男性の育児休暇を推奨している企業等を紹介
男性の育児休暇と聞くと、制度として浸透していないことや、身近に取得された方を見たことが無いという方は少なくないのではないでしょうか。現在日本では、女性同様、男性も育児休暇の取得が認められています。
そもそも、日本での育児休暇制度は1991年に始まりました。2023年現在から見て、約30年前となります。育児休暇制度は、それから幾度か改正を経て今に至ります。 男性の育児休暇取得率は、現状、女性と比較すると、まだまだ低い取得率となります。しかしながら、子育ては父母共に行うものです。男性は外で働いて、女性は家を守るというのは、今や時代錯誤といえます。また、男性の育児休暇を推奨する企業や世界ではどうなっているか等、本記事では男性の育児休暇について解説をしていきます。
育児休暇とは?
育児休暇とは、子を養育する労働者が法律に基づき休業できることをいいます。出産前後の女性は体に負担がかかりますので、休業が必要なのは当然ですし、その後、保育園に入所できる前の期間は、子供の養育をする必要があります。その期間は仕事をすることは難しいため、このような育児休暇という制度が設けられています。制度導入以前は、女性は出産=退職という考えが主流でした。育児休暇の制度ができたことにより、退職せず、子供が保育園に入所できるまで休業をし、保育園入所後に復帰するという働き方ができるようになりました。
男性の育児休暇の推移と現状
育児休暇は、男性も女性も取得することができます。では、それぞれの取得率がどうなっているかを記していきます。 1999年では、育児休暇取得率は、女性56.4パーセントに対し、男性は0.42パーセントと1パーセントにも満たない状態でした。その10年後の2009年では、女性は85.6パーセントと約30パーセント伸びているのに対し、男性は1.72%と1パーセント程度しか伸びていません。そして、2021年では、女性85.1パーセントに対し、男性13.97パーセントとなっています。1999年と比較すると、増えてはいますが、全体からすると20パーセントにも満たないのが現状です。 さらに、男性が育児休暇を取得しても、その取得日数が5日未満の割合は、25パーセント、2週間未満が26.5パーセントと短期間の育児休暇が半数を超えます。取得率が低いかつ取得期間は短いという結果となっています。
育児休暇中の収入はどうなる?
育児休暇を取得すると働くことは原則としてできません。では、その働かない期間の収入はどうなるでしょうか?生活を行うための十分な収入を得ることはできるのでしょうか。
結論からすると、収入には心配はしなくても大丈夫です。育児休暇中は育児休業手当金が出るため収入を得ることができます。育児休業給付金は6ヶ月までは給与の3分の2、それ以降は2分の1が金額の目安になります。収入は減るように思えますが、育児休業中は社会保険料が免除されますし、育児休業給付には税金がかかりませんので、給与の3分の2支給であっても、手元に残るお金は、給与を支給されていたときと大差は無いです。収入面では安心して育児休業に入れる仕組みとなっています。
ハラスメント防止
育児休業に入るということは、仕事の穴をあけることとなりますのでその分周囲の仕事の負担が増えるのは、仕方のないことです。中には育児休暇に入る男性を仕事上不利益に扱うことなどもあるかもしれません。男性のくせに育児休暇に入るなんて、という心無いことを思う人も中にはいるかもしれません。しかしながら、そういった行為はパタニティハラスメントに該当するため、決して行ってはならない行為です。育児介護休業法第25条により、禁止されているため、そのような行為は、法律違反となります。
他国の男性の育児休暇
日本では、男性の育児休暇率は20パーセントにも満たない数字となっています。では、ヨーロッパ諸国の育児休暇取得率はどうなっているでしょうか。 まず、男性の育児休暇率が高いとして有名なスウェーデンは88.5パーセントとなっています(2012年データ)男性10人中約9人が育児休暇を取得しています。スウェーデンは、1930年代から母親の育児休暇制度ができ、1974年には両親の育児休暇制度ができています。子どもの福祉を充実させた政策を早くから取り入れている国です。
次にドイツは35.8パーセントとこちらも日本に比べて高い取得率となります。ドイツは両親が育児休暇を取ることにより、給付金のプラスや延長期間が設けられます。このような制度が男性の育児休暇取得を後押ししているといえます。
さらにフランスは2021年7月から男性の育児休暇が義務付けされ、取得率は必然と100パーセントとなります。最低でも7日の休暇日をとらなければなりません。違反した場合は罰則が設けられます。
男性の取得率が高い国は?海外の「育児休業制度」とその背景 (cosmopolitan.com)
男性の育児休暇推奨例
記載したとおり、日本男性の育児休暇取得率は低く育児休暇を取得したとしても短い期間での取得が大半を占めます。そのような現状ですが、国内においても育児休暇を推奨している企業は存在します。
代表的な例が積水ハウスです。男性の育児休暇を経営戦略としてとらえトップマネジメントが積極的に取得を推奨しています。取得期間は最低でも1ヶ月としています。家事育児をすることによる多様な経験、休んでも仕事が回る仕組みづくり(属人化の排除)などをメリットとしてとらえています。また、ハウスメーカーであるので、社員の幸せな家庭づくりに積極的な姿勢を見せています。
江崎グリコも男性の育児休暇取得率を100パーセント、期間を1ヶ月と掲げている企業です。2017年では4パーセントしかいなかった育児休暇を取得する男性社員が、今では100パーセントとなっています。
子供が産まれても子供と一緒にいる時間が少ない男性社員のため、会社全体のプロジェクトが始動し、現在の実績に至るということになります。
2社に共通していえることは社員の家族の幸せのために企業が後押ししているということです。企業の後押しというのは、男性が育児休暇を取得すること、国全体としても取得率を上げることにとって、必須といえるでしょう。
まとめ
以上が男性の育児休暇についての記事となります。政府は、日本の男性の育児休暇取得率の目標として、2025年までに30%を目指しています。そのためには、国の育児休暇に対する補償制度もさながら、勤務する男性が育児休暇をとりやすい環境づくり、企業の後押しが必要となります。男性の育児休暇をポジティブにとらえ、推奨していくことにより男性の育児休暇取得も増えていくことを期待したいです。