とキャリアの両立」を考えたとき、いきなりキャリアも仕事もお酒も辞める!というストイックな選択はかなりのストレスになることが想像できました。あきらめるもの、あきらめないものを明確に。

これは、私にとってはとても良い選択だったと思います。突発休も増え仕事のスケジュール調整は大変でしたが、大好きな仕事は今まで通り、できる時には全力で。時期によってはお酒も楽しみ、不妊治療のことばかり考えずに済んだので、適度なストレス発散をすることができました。

そして、3度目の体外受精で第1子を妊娠し、産休に入ることに。少しずつ仕事のボリュームを減らし、引継ぎをしながらも、今まで仕事を頑張ってきたことが信頼となり、「早く戻ってきてね」と惜しまれ温かい言葉をたくさん頂きました。

不妊治療とキャリアについてどんな悩みを抱えている?

そんな経験から、私が不妊治療とキャリアの両立をするときに大切だと感じていることは、自分にとっての「両立」がどのような状態なのかを考えるということ。

「両立」とひとことで言っても、この「両立できている」という状態は、実は人によって全くイメージが違います。私がご相談を受けた方の多くはお話を聞く限り、目の前の仕事にも真面目に取り組まれ通院による突発休にもうまく対応できていらっしゃると感じます。では、実際に何について悩まれているのでしょう?大きく分けると、下記2点があげられます。

1.「両立」という言葉に漠然とした完璧なイメージを持っており、「今はできていない」となんとなく不安に感じている

「ちゃんと両立させないと…今は仕事も治療も中途半場なのでは…」真面目な方ほど悩んでしまう問題です。まずは「両立できている」とはどのような状態か、箇条書きで書き出してみるのがお勧めです。今の職場で叶えられていること、叶わないことが整理できると、転職か異動か、次のアクションが明確になってきます。

上司に相談する際も自分のプランを整理し、「これからどうしたい」ということをきちんと伝えましょう。そのほうが相手も仕事の任せ方のイメージがつきやすく、より理解が得やすくなるかもしれません。

2.「もし妊娠したら」「もし不妊治療が長引いたら」「もし妊娠できなかったら」と、タラレバで考え込んで悩みのループにはまってしまい、この先のイメージが持てない

妊娠する時期は自分の力でコントロールできないので、いろいろ考えてしまいますよね。まずは見えない未来から視点を切り替え、今目の前で困っていることを一つずつクリアにすることに集中してみてはいかがでしょうか。

タラレバの未来より目の前の妊活、そして仕事に全力で取り組む環境づくりをすることで、周囲からの理解や協力も得やすくなるかもしれません。

「不妊治療とキャリアの両立」が実現できているのはどんな状態

とはいえ、自分ひとりで考えていると、思考のループにはまって、なかなか前に進めないこともありますよね。

私がファミワンキャリアの妊活キャリアカウンセリングで心がけているのは、無理な転職は進めないこと、転職のリスクもあわせて必ず伝えること。今までファミワンキャリアの妊活キャリアカウンセリングを利用された方の中には、「現職に残る」道を選ばれた方、転職への挑戦を決めた方、フリーランスに働き方をシフトした方、派遣という雇用形態にチェンジした方…様々な方がいらっしゃいます。同じ「不妊治療とキャリアの両立」雇用形態一つでも、人によってこんなにも選択肢が違うのです。

あなたにとって、「不妊治療とキャリアの両立」が実現できているのはどんな状態でしょうか。
今、理想の実現のために動けることはなんでしょう。うまく言葉にできない、すっきりしない方、ぜひ私たちファミワンキャリアに、お話をお聞かせください。妊活・不妊治療は周りになかなか話しにくいことですが、同じように経験した私たちだからこそ力になれることがあると思っています。

あなたにとっての「不妊治療とキャリアの両立」を、私たちと一緒に形にしてみませんか?

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