夏休みスペシャル!こども性教育2026イベント開催レポート  〜支援者・保護者向け〜

株式会社ファミワンでは、「性教育について正しく伝えられる場を作りたい」という想いから、毎年「夏休みスペシャル!こども性教育」を開催しております。皆様にご好評をいただき、本年で6年目を迎えました。

昨年は男子向けのみの開催でしたが、本年は「男子向け」「女子向け」「支援者・保護者向け」の3部構成へと拡大して実施いたしました。

3部合計の申し込み総数は846件にのぼり、非常に多くの方々に関心をお寄せいただきました。

第3部である支援者・保護者向けセミナー「昨今の教育機関の職員の性犯罪や日本版DBS等を見据えて」では、当日のリアルタイム視聴者数が189名となりました。開催後のアンケートでは、養護教諭や施設関係者の方々からも感想が寄せられ、子どもたちへの伝え方や現場での関わり方について参考になったとの声をいただきました。保護者だけでなく、子どもたちを支えるさまざまな立場の方にも学びを深めていただける機会となりました。

目次

講師および司会の紹介

講師: 戸田 さやか(ファミワン 公認心理師/臨床心理士)

司会: 西岡 有可(ファミワン 代表看護師)

「昨今の教育機関の職員の性犯罪や日本版DBS等を見据えて」

まずは、子どもの性暴力被害の現状について説明しました。 「うちの子は大丈夫?」と気になる保護者の方も多いのではないでしょうか。

オンラインアンケートとヒアリング調査では、「4人に1人が性暴力被害にあっている」という結果が出ています。この結果をみなさまはどう感じられるでしょうか。被害における加害者は、学校・大学関係者、(元)交際相手、SNSで知り合った人が多いとされています。

また、子どもが加害に巻き込まれる状況としては、「隠し撮り」が圧倒的に多い実態も報告されました。

日本版DBSとは

2026年12月25日から施行される「こども性暴力防止法」に関して概要や対象となる事業者の解説を行いました。

事業者は今後、子どもを性暴力から守るための「安全確保措置」に取り組む必要があります。この取り組みを実施している事業者には「認定マーク」が付与されるため、保護者が子どもの習い事等を選ぶ際にも、認定マークを取得している施設かどうかを一つの指標にできるようになります。

子どもへの性教育 何をどう伝えたら良い?

「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」において5歳以降の指標や8つのキーコンセプトが定められていることを解説しました。

【包括的性教育がもたらす5つの効果】

  • 初交年齢が遅くなる
  • 性交渉の頻度が減る
  • 性的パートナーの数が減る
  • リスクの高い行為が減る
  • コンドームや避妊具の使用が増える

これらを日常生活に落とし込んで考えると、大きく3つのメリットがあります。

①性や人間関係について親へ相談、報告できるようになる

子ども同士だけで解決しようとするのではなく、大人が介入することで対処法のバリエーションが増え、子どもの適切な意思決定を手助けできます。

②困難な状況下で対応できたことでの自己肯定感アップ

自分で対処法を実践できた経験は自己肯定感を高めます。また、「NO」を主張して状況を変えられたという達成感が自信へとつながります。

③性的な関係において自分がもつ権利への理解が深まる

「これはいけないこと、おかしいことだ」と自分で気づいて身を守る力や、他者を傷つけない人へと成長していく糧となります。

指導のために知っておきたい概念

①プライベートパーツ

【子どもに伝える際のポイント】

  • 「あなたの体はすべて大切だけど、特に大切な場所がある」と伝える
  • 家族であっても、触る時には必ず許可を取る
  • 遊びのつもりであっても、人のプライベートパーツを触ったり見たりしてはいけない

②NO!GO!TELL!

まずは同意に関わる大切な感覚を知ってもらうことが重要です。

たとえば、子ども同士のおもちゃの貸し借りを例に挙げます。「貸して」と言われたら「いいよ」と言わなければならないと思い込んでいないでしょうか? 「嫌だよ」「後でね」と断ってもいいのだと、保護者が日常の中でサポートしていく必要があります。

③バウンダリーと同意

バウンダリーとは「人と人との心や体の境界線」のことです。

「自分が自分で『いい/嫌だ』を決めていい」「『嫌』と言うことは、相手を嫌いという意味ではない」ということを子どもに伝えていくことが大切です。 「同意」の概念は対等な人間関係の形成において不可欠であり、思春期以降の友人関係や恋愛関係において、自分と相手の気持ちの双方を尊重するために極めて重要となります。

④SNSと性的手なずけへの危機意識

子どもが使用するデバイスにフィルタリングを設定しているでしょうか? 「家族共有のタブレットを使わせている」「大人が以前使っていたスマホを自宅Wi-Fiで使わせている」といったケースでは、フィルタリングが機能していないことも少なくありません。実際、SNS関連の被害に遭った児童のうち、フィルタリングを利用していなかった割合は88%にのぼります。

単に「禁止」するだけでなく、安全な使い方を教えていくことが大切です。

  • スマホの利用ルールを家族で決める
  • 自宅のWi-Fiパスワードはお友達に教えない

「ネットに繋ぐために友達が毎日自宅に遊びに来てしまう」といったトラブル事例もあります。ネット上の行動がどのようなトラブルに繋がるのか、日常的に家族で話し合う工夫が求められます。

