今回をきっかけに、不妊治療の情報を世間に発信していきたい(ヤフー株式会社様)

2022年11月8日に開催した「ファミワンカンファレンス」*にて、ヤフー(株)様のご活動を表彰させていただきました。 そこで、授賞のご感想や、普段のご活動、これからの展望などのお話をお伺いしました。

―この度、弊社から表彰させていただいたことをどのように思いましたか?

弊社は、D&Iの文化熟成の分野では有志活動と役員スポンサーで取り組んできたという歴史があり、ファミワンさんがその点をご評価いただけたということで、大変光栄に思いました。

また、近年は不妊治療分野のニーズが高まっていると感じており、社会全体がそういうものを求めだしている中で、弊社も取り組みを打ち出すことによって、「日本全体がそういう風潮になったのだ」というイメージに寄与できればうれしいと思います。ですので、今回表彰していただけたことをきっかけに、そのような情報を世間に発信していきたいと思っています。

丁寧なセミナーを行っていただき、ファミワンへの信頼感があった

―創業間もない弊社が開催するカンファレンスに対しては、抵抗はなかったのですか?

ファミワンさんに不妊治療セミナーをしていただいており、その際に社員にとって深い内容の対応をしていただいたという実績から安心感がありました。そのため、「本当に信頼できる会社だな」と感じておりましたので、今回のアワードのお話をいただけたのはそのような良い関係があったからこそだと思っています。また、最初にセミナーをやっていただいてグループ内で認知してもらい、社員の間で知見が広まった段階でカンファレンスに応募、という流れだったため、大人数に参加してもらえた理由になったのだと思います。

初めての不妊治療セミナーに、百名以上の参加と大きな反響があった

―社内でセミナーの反響はありましたか?

グループ全体でも、「不妊治療」というテーマを扱ったセミナーは今回初めてでした。その結果、大きな反響がありましたし、セミナー後のアンケートによって、色々と考えている社員が想定よりも多いことがわかったため、我々にとって非常に有益だったと思っています。今回は「若手リモートワーカー」とセミナータイトルに入れることで、ターゲットを明確に示したにもかかわらず、百数十名という大人数が参加してくれたのは、やはりそれだけ興味を持ってもらえる分野なのだなと思いました。

「働き方」をテーマにすることで多くの社員が参加し大成功

また、こちらの要望も汲んでいただいたことが有難かったです。初めてのセミナーなので、不妊治療を全面に出さずに、一方で常々見逃しているかもしれないということや、若い社員にも健康課題への対処方法という情報を届けたかったので、「“若手リモートワーカーの働き方“というテーマに家族(不妊治療を含む)の情報も追加する」という形式が非常に良かったと思います。実際蓋を開けてみたら、その「家族の部分」にもともと興味があって申し込んだ方もいらっしゃいました。

皆さん大きなリアクションをして盛り上がりながら最後まで出席してくれたので、興味を持って聞いていただたことがわかり、本当に良かったと思います。同時に、多くの社員が不妊治療の話題に関心があるのだと思いました。また、今回は社内の参加募集の際にセミナーで聞きたい事のアンケートを取り、その内容を講演に反映していただけたのも良かったのだと思います。

「“なぜ”不妊治療が注目されているか」を、まずは考えてほしい

―今回出席された企業の方へ伝えたい思いはありますか?

不妊治療の制度を入れるかを都度判断していくよりも、自社の人事戦略や、労働人口の減少などの問題を踏まえながら、今後はどのように働き方の選択肢を広げてゆくのか等を考える方が建設的だと思います。特定の制度の話だけをしてしまうと、該当する属性の人だけが優遇されて不公平感が出てしまい、結果的に都度検討を繰り返す形になってしまいます。それよりも手前の「なぜ今不妊治療がフォーカスされているのか」「社会はどう変わっていくのか」というところに注目し、不妊治療以外の制度も一緒に検討することで、日本全体が更に良くなっていったらいいなと思います。そのために、まずは、カンファレンスにより一緒に学びながら、リテラシーを向上させていくことが大切だと考えています。

部署間の積極的なコミュニケーションで、社内の連携強化

―他の部署とも積極的に連携されているのですか?

当社は部署の縦割り感が少なく、全体的に他部署との横のつながりも強い雰囲気があると思います。個々で考えて、他部署であっても必要な人に必要な連絡をするため、自然と横で繋がっていくようなスタイルです。

例えば、Zホールディングスでは、ヤフーを含むZホールディングスグループ横断で「Zアカデミア」という企業内大学の運営を行っています。このような活動はいつも様々な会社・部署から講師として登壇いただき、グループ内の知見を教え合い、学び合っています。その中では参加者が皆会社・部門を超えてフラットに交流しており、セクショナリズムを感じることは少ないです。

また、有志プロジェクトというものを社員自ら作ってきた歴史もあるため、そもそもコミュニケーションを阻害する雰囲気は当社には全くなく、今はその連携がさらに上手くいっている状態です。

これからは現場や当事者を交えた「対話」が、社会をもっと良くする

―どのような社会になったら働きやすいと思いますか?

当社の場合は、「実際の当事者や現場の人から話を聞こう」という姿勢が取り入れられており、これは一つの良き歴史だと思います。このように社員同士の対話によって会社全体がより良い形になってゆくようなスタイルが広まればいいなと思っています。

不妊治療や妊活についても当事者だけが主張するのではなく、「皆で理解し合おう」という意識につながれば良いと思っています。否定的な意見があった場合も、排除するのではなく「どうしてそういう意見が出たのか?」という意見が出てきて、最後まで対話してゆけるような土台ができるのが理想です。

「理解された経験」で一枚岩をつくる

これまでの日本の歴史の中では、同じ属性の人達が手を組んで一枚岩を作ってきたことが多かったのですが、今はそれが変わってきています。他社を理解するための柔軟度は、自分が理解された経験だと思うのです。そのため、一枚岩を同属性の人達で作るという風習は、そうやって勝ってきた経験があるからこそだと思います。

一方で、現在はニーズが大きく変わってきており、やはり自分が他社に理解されたり、これまでとは違う一枚岩の作り方を経験することによって、実際に肌で感じながら「理解された経験」を入れていかなければならないといけないと思います。