【生産性向上】内定者のやる気スイッチを押すコツ

 エンゲージメントは自発的貢献意欲とも言われ,従業員の会社へ対する信頼や自発的に会社へ貢献したいという意欲であると定義されています。従業員の会社へのエンゲージメントが高くなると,従業員満足度が上がることから従業員の生活の満足度も向上し、より会社へ良い影響を与え企業価値も向上することから,従業員エンゲージメントを高めることは企業にとって重要なことと言えます。

なぜエンゲージメント向上が必要なのか

 現代の日本は少子高齢化が急速に進み,2022年の人口動態統計では合計特殊出生率が1.26と過去最低を記録しています。同時に65歳以上人口(高齢化率)も28.4%を占めることから,将来的に日本の人口減少は避けることができません。生産人口が減少していくことから,日本の労働力は減少していくことは明白です。また,COVID-19の感染拡大を経験した日本は伝統的な日本の働き方に変革をもたらし,より一層,人材の多様性が重要視されるようになると予想されます。

 労働人口の減少や多様化する社会で企業が生き残るためには,必要な人材を確保することは経営にとって重要な位置づけであり,企業の競争力や企業価値を高めていくためには,従業員のエンゲージメント向上が必要であると言えます。

従業員の満足度とエンゲージメント

従業員の「満足度」と「エンゲージメント」は異なる指標です。「従業員満足度」とは会社の福利厚生や賃金,人間関係,ワークライフバランスなどの働き方に呼応する従業員自身が会社にどれくらい満足しているかという指標です。一方で「エンゲージメント」とは,会社へ貢献したいと思う内発的動機づけや,会社への信頼度,早期離職を防止するための人材リテンションなど,企業と従業員が相互に影響しあう関係があります。お互いに異なる意味を持つ言葉ではありますが,従業員満足度とエンゲージメントは相互作用の関係にあることから,従業員満足度が低いと会社へのエンゲージメントも低くなるということが予想されます。従業員が魅力に感じる価値を提供できる会社でなければ,競争力も低下し人材を引き付ける力も弱くなってしまうことから,従業員満足度もエンゲージメントも大切であると言えます。

にほんの若者の傾向

 GALLUP 「State of the Global Workplace2021」が行った従業員エンゲージメントの国際比較によると,日本企業の従業員で士気・熱意がある者の割合は5%と、東アジアに絞ってみても最低水準です。また,日本は従業員満足度も低い傾向にあり3年以内の早期退職者も大卒区分で21.8%(厚生労働省 「学歴別就職後3年以内離職率の推移」から令和2年度の数値を抜粋)と高い傾向にあり,就業意識は「仕事より家庭やプライベートを大切にしたい」と考える若者が年々増加しています(2018 内閣府「子供・若者白書」)。企業規模が大きくなればなるほど離職率も低く従業員満足度も高くなる傾向にあります。

エンゲージメントを向上させる内定者コミュニケーションとは

それでは内定者のエンゲージメントを向上させる内定者コミュニケーションとは何かを考えていきます。コロナ渦を経験した若者たちは,社会で生きていくことに大きな不安を抱えているケースも指摘されています,また就職は学生から社会人に大きくステージが変化するためより大きな不安を抱えることは想像に難くありません。つまり,内定者たちの不安を払拭することが,企業への信頼も高まり,ひいてはエンゲージメントの向上に繋がります。具体的な事例を以下に示します。

・内定者同士の交流会

交流会を開催することは円滑なコミュニケーションを行う上で大切ですが,あまり強制的にならないように注意が必要です。それぞれの考え方を尊重した多様性を意識した交流会の運営が望ましいと言えます。

・入社前のeラーニングや研修の機会

会社へのエンゲージメントを高めるためには,しっかりとした成長の機会が確保されている,また自分自身に対して成長投資をしてもらえていると感じないといけません。そのため,入社前の研修や学習の機会や入社後の成長のロードマップを示すことが望ましいと言えます。

・メンターによる1対1のコミュニケーション

交流会と同様に個々の多様性を尊重し,感覚が合うメンターを選びコミュニケーションをとることが大切です。コミュニケーションの密度や頻度も内定者によって考え方が異なるため、考慮することも必要です。

・福利厚生などの社内制度の説明

会社独自の福利厚生を通じてエンゲージメント向上が期待できます。具体的な取り組みとしては,多様性に関するポリシー,多様な経験機会への支援,健康・心理的幸せへの支援,メッセージ性のある福利厚生があげられます。

・内定者が望む働き方とキャリアプランのすり合わせ

入社の段階において,内定者がどのような考えを持っているかを確認することもエンゲージメントを向上させる方法のひとつです。望む働き方や今後どのようにキャリアを形成していきたいかメンター等によるコミュニケーションを活用しながらすり合わせしていくことが望ましいと言えます。

以上が,エンゲージメント向上させる内定者コミュニケーションの一例です。人的資本が減少する日本においてエンゲージメント向上は企業価値を高め,内定辞退や早期離職を防止する機能もあります。多様性のある「個」のニーズを踏まえた柔軟なコミュニケーションはエンゲージメント向上に大きな成果が期待できます。

参考資料

2022 経済産業省 「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書」

2019 経済産業省 「経営競争力強化に向けた人材マネジメント研究会 資料」

経済産業省 「事務局資料」 

2018 内閣府 「子供・若者白書」