⑤さまざまな性

「自身の性別」に対する違和感は、幼児期から抱くケースもあります。

【性的マイノリティの方が日常で感じやすい困難の例】

  • 自認する性とは異なる性別として扱われる
  • 自認する性別を隠し続けなければならないストレス
  • 性役割を押し付けるような言動や態度をとられる

指導に関するまとめ

プライベートパーツや同意に関する関わりはトイレトレーニングの時期から始めることができます。その他の概念についても、子どもの年齢や日々の出来事・成長に合わせて少しずつ伝えていくことを推奨しています。

発達特性のある子どもへの性教育

発達特性のある子どもは、「空気を読む」「暗黙のルールを察する」ことが苦手な場合が多く、成長に伴う身体の変化に対して強い不安を抱きやすい傾向があります。

そのため、「みんなが嫌がるからダメ」といった曖昧な伝え方ではなく、「肩に触る時は『触っていい?』と聞いてからにする」など、具体的なルールとして伝えることが必要です。

また、「ちょっと待って」の「ちょっと」という曖昧な表現は控え、「◯秒待とうね」と数字を用いて具体的に伝える工夫が有効です。伝えたい重要な概念そのものは同じですので、視覚的ツールや伝え方を工夫していきましょう。

Q&A

Q. 子どもが自分の体を触ってしまう(ペニスなどを触る)ときはどう対応すればいいですか?

A. 自分の体に興味を持つこと自体はとても自然で素敵なことです。ただ、親としてはハッとしてしまいますよね。 対応としては、まずプライベートパーツについて伝え、「みんなに見せないこと」「人がいる場所では触らないこと」を教えましょう。そのうえで、「触るときは、誰もいない自分の部屋で行う」といった具体的なルールを伝えると効果的です。 頭ごなしに否定するのではなく、ご家族間で対応方針を統一し、あたたかく見守ることが大切です。

アンケート結果

アンケートにご回答いただいた皆さま、ありがとうございました。

Q.参加された方に当てはまるものを選択してください。(複数選択可)

全体の中で最も多いのは「保護者」(104名:33.1%)、次いで「支援者」(69名:22%)となっています。この2グループで全体の半数以上を占めており、子ども自身の参加よりも、子どもを支える大人側からの関心が非常に高いことがわかります。

Q.セミナー参加理由

「性教育について知りたい」(151名:30.3%)と「子どもに性教育の話を聞かせたかった」(116名:23.3%)が上位を占めており、合計で半数以上(53.6%)が「性教育への純粋な関心・ニーズ」を理由に挙げています。そして、「業務や勉強のために必要だと思った」(102名:20.5%)という回答も多く、支援者層にとって本テーマが実務やキャリアにとって不可欠な知識として認識されていることが分かりました。

Q.満足度

満足度の平均は4.4(5段階評価)と、多くの方にご満足いただけた結果となりました。

参加者からの声・感想

第3部参加者の中で、満足したと回答してくださった感想のなかには

保護者や支援者向け企画はとても参考になり、もっと聞きたいと思いました。

日本版DBS等については知らないことばかりでした。性犯罪の履歴などを事業者が知ることができる、くらいにしか理解していなかったのですが、性犯罪を積極的に防止する義務が学校などに課されるなどのお話も聞けて、とてもありがたかったです。まだまだ繰り返し内容を聞いて、自分で理解したいと思う内容ばかりでした。

とても為になった、本の紹介もあり良かった。全ての講座に参加したが、対象によって話し方や興味を持たせ方など工夫があり勉強になった。

全ての講座に参加してくださった方も多く、子ども向け・保護者向け・教職員向けと、多くの方に学びを深めていただける機会となりました。

ファミワンで実施する「夏休みスペシャル!こども性教育」イベントの内容や開催形式については、引き続き工夫や検討を重ねてまいります。

終わりに

今年は「男子向け」「女子向け」「支援者・保護者向け」の3部構成へと拡大して開催したことで、子どもだけでなく、保護者や教職員、支援者など、子どもを取り巻くさまざまな立場の方にご参加いただくことができました。

アンケートでは、「もっと学びたい」「現場で生かしたい」「子どもへの伝え方の参考になった」といった声が多く寄せられ、子どもを守るためには、子ども本人だけでなく、周囲の大人が正しい知識を身につけることの重要性を改めて実感しました。

ファミワンでは、これからも年齢や立場に応じた性教育を通して、一人でも多くの子どもが安心して成長できる社会づくりに貢献してまいります。

また、学校・自治体・企業・医療機関などを対象に、性教育をはじめとした健康に関するセミナーや研修、イベントを実施しております。対象年齢や目的に合わせた内容での開催も可能ですので、ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

「助産師は女性のライフステージに携わり続ける仕事」という助産学講師の言葉を胸に、助産師・保育園看護師として妊娠・出産・育児に関わるサポートを行ってまいりました。保育園では乳幼児の健康管理に加え、働くお母さま方との交流を通じて、仕事と育児の両立に伴う悩みや育児不安に寄り添うことの大切さを実感しました。
専門職として妊娠・出産・育児に関する正確な情報をお伝えするとともに、二児の母としてのリアルな視点を踏まえながら、ライフステージの各段階に寄り添うサポーターでありたいと考えております。