日本人の2人に一人がなる「がん」。自分が癌になったらどうなるんだろう?仕事を続けられるかなと不安になる方もいるかもしれません。今回は「がんと仕事の両立」についてお話しします。
がんになるとどうなるの?
①入院
まずは入院です。手術をしたり、初めての抗がん剤を投与するには入院が必要です。
がんでの入院日数は1回あたり約19〜20日程度と言われていますので、入院期間中の仕事の調整が必要になります。お子さんがいる場合や家族を介護している場合は、入院中にどうやって家族をみていくかも考える必要があります。
②治療
がんに対する治療は、手術・抗がん剤・放射線治療がメインです。
・手術では、入院期間が1週間〜10日程度です。
・抗がん剤の治療期間は、がんの種類や治療法によって異なります。抗がん剤を毎日内服する場合もあれば、3週ごとの点滴を合計6回など、さまざまです。
・放射線治療も、1 日〜2カ月程度とばらつきがあります。
がんの種類や治療法によって期間が変わってくるので、あらかじめ治療は長くかかると見込んでおきましょう。
③副作用
・手術によって傷の痛みがあったり、跡や傷が気になることがあります。
・摘出する臓器によっては、その機能が使えなくなります(例えば膀胱摘出)。
・抗がん剤の副作用として、脱毛、吐き気や嘔吐、便秘・下痢、皮膚障害(肌荒れ、乾燥など)、味覚障害(味が感じられない、不味く感じる)、しびれなどがあります。
・放射線の副作用として、疲れやすくなる、だるさ、気力が出ない、皮膚の炎症、口の渇きなどが見られます。
これらの治療の影響だけでなく、がんになったことによる精神的な疲れや、不安からも体調が悪くなることがあります。これらの副作用とも付き合いながら過ごしていく必要があります。
以前は、入院をして治療を行ってきました。しかし、現在は入院期間がどんどん短くなっており、外来で治療を行うことが可能になってきました。そのため、仕事をしながら通院で治療をすることができるようになったんです。
④外来通院
外来では病状が悪化していないか、手術の傷の治りはどうかなど定期的に診察を受けます。また、抗がん剤や放射線治療も外来で行うことができます。治療の副作用を抑えてくれる薬を使用したり、生活の工夫をしながら、ご自身で体調を見つつ生活していく必要があります。多くの病院が平日での外来通院となるので、平日に休んだり、仕事を調整していきましょう。
先ほどお伝えしたように治療には副作用があります。症状の出かたには個人差がありますが、あまり副作用が出なくても、身体を回復させるには無理は禁物です。いきなり仕事復帰!ではなく、体調をみつつ、仕事を徐々に再開していくことが大切です。
ここでいくつか仕事との両立をする上で大切なポイントをお伝えします。
がんの治療と仕事を両立するために
①働く場所
・副作用で気持ち悪さやだるさなどがあると、遠くに通勤することが難しくなるかもしれません。リモートやフレックスタイムを利用して、通勤での負担を減らせるといいですね。配属先や通勤先を家の近くに変更できれば、より通勤の負担を減らせるかもしれません。
・腹痛や吐き気などがある場合は、職場で休める場所が必要になるかもしれません。
②働く時間・休みの数
治療後すぐに元に戻るというのは体調的に難しい可能性があります。可能ならば、体力と体調の戻り方を見つつ、徐々に出勤時間や出勤日数を増やすようにしましょう。または、仕事中に休憩をこまめにもらったり、休憩を長く取ったりと無理なく働いていけるように調整が必要です。平日に外来通院が必要な場合は、仕事量の調整や平日に休みをもらえるよう配慮してもらう必要があります。職場での理解を得るためにも事前に上司や人事担当者、産業医などとコミュニケーションをとっておくと良いでしょう。誰に伝えて、誰に知られたくないのかも考えておくと良いでしょう。
最後に
現在多くの方が、仕事をしながらがん治療をされています。仕事を続けることは、決して不可能ではありません。自分にとってどうバランスを取れば、無理がないのかを考えていくことが大切です。
会社の皆様へ
本人がどんな治療をしていくのか、どのような配慮を求めているのかを把握していただけると、治療する本人は安心すると思います。
また、もう治っていると思っても本人は気丈に振る舞っているだけかもしれません。もしくは必死に元に戻ろうとしているのかもしれません。相手の体調や病状を定期的に聞く、もしくは詳しく話してくれなくても、「いつでも力になるからね」などと声をかけておくだけでも、治療する本人を支えることができます。
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