育児休暇から職場復帰する際、授乳について悩みを持たれる方も多いのではないでしょうか。
実際に、職場復帰されている方たちも授乳サイクルは様々です。完全に断乳された方もいれば、朝や夜は授乳をして日中だけ授乳をしないという方もいます。働きながらの授乳に関して正解や不正解はありませんので、お母さんと赤ちゃんの状態や気持ちを大切にして、授乳サイクルの目標を事前に決めておくとよいでしょう。決めた目標を明確に順守する必要はないですが、目標が断乳なのか、日中のみの断乳なのか、などによって準備期間も変わってきます。また復帰後、職場で搾乳ができるのかによっても選択肢は変わってきますので、職場復帰後の環境についての情報収集も必要な方はしておくとよいでしょう。
今回は、「育休が終わる前に断乳したい」「日中の授乳回数をトラブルなく減らしていきたい」とお考えの方に向けて、育休前からの準備について説明していきますのでぜひ参考にしてください。
母乳の仕組み
母乳がどのような仕組みで身体の中で作られているのかご存じですか?
産後10日目くらいまでの初期段階では、授乳や搾乳などの乳頭刺激によって母乳を作られます。その後母乳の量が増加し分泌量が安定してくると、乳房から出ていった母乳の分だけまた新しい母乳が作られるようになります。この時期には、母乳が乳房内へ貯まったままだと『母乳は必要ない!』と脳が判断し、作られる母乳の量は減っていきます。
職場復帰に向けて大切なポイント
①授乳回数を徐々に減らす
母乳の仕組みでお話したように、母乳は1回の授乳量によって決まり、母乳が排出されず乳房内に貯まったままだと母乳の作られる量は減っていきます。この仕組みを利用して少しずつ母乳の作られる量を減らしていきます。この際に注意したいのが、急激に授乳回数を減らしてしまうと乳腺炎などのトラブルになる可能性が高いので身体の状態に合わせて少しづつ減らしていくようにしましょう。
離乳食の進行具合にあわせて、日中の授乳を減らしていく方法がおすすめです。具体的には、離乳食前後にしていた授乳をスキップするとよいでしょう。授乳しないことで赤ちゃんが泣く場合には、遊びで気分を変えたり、母乳ではなくミルクや麦茶などを代わりにあげるようにしましょう。他には、夜間の授乳回数を減らしていく方法もあります。夜間に泣いたときも、麦茶などで水分補給をさせるだけにとどめて抱っこなどであやしてまた寝かせます。
②乳房トラブルが起きそうなときは初期対処を早めにする
これまでにあげていた母乳量や、体質によって母乳を減らしていくときに現れる症状は変わってきます。母乳量や授乳回数が多い人の場合、授乳回数を減らし始めて数日間は症状が強く出るので予定のない時期に始めるのがおすすめです。
乳房が張るものの痛みや赤みはないときは、搾乳などで刺激せず、タオルなどでくるんだアイスノンを張っている部位に当てて冷やして様子をみましょう。乳房に痛みや赤みがあるときは、その部分を軽く押さえつつ搾乳をします。この時、母乳を乳房内に残すことが大切なので、痛みや赤みが引いて少し楽になったらそれ以上は搾乳しないようにして次の授乳まで待ちましょう。まだ張りは残る場合でも、タオルなどでくるんだアイスノンを張りの残る部位に当てて冷やして様子をみましょう。
授乳量を減らしていく際に注意したいこと
①母乳外来など母乳ケアの受診先を見つけておく
授乳量が多い方だと乳房トラブルが悪化して熱が出たり、乳房全体の腫れで触れないほどの状況になることがあります。そういったときは自己対処せずに、すぐに受診するようにしましょう。母乳ケアを専門にした出張助産師などもおすすめですよ。
②母乳パッドはこまめに変える
濡れたままの母乳パッドをつけっぱなしにすると細菌が繁殖してしまうため、乳腺炎などのトラブルを引き起こしやすくなります。
③長風呂をせず、熱いシャワーを長く胸にかけない
長風呂や、熱いシャワーは胸の血流を良くしてしまい母乳が作られやすくなります。授乳量を減らしている時期には避けるようにしましょう。
④赤ちゃんの体調不良や、これまでにない不安定な様子がみられたら中断する
体調不良の時は食も進みづらくなることが多いです。そんな時は母乳が栄養や水分の補給源となるので、一度中断して赤ちゃんが飲みたがるだけあげるようにしましょう。また、授乳量を減らしていくうちに頻回な夜泣きや噛みつきなど、赤ちゃんにこれまで見られなかった様子が現れる場合は、赤ちゃんの心の準備がまだ追いついていない状況です。そんなときも一度中断して今まで通り授乳をするようにしましょう。
授乳回数を減らす際、乳房トラブルはつきものです。お母さんと赤ちゃんの健康が第一ですので無理に進めようとせず、職場復帰までの1~2か月前から余裕をもって始められるといいですね。赤ちゃんにとっても授乳回数の減少は、お母さんとの大切なスキンシップの時間が減る一大事です。授乳以外のスキンシップや遊びの時間をたっぷりとって、赤ちゃんの甘えたい気持ちを受け止めてあげるようにしましょうね。
悩んだときは相談しましょう
今回は基本的な母乳の仕組みに沿った方法や注意点をご紹介しましたが、職場復帰後の授乳スタイルの目標像や、お母さんと赤ちゃんの授乳への想い、身体の状態によって方法は様々で、正解や不正解はありません。悩んだときは通園予定の保育園や、近くの母乳ケアのスタッフへ相談してくださいね。