【健康経営】疲労・不眠・ストレスを漢方で快適に

漢方医学には、同じ症状でも人によって異なる治療法があります。また適切な漢方薬を選ぶこと
で、複数の症状を同時に改善することも可能です。「なんとなく調子が悪い」「病院では異常が見
つからない」「あれもこれも治したい」そんな時こそ漢方が重宝します。

漢方医学と西洋医学の違い

・漢方は体全体のバランスを重視するため、これは◯科それは◯科と分けません。
・検査で異常が見つからなくても、本人が不調を訴える限り重要なサインと捉えます。性格だと
思っていた症状が漢方で改善するなんてことも少なくありません。(心身一如)
・問診の時間が長い。生理・食欲・排便・睡眠・顔色や舌などから体質を見極めます。(弁証)
・病気になる前の段階から対策を行うこともできます。(未病を治す)

あなたはどのタイプ?

落ち込みタイプには 帰脾湯・加味帰脾湯

心身ともに疲れて不安感があり、浅い眠りや夢が多い特徴があります。栄養不足が慢性化して
いるため、貧血や物忘れ、顔色の悪さや動悸などの症状も出てきます。妊活や育児、介護などの
長期的なストレスがかかっている方や、産前産後の精神不安にも有効。

感情の波があるタイプには 逍遙散・加味逍遙散

生理周期や更年期など、ホルモンバランスが乱れやすい時期のイライラ、不安感、不眠に効果
があります。感情だけでなく、食欲や体重、基礎体温表がアップダウンしやすい傾向に。周りには
気が強そうに見えていても、実際の体は弱っています。

イライラが強いタイプには 抑肝散・抑肝散加陳皮半夏

興奮しやすく心身ともに緊張しやすい方の不眠に効果があります。体の強張りが、食いしばりや
筋肉のけいれんとして現れることも。子供の夜泣きや疳の虫に使う場合は、母子共に服用するこ
とが推奨されています。

落ち着かないタイプには 桂枝加竜骨牡蛎湯・柴胡加竜骨牡蛎湯

些細なことが気になり、寝つきが悪い方に。疲れやすく神経質で手に汗をにぎるタイプには桂枝
加竜骨牡蛎湯。体力がありイライラしやすく体に熱がこもるタイプには柴胡加竜骨牡蛎湯。ただ
し、柴胡加竜骨牡蛎湯は大黄という下剤を含むため、妊娠中や授乳中の方は慎重な服用が必
要です。

疲労困憊タイプには 酸棗仁湯

体はヘロヘロなはずなのに布団に入ると目が冴えてしまう方に。夜中に何度も目が覚め、熟睡感
がなく繊細なタイプの方に効果的です。不眠には有名な漢方薬ですが、単剤で効果がイマイチな
場合は他の漢方薬を併用します。

今回は5つのタイプに分けてご紹介しましたが、相性の良い漢方を併用したり病院の薬を減らし
ていく目的で服用することも出来ます。また、漢方薬局には動物性の成分が入った効果の高い
漢方もあるので選択肢は一気に増えます。詳しくは専門家にご相談ください。

体が発する小さなサイン

喉のつまり感は気うつの現れ

スピーチなどの直前に咳払いをした経験はありませんか?体が緊張すると、喉に何か引っか
かって詰まったような感覚になります。こんな症状には半夏厚朴湯。責任感やこだわりの強い方
に起こりやすいとも言われ、コロナ禍で需要が急増した漢方の一つです。

まぶたのピクピクは肝の悲鳴

漢方医学の「肝」は肝臓よりも少し広い意味をもち、自律神経や怒りをコントロールしていると考
えます。また目や筋肉と密接に繋がっているので、まぶたの痙攣はまさに肝が悲鳴をあげている
サイン。抑肝散や加味逍遙散がよく効きます。

決断力がないのは胆の弱り

胆(きも)が据わる、大胆、胆力などの言葉からも分かるように、以前より迷うことが増えてきたの
は五臓六腑の「胆」が弱ってきたサイン。こんな症状には温胆湯です。元々寝つきの悪いタイプ
の不眠や、不安感、胃腸の弱りに使うことが多く、つわりが楽になる方もいます。

上記のように、意外な症状を改善できる漢方もありますので、機会があればお試しください。

病は気から

病気は気の持ちようだから気合いで治せ!という意味ではありません。本来は気血水の「気」か
ら来ていて、広義には体全体を流れるエネルギーと解釈されています。
緊張が解けると風邪を引きやすくなるのは、体の表面をバリアしていた気が減少するためです。
気遣いや気配りのあとは疲れが出ますし、運動やおしゃべりで気を発散するとスッキリします。緊
張することを「(気が)上がる」と言いますが、気が上がりっぱなしだと脳が興奮して寝付けませ
ん。気持ちを整えるには、体内に十分な気を養いスムーズに巡らせておくことが大切で、結局最
後は食事と睡眠と運動だよね…という面白みのないオチがくるのです。

もっと詳しく!ファミワン福利厚生コラム:働く人の猛暑を乗り切る!おすすめ漢方

まとめ

近年予防医学の重要性に注目が集まっていますが、漢方は元々未病を治すことを得意とし、予
防医学そのものと言えます。西洋医学に足らないところを漢方で補いつつ、より快適な生活をお
送りください。

〜補足〜
帰脾湯 きひとう
加味帰脾湯 かみきひとう
逍遙散 しょうようさん
加味逍遙散 かみしょうようさん
抑肝散 よくかんさん
抑肝散加陳皮半夏 よくかんさんかちんぴはんげ
桂枝加竜骨牡蛎湯 けいしかりゅうこつぼれいとう
柴胡加竜骨牡蛎湯 さいこかりゅうこつぼれいとう
酸棗仁湯 さんそうにんとう
半夏厚朴湯 はんげこうぼくとう
温胆湯 うんたんとう