女性活躍推進法とは
女性活躍推進法とは、日本で働く女性の個性と能力を最大限に発揮できる職場環境を整えることを推進してくために2016年(平成28年)4月から施行された法律です。
女性活躍推進法の目的
女性活躍推進法は現在の働く職場環境の改善及び将来の労働力不足に備えることを目的に施行された法律です。
現在の日本における働く女性の現状は、就業率は上昇しているものの、就職を希望しているにも関わらず、就労することができていない女性が約171万にもいるという現実があります。
特に、出産をきっかけに約5割の女性が退職し、その後の再就職もパートタイム労働者になる場合が多く、非正規職員の割合が5割となっています。
現状、正規職員として就業することが難しいケースもくみられます。
さらに、女性の課長級以上の管理職の割合も約11%と国際的にみても、その水準はまだまだ低い現状にあります。
将来の急速な人口減少からくる労働力不足に備えるためにも女性の活躍推進は重要事項となっています。
こうした状況を改善すべく、施行されたのが女性活躍推進法です。
女性活躍推進法によって企業が行うべきこと
(1)女性の活躍に関する状況の把握と課題の分析
「基礎項目」と呼ばれる以下のような項目から現在の状況を把握し分析します。
・直近に採用した女性の割合。
・男性と女性の勤続年数の違い。
・月ごとの労働時間の状況(残業時間等)
・管理職に占める女性の割合
分析の結果から課題であると判断した項目に関しては、以下のような「選択項目」があります。
・働きたい女性に対して、仕事の機会を提供できているか
女性の採用に関する倍率や割合に関する項目や、社員教育、管理職の割合や昇進、セクシャルハラスメントの相談窓口、社員登用や再雇用の実績など様々な項目があります。
・仕事と家庭の両立をするために働く環境整備について
過去の男女別の継続雇用の割合や、男女別の育児休暇の平均取得率と期間、両立のための支援、男女別のフレックスタイム制や、テレワークなどの実績、平均残業時間や有給休暇の取得率などの項目があります。
「基礎項目」や「選択項目」の詳細は以下のサイトをご覧ください。
URLはこちらです:https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000984248.pdf
また、常用労働者301以上の事業主は、男女の賃金の差異の状況を把握し公表することも必要になります。
(2)女性の活躍に関する行動計画を策定・社内周知・公表を行います。
行動計画には、以下のような項目を盛り込むことが必要です。
・計画期間
令和7年度までの期間で状況に応じて、2~5年間に区切り定期的に進捗を検証しながら改定 を行います。
・数値目標
(1)の「選択項目」の中から常用労働者の人数によって項目を選択し数値目標を立てます。
例としては、「管理職に占める女性比率を30%以上」や「男女とも平均勤続年数を10年以上 とする」などが挙げられます。
・具体的な取組内容と実施時期
目標達成に向けて、どのような取り組みを行うか、その内容に合わせて実施時期を検討します。
行動計画の策定が完了したら労働者に周知し、外部に公表します。
(3) 都道府県労働局に届出を行います。
行動計画を策定・変更したら、「一般事業主行動計画策定・変更届(参考様式)」記載し管轄の都道府県労働局に届け出ます。
電子申請、郵送または持参して提出することが可能です。
(4) 取組の実施状況を点検・評価
定期的に、数値目標の達成状況や、行動計画に基づく取組の実施状況を点検・評価します。
点検・評価の結果をふまえ、その後の取組や計画に反映させます。
PDCAサイクル、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)を確立さることも大切です。
(5) 女性の活躍に関する情報を公表します。
自社の女性活躍の状況に関して、自社の雇用状況によって「公表項目」を選択し、求職者が簡単に閲覧できるよう公表します。
「公表項目」に関する詳細は以下のサイトをご覧ください。
URLはこちらです:https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000984248.pdf
女性の活躍に関する情報の公表には「女性の活躍推進企業データベース」を使用することをお勧めします。
URLはこちらです:https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/
(6) 厚生労働大臣の認定の取得
一般事業主行動計画の策定・届出を行うと認定取得の対象となります。
認定を受けることで、厚生労働大臣が定める認定マークを商品や広告に付けることができ女性活躍推進企業であることのPRへつながります。
まとめ
女性活躍推進法とは、日本で働く女性の個性と能力を最大限に発揮できる職場環境を整えることを推進してくための法律です。
自社の女性に関する職場環境を整えるために、詳細な状況把握と分析をし、しっかりとした行動計画の策定が必要となります。しっかりとした行動計画の結果を情報公開することで就職活動中の女性が企業の選ぶ参考になります。
また、優良な取り組みを行うことで厚生労働大臣から認定を受けることが可能で、優秀な人材の確保にもつながります。このような取り組みの結果、働く女性がより活躍できる社会の実現につながっていきます。