令和5年5月から、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行しました。ワクチン接種も進み、以前ほどの感染拡大は見せていないものの、依然として流行は続いています。また、季節性インフルエンザの同時流行もあり、学級閉鎖や学校閉鎖なども相次いでいます。
そこで今回は、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症、それぞれの対応違いについて改めてまとめていきます。
季節性インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の違い
季節性インフルエンザ | 新型コロナウィルス感染症 | |
原因 | インフルエンザウィルス | 新型コロナウィルス(SARS-CoV2) |
感染経路 | 接触感染・飛沫感染 | 接触感染・飛沫感染 |
流行時期 | 12~4月 | 通年 |
潜伏期間 | 1-3日 | 1~14日(平均5日) |
症状 | 38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速(1-2日以内)に現れる | 発熱、倦怠感、頭痛、咽頭痛、咳、鼻水、味覚や嗅覚の異常(ウイルスの種類、ワクチン接種歴により大きく異なる) |
検査方法 | 抗原検査 | PCR検査・抗原検査 |
治療法 | 対症療法 発症後48時間以内であれば抗ウイルス薬の追加 | 基本は対症療法 重症化リスクの高い場合は必要に応じて新型コロナウイルス治療薬を使用 |
感染が疑われた場合
1. 季節性インフルエンザ
流行期間において上記症状に加え、自宅や学校・職場などでインフルエンザ患者との濃厚接触があった場合は、インフルエンザ感染が強く疑われます。発症後48時間以内であれば抗ウイルス薬が有効であるため、できれば発症から2日以内に病院を受診しましょう。ただし発症後、検査で陽性になるまでに約1日程度かかります。そのため発熱を自覚してすぐに受診しても、検査では陰性(偽陰性といいます)になることがあります。濃厚接触など状況的にインフルエンザが強く疑われる場合は、臨床的に「みなし」陽性として判断することもあるため、医師の判断に従う必要があります。
2. 新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス陽性感患者との濃厚接触があった場合、または上記症状が出た場合、まずは自宅検査を行うことをおすすめします。あらかじめ抗原検査キットなどを準備しておくと、安心です。薬局やドラッグストア、インターネットでも購入が可能ですが、国が承認しているキット(体外診断用医薬品または第1類医薬品の表示があるもの)を購入しましょう。下記ウェブサイトより、購入前にご確認ください。
ただし、重症化リスクの高い方(高齢者や基礎疾患のある方、乳幼児や妊娠中の方など)や重篤な症状のある方は、早めに医療機関を受診しましょう。症状がある場合、まずはかかりつけ医へ電話連絡、かかりつけ医がいない場合はお近くの医療機関へ電話連絡し、受診についてご相談ください。
下記ウェブサイトより、新型コロナウイルスに関する相談窓口や指定医療機関などを、都道府県毎に確認できます。
厚生労働省HP(新型コロナウィルスに関する都道府県の相談窓口
自宅検査で陽性だった場合:症状が軽い場合は、自宅で療養を開始しましょう。症状が重くなったときは、医療機関に連絡をし、受診方法を相談しましょう。
自宅検査で陰性だった場合:症状に応じて医療機関に連絡し、相談しましょう。陰性でも症状がある間は、マスク着用など基本的な感染防止対策を取りましょう。
隔離期間
1. 季節性インフルエンザ
学校保健安全法では、「発症後5日を経過し、かつ、解熱後2日を経過するまで(幼児の場合は3日)」と定められています。社会人の場合は会社により規則が異なりますので、会社の規則を確認しましょう。
2. 新型コロナウイルス感染症
外出を控えることを推奨される期間は、「発症日を0日目として5日間(無症状の場合は検体採取日を0日目とする)」、かつ、「5日目に症状が続いていた場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどの症状が軽快して24時間程度が経過するまで」です。
学校保健安全法でも、「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」と定められています。また無症状の感染者に対する出席停止の期間の取扱いについては、「検体を採取した日から5日を経過するまでを基準とすること」と定められています。ここで言う「症状が軽快」とは、解熱剤を使用せずに解熱し、かつ、呼吸器症状が改善傾向にあることを指します。
また出席停止解除後も、発症から 10 日を経過するまでは、マスクの着用が推奨されています。
ワクチン
新型コロナワクチンは、インフルエンザワクチンとの同時接種が可能です。また、それぞれのワクチンを別の日に接種する場合の接種間隔についても、特に制限はありません。
1. 季節性インフルエンザ
13歳以上の方は1回接種、 13歳未満の方は2回接種を原則としています。1回目と2回目の間隔は、2~4週間あける(理想は4週間)必要があります。また日本では1~3月が流行のピークとなるため、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいでしょう。
インフルエンザワクチンは病気に対する治療ではないため、健康保険が適用されません。原則的に全額自己負担となり、費用は医療機関によって異なります。ただし市区町村によって公費負担されているところもありますので、お住まいの市区町村にお問い合わせください。
2. 新型コロナウイルス感染症
令和6年3月31日で、公費負担での新型コロナウイルスワクチン接種は終了します。接種を希望される方は、期間内に接種を済ませましょう。
4月1日以降は、インフルエンザワクチン同様、全額自己負担となります。ただし、65歳以上の方や60~64歳で特定疾患のある対象者のみ、秋冬に自治体による定期接種が有料(一部公費負担)で行われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。感染が疑われる状況となったときや対応に悩んだ時、ぜひこのコラムを思い出して、慌てずに対応してくださいね。
参考