【労務管理担当者必読】労務管理と働きやすい職場環境とは-就業規則・勤怠管理編-

労務管理を適切に行うことは、従業員が働きやすい職場環境を整えるためにとても大切です。働きやすい環境を整えることで従業員の生産性が高まるので、企業にとってもメリットがあります。この記事では、労務管理の中でも特に重要な就業規則と勤怠管理をピックアップしてそれぞれに解説をしていきます。

就業規則とは

就業規則とは、会社の中で定められたルールブックのようなものです。

労働時間や休日の日数、給与やボーナス、退職に関することまで、働くにあたって必要なことのルールをまとめたものになります。就業規則を決めることは労務管理の中でも非常に重要な事項です。なぜなら、たくさんの人が集まって仕事をするときに、約束事を決めないと無秩序な状態になってしまうからです。また、労使間のトラブルを事前に防止する上でも役に立ちます。

就業規則を定めることは労働者が安心して働き、職場を秩序ある状態に保つためになくてはならないものなのです。

どんな時に就業規則を作らないといけないのか

労働基準法で、常時10名以上の労働者を使用する事業場において就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。事業場とは事務所や店舗、工場のように一か所で複数の人が継続的に働いている場所のことを指します。ここでいう労働者というのは、正社員だけなく契約社員やパートタイマー・アルバイトなども含みます。

就業規則に記載する事項は?

就業規則には、絶対に記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と事業場でルールを定めた場合に記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)があります。

●絶対的必要記載事項

絶対的必要記載事項は、それが決まっていないとそもそも働くことができない事項のことです。すなわち、労働時間に関すること、給料に関すること、退職に関することです。

いつどのように働いて、その対価としていくら給料を受け取るのかが決まっていないのに働くことはできませんよね。また退職に関するルールが決まっていなければ安心して仕事をすることはできません。ですから、この3つの事項に関しては必ず記載する必要があります。

・始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項

・賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

・退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

引用:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署【リーフレットシリーズ労基法89条】

●相対的必要記載事項

絶対的必要記載事項は会社がルールを定めたら、記載しなければならない事項です。

例えば賞与や退職金に関していつどのように支払うのか、懲戒に関してどのように行うのかなど。

特に懲戒に関する事項はとても重要です。

なぜなら、何をしたら違反なのか、どのような処分があるのかというルールを決めておかないと、処分の根拠となるものが何もないことになるからです。

根拠がないのに処分をすることはできません。

①退職手当に関する事項

②臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項

③食費、作業用品などの負担に関する事項

④安全衛生に関する事項

⑤職業訓練に関する事項

⑥災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

⑦表彰、制裁に関する事項

⑧その他全労働者に適用される事項

引用:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署【リーフレットシリーズ労基法89条】

就業規則の効力について

労働基準法第92条によって、就業規則は法令や労働協約に反してはならないとされています。

つまり会社が一方的に好き勝手なルールを作ることはできないのです。

また就業規則の基準に満たない労働契約は、当該の部分が無効となり就業規則で定められた基準が適用されます。

逆に法令や労働協約の基準以上の就業規則を定めることは可能ですが、後からその基準を下げる時には従業員の同意が必要になります。

就業規則作成・変更の手続き

就業規則はただ作成しただけで終わりではありません。就業規則を作成したら、当該の事業場の所轄労働基準監督署に提出をしなければなりません。

ただし提出する前に、過半数を代表する従業員を選出し意見書を提出してもらう必要があります。変更があった場合も同様の手続きが必要になります。

就業規則の周知とは

就業規則が効力を持つには、従業員に周知することが必要です。実はこれが一番大事なことでもあります。

従業員がその存在を知らなければ、いくら会社がルールを作っても守らせることはできません。

周知の方法は、

・従業員に書面で交付する

・従業員がいつでも見られる場所に掲示する

・データとして保存して従業員がいつでも見られるように装置を設置する

などがあります。

勤怠管理とは

勤怠管理では従業員の労働時間と休日を管理します。

企業は勤怠管理を行い従業員の労働時間を正確に把握することが労働基準法によって義務付けられています。

労働時間は賃金を決定する重要な要素なので分刻みで正確に把握することが必要です。時間外労働や休日出勤などがあれば割増賃金を支払います。

また過度な長時間労働を防ぎ、適切に休日を取得させることは従業員の健康を管理する上でも大切です。

勤怠管理で管理すべき事項

厚生労働省は労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインを定めています。

その中で、「使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること」と記載されています。

また「使用者は、労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければならない」とも書かれています。

つまり勤怠管理において管理すべきことは

・始業、終業時刻

・労働時間

・休憩時間

となります。労働時間とは従業員が使用者の指揮下に置かれている時間です。なので、強制参加の研修やセミナー受講などを受けている時間も労働時間とみなされます。

法定労働時間を超えて働いた場合は、割増賃金を支払う必要があるので、

・時間外労働時間

・深夜労働時間

・休日労働時間

についても記録します。

また1か月の中で従業員の出勤状況を管理することも必要です

1月単位で

・出勤日

・欠勤日

・休日出勤

についても記録します。

休日は法定休日と法定外休日で割増が異なるので注意が必要です。法定外休日とは週に1日以上、または4週間に4回以上与えなければならない休日のことです。法定外休日とはそれ以外に企業が定める休日のことを指します。また年次有給休暇を与える事が現在では義務化しています。その取得日数や残日数の管理も行います。これらを管理することで、賃金の計算や、従業員の健康管理を行っていきます。

勤怠管理の対象は

前述のガイドラインによると、対象となる事業場は「労働基準法のうち労働時間に係る規定(労働基準法第4章)が適用される全ての事業場」とされています。

また対象となる労働者についても「労働基準法第41条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る。)を除くすべての労働者」とあります。つまり例外を除くほとんどの企業が対象であり、正規非正規関係なくそこで働くほぼすべての従業員が対象となります。

まとめ

労務管理において、就業規則は会社の秩序を保ち、労使のトラブルを防止するためになくてはならないものです。労働条件や賃金賞与、懲罰について明文化することでたくさんの人たちが一緒に働く環境を整備することができます。作成した就業規則は従業員の代表に意見を仰ぎ、所轄の労働基準監督署に提出する必要があります。従業員がいつでも見られるようにすることも忘れてはいけません。

勤怠管理も同様に、従業員の賃金を決定し、健康管理をする上で非常に重要です。従業員の毎日の労働時間、1月ごとの出勤日を正確に把握し、長時間労働を防ぎ従業員の健康を維持することが大切です。従業員の働きやすい職場環境をつくることは企業の生産性を上げることにもつながります。必ず取り組んでいきましょう。

参考・URL

・厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署【リーフレットシリーズ労基法89条】

・厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労働時間の適正な把握のために-使用者が講ずべき措置に関する基準-」

・厚生労働省「労働時間の適正な把握のために-使用者が講ずべき措置に関するガイドライン-」

厚生労働省 労働時間・休日
厚生労働省 労働時間・休憩・休日関係