【50代女性の4割】更年期障害と健康経営

 2023年厚生労働省から更年期の調査が発表されました。
社員が心身ともに健康に働き続けることは、「企業のパフォーマンス」の点でも非常に重要です。
この記事で更年期について学び、ぜひ社員に健康を呼びかけてください。

今回は、女性の人生において大変よくある体のお悩み、更年期障害についてのお話です。

ファミワンをご利用の方は働く女性が多く、更年期世代には、管理職やリーダーなど責任ある立場についている場合も多いと思います。そんな時期に悩まされるのがこの更年期障害。病気ではないけれど、日々の体調を大きく左右するとなるとやはり無視はできない存在です。数年にわたるこの変化の時期においても、お仕事や私生活をご自分らしくいきいきと続けていくために、上手な付き合い方を知っておきたいですね。

・更年期障害とは?

更年期障害とは、40代〜50代頃に起こる体内のホルモンの変化により、様々な体調不良や情緒の不安定さなどの症状が現れ生活に影響を及ぼすことです。これは男女共に起こり得ますが、閉経という大きな変化によってホルモンが乱れやすい女性に特に顕著に現れやすいことでよく知られています。

日本人の平均閉経年齢は約50歳。最後の月経から1年以上月経がない状態を閉経と呼びますが、個人差が大きく、早い人では40代前半、遅い人では50代後半に閉経を迎えます。この閉経前後の5年ずつ、合わせた10年間の期間を「更年期」と呼び、その間にホルモンの変化により現れる様々な症状で他の病気を伴わないものを「更年期症状」、その中でも特に症状が重く、日常生活に支障をもたらす状態を「更年期障害」といいます。

・更年期症状とその原因

更年期によく見られる身体症状としては、以下のようなものがあります。

のぼせ、顔のほてり、脈が早くなる、動悸や息切れ、急激な発汗、血圧の不安定さ、耳鳴り、頭痛、筋肉のこわばり、めまいなど。

また精神症状としては、異常な興奮、イライラ、不安感、抑うつ傾向、集中力の低下、不眠などを自覚する方も多いです。

これは卵巣機能の低下による女性ホルモン(主にエストロゲン)の減少が主たる原因ですが、それ以外にも体質や性格、環境要因などが症状の現れ方に関係しているとも言われています。特にこの時期はお仕事で責任ある立場に置かれていたり、子供の思春期、親の介護など様々なストレスを抱えやすい年代でもあり、心理的要因や疲労なども複雑に関与している事が多いです。

・更年期障害は我慢せずに治療を!

更年期障害はQOLや仕事のパフォーマンスにも大きく影響します。それにも関わらず、「これは病気ではない一時的なものだから我慢してやり過ごすしかない」と考え、特に対処行動を取らない女性も多いものです。

日本医療政策機構の調査によると、更年期症状や更年期障害に対して「何もしていない」と答えた人が約64%に上っています。さらに症状や障害が出てから4か月以上経ったあとに医療機関を受診したと回答した人が約63%と、辛い症状が出てもすぐに対処する人は少ないようです。

しかし、適切な治療を受ければ改善されることがほとんどであるのがこの更年期障害です。辛い時には我慢せずに婦人科を受診して治療を受けるといいでしょう。

更年期障害の治療は、内服や貼り薬・塗り薬によるホルモン補充療法(HRT)や漢方治療が主なものですが、精神的な症状が強い場合などは抗うつ剤や、睡眠剤などの薬を使うこともあります。また環境要因が強い場合などはカウンセリングを受けることも有効です。

・更年期障害で仕事を諦めないために

更年期症状による集中力の低下、睡眠障害などは、仕事の質にも大きく影響します。治療をしないまま、仕事にミスがでたり効率が落ちたりすると、仕事を続けていく自信がなくなり、精神的にも辛くなり、それが原因で離職に繋がることもあります。

更年期世代で体調不良が続くときは、早めに婦人科に相談するようにしましょう。更年期症状の現れ方は個人差が大きく、頭痛や肩こりなどの不定愁訴も多いため、複数の専門科を回るなどのドクターショッピングをしがちです。更年期の症状かもしれない、と思いあたる場合には、早めに婦人科を受診すると良いでしょう。

更年期による不調だとわかれば、治療によって症状をコントロールし、仕事も続けながら上手に更年期の時期を過ごせるでしょう。更年期症状が辛い期間は5年程度といわれます。治療によりその5年を乗り切りましょう。

・事業主の方へ

幅広い年代で働く女性が増えてきている近年、女性特有の健康課題は職場にとっても重要なテーマとなってきました。職場としては、女性の月経や妊娠出産などと同様に更年期についても基本的な情報を共有し、職場全体で理解を深めることが重要です。女性従業員が自身の健康に関する知識“ヘルスリテラシー”を高めることで、症状が重い場合にはためらわずに治療を受けるという行動につながります。また周囲の理解があることも心理的な安心に繋がり、女性の活躍の力となるでしょう。

40~50代の更年期世代の女性は、キャリアも長く知識も経験も豊富で貴重な人材です。この年齢層が更年期症状によってキャリアの継続を諦めなくて済むために、職場の理解を深め、また体調不良時に活用できる制度の整備などを検討していただければと思います。

・おわりに

閉経前後の多くの女性が経験する更年期症状、これは決して恥ずかしいことではなく、そして治療によって改善することがほとんどです。

ここまで築き上げられたキャリアを、更年期障害によって諦める必要はありません。

辛い症状がある場合には、我慢せずに早めの受診を心がけるようにしましょう。