次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境を整備するために、国、地方公共団体、企業、国民が担う責務を明らかにした「次世代育成支援対策推進法」の有効期限が令和7年3月31日まで延長されました。
この法律において、企業は、労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定することとなっており、常時雇用する労働者が101人以上の企業は、この行動計画を策定し、都道府県労働局に届け出ることが義務とされています。(100人以下の企業は努力義務)
そして、行動計画に定めた目標を達成したなどの一定の基準を満たした企業は、申請することにより、厚生労働大臣の認定(くるみん認定・トライくるみん認定)を受けることができます。
さらに、認定を受けた企業が、より高い水準の取組を行い一定の基準を満たすと、特例認定(プラチナくるみん認定)を受けることができます。
ここでは、この特例認定であるプラチナくるみん認定について説明します。
「プラチナくるみん」の認定基準(12項目)
「プラチナくるみん認定」は、「トライくるみん認定」や「くるみん認定」のステップアップ認定です。ですから、各々の認定内容がわかるように、認定基準を並列すると次のようになります。なお、各認定の独自の基準は下記の通りです。
プラチナくるみん認定: ◆ 、トライくるみん認定: ※ 、くるみん認定: ◎、認定共通:印なし
1.雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な行動計画を策定したこと。
2.行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること。
3.策定した行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成したこと。
4.策定・変更した行動計画について、公表および労働者への周知を適切に行っていること。
5.次の(1)または(2)のいずれかを満たしていること。
(1)計画期間における、男性労働者の育児休業等取得率が7%以上※・10%以上◎・30%以上◆であること。当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表(以下「公表」)していること◎。
(2)計画期間における、男性労働者の育児休業等取得率および企業独自の育児を目的とした休暇制度利用率が、合わせて「15%以上※」「20%以上◎」「50%以上◆」あり、かつ、育児休業等を取得した者が1人以上いること。また、当該割合を公表していること◎。
(注意:労働者数が300人以下の一般事業主の特例がありますが、ここでは省略。)
6.計画期間における、女性労働者の育児休業等取得率が、75%以上であること。かつ、当該割合を公表していること。
(注意:労働者数が300人以下の一般事業主の特例がありますが、ここでは省略。)
7.3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者について「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じること。
8.計画期間の終了日の属する事業年度において次の(1)と(2)のいずれも満たしていること。
(1)フルタイムの労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること。
(2)月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がいないこと。
9.次の①~③のいずれかの措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施していること※◎。
次の①~③のすべての措置を実施しており、かつ、①または②のうち、少なくともいずれか一方について、定量的な目標を定めて実施し、その目標を達成したこと◆。
① 所定外労働の削減のための措置
② 年次有給休暇の取得の促進のための措置
③ 短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置
10.次の(1)または(2)のいずれかを満たしていること◆。
(1)子を出産した女性労働者のうち、子の1歳誕生日まで継続して在職(育児休業等を利用している者を含む)している者の割合が90%以上であること。
(2)子を出産した女性労働者および子を出産する予定であったが退職した女性労働者の合計数のうち、子の1歳誕生日まで継続して在職している者(子の1歳誕生日に育児休業等を利用している者を含む)の割合が70%以上であること。
(注意:労働者数が300人以下の一般事業主の特例がありますが、ここでは省略。)
11.育児休業等をし、または育児を行う女性労働者が就業を継続し、活躍できるような能力の向上またはキャリア形成の支援のための取組にかかる計画を策定し、実施していること◆。
12.法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと
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プラチナくるみん認定のメリット
「プラチナくるみん認定」は、「トライくるみん認定」や「くるみん認定」の加重基準をクリアーした認定なので、メリットも両認定の加重版です。
ですから、3つの認定(以下、「厚生労働大臣認定」という。)に共通するメリット、「プラチナくるみん認定」の場合に加重されるメリットについて説明します。
1.自社ブランドのイメージアップ
厚生労働大臣認定を取得していることは、「子どものいる従業員が働きやすい企業」であるというアピールになりますし、トライくるみん、くるみん、プラチナくるみんのマークは、自社商品や広告に表示できますから、ブランドイメージを高めることができます。 特に、プラチナくるみん認定のマークは、マントの色を12色から選択することができるので、自社のイメージカラーに合致したマークにすることも可能です
2.働きやすい職場環境の構築
厚生労働大臣から認定されるためには、一定の要件を満たす必要があり、その中には、「年次有給休暇の取得を促進する」など働きやすい職場環境をつくるための基準が設けられています。
認定されれば、こういった基準をクリアしたことを示しますので、働きやすい職場環境の構築、社員の満足度が高い職場が実現されます。
3.優秀な人材の採用
大臣認定企業になると、厚生労働省のホームページに企業名が公表されますので、安心な企業であるというイメージも与えられますし、企業の名前も知ってもらえます。よって、採用活動にも役立ち、優秀な人材の確保につながります。
4.公共調達での加点評価
大臣認定企業は、公共調達で加点評価される仕組みとなっています。政府が「総合評価落札方式」や「企画競争による調達」を行う場合、案件を勝ち取りやすくなります。
特に、プラチナくるみん認定企業はくるみん認定企業よりも大きく加点される場合があります。
5. 助成金の支給
くるみん認定またはプラチナくるみん認定を受けている中小企業は、50万円を上限に助成金を受け取れる場合があります。中小企業が「中小企業子ども・子育て支援環境整備事業」を実施する際、実施に要する経費を対象に助成金が交付されます。
くるみん認定企業は1回の認定1回の助成ですが、プラチナくるみん認定企業は令和8年度まで毎年度助成されます。
まとめ
ここまで、「トライくるみん認定」や「くるみん認定」のステップアップ版である「プラチナくるみん認定」について説明してきました。
次世代育成支援対策として、国や地方自治体のみならず企業も求められていることは多様です。こういった認定制度をうまく利用して職場環境を改善していくことが企業の責務ともなっています。
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